食べること/食べられること:マーガレット・アトウッド「わんぱくグリゼルダ」の二重性

Abstract

本稿は、疫病流行下の隔離状況を描くマーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)のSF短編「わんぱくグリゼルダ」(“Impatient Griselda,” 2020 )に、形式・内容にまたがって複数のレベルでアダプテーションの原理が適用されていることに着目し、そのような手法を通してパンデミック下における日常/非日常の複雑な重なり合いが表現されていることを分析する。この短編の主題が「食」にある点を指摘したうえで、コロナ禍での食文化の変化、アトウッドのキャリアを通じた食という主題の重要性、短編中の捕食/被食関係の描かれ方を順に検証することで、複数の二重性が食の問題に焦点化する過程を明らかにする

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