京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第24789号医博第4981号新制||医||1066(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 江木 盛時, 教授 湊谷 謙司, 教授 花川 隆学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Ono, Isao

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Endothelial cell malfunction in unrupturedintracranial aneurysm lesions revealed usinga 3D-casted mold( Abstract_要旨 )Ono, IsaoOno, Isao. Endothelial cell malfunction in unruptured intracranial aneurysm lesionsrevealed using a 3D-casted mold. 京都大学, 2023, 博士(医学)2023-05-23https://doi.org/10.14989/doctor.k24789許諾条件により本文は2023-11-16に公開; This is a pre-copyedited, author-producedversion of an article accepted for publication in Journal of Neuropathology &Experimental Neurology following peer review. The version of record is available onlineat: https://doi.org/10.1093/jnen/nlac104000京都大学 博士（ 医学 ） 氏 名 小野 功朗 論文題目 Endothelial cell malfunction in unruptured intracranial aneurysm lesions revealed using a 3D-casted mold  （3D鋳型模型を使用して解明した未破裂脳動脈瘤の内皮細胞機能不全） （論文内容の要旨）  脳動脈瘤は一般人口の1-5%が保有しているとされ、くも膜下出血の主要な原因として社会的に重要な疾患である。近年の研究によって脳動脈瘤は血行力学的負荷によって発生、増大する頭蓋内動脈壁の慢性炎症性疾患であることが解明されてきている。血行力学的要因の中では壁せん断応力と乱流が脳動脈瘤の病態に関与することが示唆されている。培養内皮細胞を使用した in vitro 研究では、乱流が炎症細胞の遊走因子の発現を引き起こす。しかし、実際の脳動脈瘤内部の形態は非常に複雑であるため脳動脈瘤壁の内皮細胞が暴露される血行力学的負荷は同一の脳動脈瘤においても部位ごとに大きく異なる。 上記の背景から、脳動脈瘤の3D鋳型模型を作成し、培養液の灌流条件下（55 ml/min, 60 Hz, 3 hours）で内皮細胞（HUAEC）を模型内に培養し、脳動脈瘤内各部位の遺伝子発現プロファイルを解析することとした。3D 鋳型模型は実在する症例の 3D-rotation angiography のデータを用いてヒト中大脳動脈分岐部に位置する脳動脈瘤と周囲の血管を再現し、親水性シリコンを使用して作成され、表面での細胞の培養が可能となっている。拍動性の流動条件下の脳動脈瘤壁の各部分で培養した HUAECの遺伝子発現プロファイルを取得し、コントロールとして親動脈壁または娘動脈壁で培養した HUAEC のプロファイルを使用して分析した。 包括的な遺伝子発現プロファイル解析により、脳動脈瘤壁で培養した HUAEC における発現パターンは脳動脈瘤内の各部位の間で非常に類似している一方で、コントロールの親動脈壁または娘動脈壁で培養した HUAECとは全く異なる発現パターンであることが明らかとなった。GO ターム分析は、特に脳動脈瘤内に培養された HUAEC における機能不全が示唆された。 ラットに血行力学的負荷で誘導した脳動脈瘤における内皮細胞の組織病理学的特徴を電子顕微鏡で観察した。コントロールの頭蓋内動脈壁では内皮細胞間の電子密度の高いタイトジャンクションを認める一方で、脳動脈瘤壁の内皮細胞間ではほぼ完全にタイトジャンクションが破壊されていた。 脳動脈瘤の内皮細胞の損傷がこれらの細胞の特性に影響を与えたかどうかを調べるために、ヒト脳動脈瘤の内皮細胞およびリファレンスとしてのヒト浅側頭動脈壁における内皮細胞マーカー、CD31 または VE-カドヘリンの発現を免疫組織化学で評価した。 CD31またはVE-カドヘリンの発現が、浅側頭動脈壁の内皮細胞で観察されたが、脳動脈瘤壁の内皮細胞ではこれらのマーカーのシグナルは著しく減少していた。内皮細胞の機能を反映するリン酸化型 eNOS の発現も脳動脈瘤の内皮細胞で著しく減少しており、これも脳動脈瘤における内皮細胞の機能不全を示唆していた。 本研究の知見は脳動脈瘤における内皮細胞の機能不全を明らかにし、脳動脈瘤の病因に関する新しい洞察を与えたと考えられる。  （論文審査の結果の要旨） 本研究は血行力学応力負荷に依存し 3 次元的に複雑な形態をとる脳動脈瘤の増大や破裂の因子を解明するため、ヒト未破裂脳動脈瘤の形態情報を基に3D鋳型模型を作成し、内部に培養した初代培養ヒト臍帯動脈内皮細胞にヒトの脳血流を模倣した灌流負荷後、内皮細胞の網羅的遺伝子発現プロファイルを解析した。主成分解析で瘤内各部位の内皮細胞の主成分スコアはクラスターを形成し、瘤外の内皮細胞の主成分スコアと異なる位置を占めた。一方、瘤外の内皮細胞の主成分スコアはクラスターを形成せず、流速の違いが影響している可能性が考えられた。Gene Ontology解析で瘤内の内皮細胞に、内皮細胞の機能不全を示唆する遺伝子発現低下が検出された。結果の検証のため、モデル動物に誘導した脳動脈瘤を対象に電子顕微鏡観察を実施し、内皮細胞間のタイトジャンクション破綻が示唆された。ヒト脳動脈瘤病変を対象とした免疫組織化学で、瘤内の内皮細胞で内皮細胞マーカーおよび内皮細胞機能を反映するリン酸化型 eNOS の発現が減弱していた。 上記より 3D 鋳型模型を用いた脳動脈瘤壁内皮細胞の遺伝子発現プロファイル解析法の可能性が示された。今後の研究の発展には乱流に交絡し得る流速等の因子を明らかにする必要があるため、流速等の要因について複数の条件検討を行い、乱流と交絡する因子を同定および統計的に排除した上での解析の必要性が考察された。      以上の研究は脳動脈瘤壁内皮細胞の遺伝子発現プロファイルの解明に貢献し脳動脈瘤の病態研究に寄与するところが多い。   したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、令和５年３月１日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

3D鋳型模型を使用して解明した未破裂脳動脈瘤の内皮細胞機能不全

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/284085/2/yigak04981.pdf

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