小腸出血に対するTAE施行後に切除しえた回腸MALTリンパ腫の1 例

Abstract

小腸出血は出血源の同定やその治療方針の決定に難渋することがある.今回,小腸出血に対し経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization ,以下 TAE)にて止血し,AEから約1 か月後に再出血したため,腹腔鏡下回腸部分切除術を施行した1 例を経験した.症例は71歳男性,血便を主訴に受診した.腹部造影CT検査より小腸出血の診断で入院となった.入院当日に血管造影検査を行い,異常な回腸動脈が出血源と診断しTAE を施行した.入院14日目にプッシュ式小腸内視鏡を施行したが,出血部位の確認は困難だった.退院後約1 か月で再度血便を認め,繰り返す小腸出血に対し腹腔鏡下小腸部分切除術の方針とした.出血部の同定が困難と予想されたが,回腸腸間膜に発赤を伴った楔状の変化を認め,同部位を出血源と判断し回腸部分切除を施行した.切除検体は病理検査にて回腸MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断された.楔状の腸間膜変化は当初TAE による虚血性変化と考えたが,病理所見から腫瘍の腸間膜浸潤による変化だった.術後1年を経て再発なく経過観察中である

    Similar works