SONOHARA, Tetsuya

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広島大学学術情報リポジトリHiroshima University Institutional RepositoryTitle小説『ミハリス隊長』概観 : 第一章翻訳を終えて見えたものAuthor(s)其原, 哲也Citationプロピレア , 28 : 47 - 48Issue Date2022-12-30DOISelf DOIURLhttps://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00053434RightCopyright (c) 2022 日本ギリシア語ギリシア文学会Relation47- 46 -  16) 訳文は松平先生のものです。松平千秋訳『ヘロドトス 歴史 中』（岩波文庫、1972）、260 頁より引用。 17) 同上、269 頁。 18) 訳文は久保先生のものです。久保正彰訳『トゥーキュディデース 戦史上』（岩波文庫、1966）、219 頁より引用。 19) 久保訳『戦史 下』（岩波文庫、1967）、198 頁より引用。 - 47 -   発表要旨   小説『ミハリス隊長』概観 ―― 第一章翻訳を終えて見えたもの ――  其原 哲也 翻訳家 国際カザンザキス友の会日本支部会員  本発表において、私はまず、日本ギリシア語ギリシア文学会入会のあいさつをさせていただき、本発表に臨む趣旨を説明させていただきました。 発表の第一部は、「カザンザキスとその『ミハリス隊長』」と題して、⑴カザンザキスの生涯、⑵作者本人にとっての『ミハリス隊長』、⑶近代ギリシア文学の中での『ミハリス隊長』について、ごく簡単ですが、説明しました。 『ミハリス隊長』は、近代ギリシア文学を代表する作家、ニコス・カザンザキスがその多彩な思想遍歴の末、晩年フランスのアンティーブに定住していた時に書き上げた小説群の中の一冊で、近代ギリシア文学の最高峰ともみなされる作品です。彼の子供時代に見た 1889年のクレタ蜂起と彼の父親をモデルにした抵抗運動家、ミハリス隊長の活躍を描いています。 第二部では、第一章の拙訳からの要約と、ウィキペディアを参照した第二章以降のあらすじを紹介しました。 物語は、当時メガロ・カストロと呼ばれたイラクリオの約二百五十年にわたるトルコによる支配を背景にして、ギリシア系住民で魚屋でゲリラ戦士のミハリス隊長の一族とその幼馴染にしてライバルでもあるトルコ人の行政長官ヌール・ベイの一族の三代にわたる因縁と闘争を基軸に、ミハリス隊長とヌール・ベイとその妻エミネとの三角関係も絡め、イラクリオの各階層の人々を巻き込んで、蜂起の悲劇的な顛末が描かれるというものです。 第三部では「《大人の成長物語》としての『ミハリス隊長』」と題して、私がこの小説を読解して思ったこと、この小説の主題が何か私が考えたことを物語へのアプローチのひとつとして提示しました。 まず、⑴「クレタ蜂起と『ミハリス隊長』」で、クレタ島では八百年以上前のヴェネツィア時代から、時の支配者に対する住民の蜂起が繰り返され、トルコ支48- 48 -  配時代になってもその伝統は続き、特に 1821 年のギリシア独立戦争以降それが激化したことを示しました。次に、⑵「悲劇としての『ミハリス隊長』」で、物語に対する私の疑問を記しました。最後に、⑶「希望としての《成長》」で、この小説に対する評価の帰趨を決するかもしれない要素について述べました。 そして、実際に本作品をどうお読みになるかは読者の皆様にお任せしたいと思います。  

小説『ミハリス隊長』概観 : 第一章翻訳を終えて見えたもの

https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/5/53434/20230111132153856862/Propylaia_28_47.pdf

Παρατηρήσεις με βάση τη μετάφραση του πρώτου κεφαλαίου του Καπετάν Μιχάλη του Νίκου Καζαντζάκη

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