Ken Ohta

Naoki Nishimura

Taro Matsuo

Tomomi Masaki

オオタ ケン

ニシムラ ナオキ

マサキ トモミ

マツオ タロウ

太田 謙

松尾 太郎

正木 智美

西村 直樹

正木, 智美

マサキ, トモミ

Masaki, Tomomi

太田, 謙

オオタ, ケン

Ohta, Ken

松尾, 太郎

マツオ, タロウ

Matsuo, Taro

西村, 直樹

ニシムラ, ナオキ

Nishimura, Naoki

AROUS Academic Repository of Okayama University of Science / 岡山理科大学学術リポジトリ

Naturalistae 20: 109-114 (Feb. 2016) © 2016 by Okayama University of Science, PDF downloadable at http://www.ous.ac.jp/garden/- 109 -　解説自然植物園研修会報告｢第２回岡山市内でカヌーによるエコツアーを考える｣正木智美1・太田 謙1・松尾太郎1・西村直樹1I. はじめに2013年度の教育研究及び事務部門各評価委員会において，自然植物園で学生向けにアクティブ・ラーニング的な実習ができないか，また，講義として開講されている｢屋久島エコツーリズム技法｣のような実習ができないかという意見をいただいた．また同時期，園長が｢野外でのフィールドワーク実習を増やして欲しい｣という要望を本学学生から受けていた．そこで，自然植物園で｢岡山市内でカヌーによるエコツアーを考える｣を開催し，実習として成立するか検討してきた．2014年の第１回は，屋久島で活動されているプロガイドの松本　毅先生(YNAC：屋久島野外活動総合センター代表)を講師としてお招きし，岡山カヌークラブ(岡山市)のご協力のもと開催した(太田ほか 2014)．このとき，松本先生から｢旭川とその生き物を含む環境がエコツアーのコースとなり得るのではないか｣との感想をいただいた．その結果を踏まえ，第２回は，自然植物園職員と岡山カヌークラブだけ(つまりプロガイドの協力なし)での開催を試みた．今回は，｢水の流れと生き物たち｣を大テーマとし，それに関わる植物(ヤナギ類)，二枚貝類，百間川の歴史の３つの少テーマを設けた．開催前には，コースとその周辺の生き物と環境についてしらべ，現地調査を行った．また，終了後にアンケート調査をおこない，次のテーマや課題について検討した．また，９月22日にカヌー未経験者のために旭川(京橋付近)で｢カヌー体験会｣を開催した．開催日時：平成27年11月７日(土)10:00～14:00コース：岡山市北区中原橋～京橋の間(旭川全長　　　　６km，図１) 主催者：太田 謙(ガイド)，正木智美(司会)，　　　　西村直樹園長・松尾太郎(地上支援班)協　力：岡山カヌークラブ(本谷光円氏，        梶谷春治氏，妹尾和弘氏，祇園絵里氏)参加者：学生(７名)，一般(１名)，        岡山カヌークラブ員(５名)　計13名II. 今回のコースのねらい・カヌーに乗ることにより，普段とは違う，川か　らの視点で岡山市を考える・今まで知らなかった生き物の世界を知ること　で，未知の生き物についての探求心をはぐくむ・田園地帯(中原橋)から市街地(京橋)まで下る　ことにより，旭川とそこに住む人とのかかわ　りについて考える・百間川のなりたちについて知り，水害と人々の　歴史について知る・水辺に生育する植物を身近に感じ，新たな知　識を得る・水中に生息する二枚貝，魚類に目を向け，それ　らの生活の場である水質について考える１．〒700-0005 岡山県岡山市北区理大町 1-1 岡山理科大学自然植物園．The Botanical Garden, Okayama University of Science, 1-1, Ridai-cho, Kita-ku, Okayama-shi, Okayama-ken 700-0005, Japan.- 110 -正木智美・太田 謙・松尾太郎・西村直樹図１．ツアーを行ったルート．中原橋明星堰岡山理科大学岡山駅六挺樋堰京橋スタートゴール- 111 -岡山市内でカヌーによるエコツアーを考えるIII. 開催後のアンケート結果回答数：13名(回答結果は，のべ人数による)集計日：平成27年11月11日１．本日ご参加いただいた理由をお聞かせください(複数回答可)．□ 学内ポスターを見て(４名)□ 以前参加した方に聞いて(４名)□ その他・西村先生に誘っていただいて(２名)・本谷さんにお誘いを受けた(２名)・昨年も参加して良かったから(１名)・参加者に誘ってもらって(１名)・カヌークラブ指導員として　(１名)・カヌーの関係です(１名)２．今回解説した項目のうち，一番こころに残ったテーマがあればお聞かせください．□ ヤナギ類の生態(六挺樋堰から約200m上流　 ワンド状の地形，図２)(５名)□ 小島群と川砂利採取(清水堰・六挺樋堰間　 の瀬，図３)(３名)□ 旭川の二枚貝類(清水堰・六挺樋堰間の瀬)　　(６名)□ 湧水池(昼食場所：明星堰の下流側，図４) 　　　(２名)□ 百間川と荒手(昼食場所：明星堰の下流側) 　　　(０名)□ その他・水辺の気持ち良さ・何回かボート(個人で)乗っていて，見ていたの　に全く知ることができなかった事を知れてよ　かった・貝の成長や砂と石での生態の違いは知りませ　んでした図２．六挺樋堰付近．図３．小島群．図４．湧水池．- 112 -正木智美・太田 謙・松尾太郎・西村直樹３．旭川について，より詳しく知りたいことがありましたらお聞かせください．【全般】・今回，初めて知ったことがあり，とても楽しか　った．また，お願いします．・島のあたりをもっと入り組んだような所を冒険　してみたかったです．・もっといろんな生き物を知りたいです．特に，　カヌーをしないと見られないものとか気にな　ります．【生物】(１)植物・ヤナギなどの樹木が旭川の周りの人々にどの　ように利用されていたかも，あればおもしろい　かもしれません．・小島のアカメヤナギの気根の話は面白かった．　他にも実のなっている植物や花の咲いている植　物があったのでそのお話を聞きたい．・水草相とその現状を知りたいです．(オオカナ　ダモ，コカナダモ，クロモなどの違い(姿や生　育環境)を知れたらと思います．)(２)魚類の生育状況(２名)(３)鳥類の生育状況(２名)【川・水】・上流・中流・下流の水質の違い(２名)・水質を良くする生物について・川に生息する生き物について・水深について【生活】・旭川での漁業の様子・旭川と人の生活のかかわり・石の大きさについて・昔の県北と県南につながる経済を支えた河と　聞いています．高瀬舟の往来はいかに行われ　ていたか，どの位の時間を要したかが詳しく　知りたい．４．ご参加にあたり，サポートが必要な場面についてお聞かせください．・自然体験カヌーのメルマガなどがあれば嬉し　いです．・カヌーの技術的指導をして欲しい・転覆したときの対処・三野の瀬や新幹線の瀬は，特にサポートが必要　(当日，旭川の水位が低く，浅瀬でカヌーを　降りて引く場面があった)・途中のどが乾いたので水分を持つ人を１人つけ　ていた方がよかったかと思った．・将来，新入生達の指導サポートができる体制作　りが必要．IV．結果１．エコツアーについて事前のスケジュールでは６時間と設定したが，実際は約１時間30分オーバーした．特に，昼食時間から午後のスケジュールに時間のずれが見られた．当日の天候や事前準備及び移動時間の問題や内容を考慮する必要があるが，１日８時間程度で10名以内の参加人数であれば，エコツアーは充分開催できるレベルである．また，アンケート結果は，参加者が小テーマである植物(ヤナギ類)，二枚貝類，百間川の歴史にもとづき，大テーマ｢水の流れと生き物たち｣について興味を持てるようになったことを示していた．テーマとなる生き物が目の前にあり，自分で見て触れ，解説を聞くことで知識を深めることができたと思われる．特に，普段から旭川でカヌーをされている岡山カヌークラブの方々から，通常の水の上から水の中，またその周辺のほかの生き物についても知りたいとの感想をいただいた．２．野外実習について10名以上の多人数での実習は，安全対策及びカヌーの数や到着地点から出発地点への移動を一度におこなうのが難しいため，カヌーによる実習の開催は難しい．ただし，今回のコースにおいて，明星堰付- 113 -岡山市内でカヌーによるエコツアーを考える図５．明星堰周辺．実習候補地三野公園明星堰近(図５，６，７)では，安全にカヌー体験および周辺の生き物調査等の実習をするのに適していると思われた．たとえば，大学の実習として，10名のチームで３組に分かれ，それぞれ(１)カヌー体験，(２)水辺の安全講習会と旭川の生き物調査，(３)周辺の植生調査，などのテーマに沿った実習が同時におこなえると考えられる．３．アクティブ・ラーニングについて今回のコース周辺には，旭川のほかにも百間川，龍ノ口山，岡山城等の自然や歴史に関する適地がある．これらについては，『岡山学』研究会が継続して研究を進めているため(岡山理科大学『岡山学』研究会 2005,2006,2007,2008)，フィールドワークを希望する学生には良い実習地になると考えられる．また，本学にはすでに学生主体の活動団体があり，学外で自然観察会やフィールドワークを主体的におこなっている．自然植物園では，このような学生たちを支援していく予定である．４．その他今回は，カヌー経験のある岡山理科大学の学生を対象として募集をおこなった．開催場所と内容を考慮すれば，小学生高学年から社会人を対象にしたエコツアーも開催できると考えている．V．課題１．トイレ開催地のコース周辺には，集合解散場所の京橋でのみトイレが利用できる．昼食時の明星堰で，レンタルトイレの設置が望まれる．２．安全対策(資格取得・指導者の育成)今回のエコツアーは，岡山カヌークラブ指導員により安全を確保して実施することができた．今後，本学学生及び，教職員を対象に講習会を開催し，カヌーに関する資格取得を支援することにより，学内でもサポートできる体制を作る必要がある．図６．明星堰上流側(実習候補地)．図７．明星堰での説明の様子．- 114 -正木智美・太田 謙・松尾太郎・西村直樹３．生き物に関して(調査)今回のコース(中原橋～京橋)までの６kmの間に見られた生き物は，事前に調査をしていたが，種名を特定できないものが多かった．今後，卒業研究などを通して知識を蓄積していくことが望まれる．VI．まとめ岡山市の自然豊かな旭川を利用することで，大学でのアクティブ・ラーニング的な実習および野外実習を実施できると判断した．(2015年12月03日受理)VII．参考文献太田 謙・正木智美・松尾太郎(2014)．カヌーによる旭川エコツアー -水の上から川を見ると，いつもと違ったものが見えてくる-．Naturalistae 19：75-78．岡山理科大学『岡山学』研究会(2005)．シリーズ『岡山学』３ ｢旭川を科学するPart１｣．1-110pp．吉備人出版，岡山．岡山理科大学『岡山学』研究会(2006)．シリーズ『岡山学』４ ｢旭川を科学するPart２｣．1-98pp．吉備人出版，岡山．岡山理科大学『岡山学』研究会(2007)．シリーズ『岡山学』５ ｢旭川を科学するPart３｣．1-107pp．吉備人出版，岡山．岡山理科大学『岡山学』研究会(2008)．シリーズ『岡山学』６ ｢旭川を科学するPart４｣．1-117pp．吉備人出版，岡山．

シゼン ショクブツエン ケンシュウカイ ホウコク ダイ２カイ オカヤマ シナイ デ カヌー ニヨル エコツアー オ カンガエル

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