Ayaka OMICHI

Kazuya Kitamori

Miho Sakima

Nami KYOGOKU

京極 奈美

佐喜眞 未帆

北森 一哉

大道 文香

Sakima, Miho

1404

9000006666329

OMICHI, Ayaka

2187

KYOGOKU, Nami

2188

Kitamori, Kazuya

1167

9000006655997

佐喜眞, 未帆

大道, 文香

2185

京極, 奈美

2186

北森, 一哉

Kinjo Gakuin University Repository / 金城学院大学リポジトリ

― 9 ―栄養系女子大学生，短大生の食育に関する意識調査Research on Attitude Survey of Dietary Education of Nutritional Students.佐喜眞　未　帆 1　　　大　道　文　香 2　　　　　　　　　 Miho SAKIMA　　　　　　  Ayaka OMICHI京　極　奈　美 2　　　北　森　一　哉 3　　　　　　　　  Nami KYOGOKU　　　　　 Kazuya KITAMORI1 ．はじめに2005年 6 月に「食育基本法」が制定され，国，都道府県，市町村レベルで食育が推進されてきた。なかでも，第 2次，第 3次食育推進基本計画 1 ）において，20代～30代の若い世代は，他の世代に比べ食に関する知識，意識，実践において課題が多いとされ，「若い世代の食育」が重点課題の 1つとされてきた。2015～2019年度に行われた第 3次食育推進基本計画における数値目標の達成状況（令和元年 8月末時点）2 ）から，総合的な目標である「食育に関心を持っている国民の割合」について，改善はしているものの目標である90％以上には達していない。また，重点課題の 1つである「若い世代を中心とした食育の推進」では，「食文化の継承」や「食の安全性」においては，目標値に達しているが，「朝食欠食をする若い世代の割合」と，「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を 1日 2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」については，第 3次計画作成時よりも悪化している。しかし，2020年度から開始された第 4次食育推進基本計画 3 ）における重点事項は，「生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進」，「持続可能な食を支える食育の推進」，「「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進」となり，「若い世代」というワードはなくなったが，第 4次食育推進基本計画における食育の目標には，引き続き「朝食を欠食する若い世代」，「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を 1日 2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」が掲げられており，若い世代に対する食育は重要であると考えられる。そこで，本研究では栄養系学科の女子大学生（管理栄養士養成課程）と短大生（栄養士養成課程）を対象に，大学生と短大生との意識の違いについて，養成課程の違いが食育に関する意識や食行動に差があるかについて検討した。2 ．方法⑴　対象と調査時期I 県K大学管理栄養士養成課程に所属する女子学生 1～ 4年生239名（19.7±1.2歳）とI県K短期大学栄養士養成課程に所属する女子学生 1～ 2年生74名（19.3±3.5歳）を対象とし，令和元年 6月～ 7月に食育と食行動に関1名古屋女子大学健康科学部健康栄養学科2金沢学院短期大学食物栄養学科3金城学院大学生活環境学部食環境栄養学科金城学院大学論集　自然科学編　第19巻第 1号― 10 ―2022年 9 月する自記式質問紙調査を実施した。⑵　調査内容調査項目は，「食育」の認知度，食育への関心，自炊頻度，主食・主菜・副菜を食べる頻度，必要なエネルギー量についての理解，適切なエネルギーの摂取に関する項目で，選択回答方式とした。⑶　倫理的配慮質問紙は無記名とし，学生には調査の趣旨と概要，回答の有無による不利益が生じないこと等を口頭で説明した。調査票の回答（質問紙の提出）によって，本研究へ同意したとみなした。また，本調査は金沢学院大学倫理委員会（人を対象とする研究）にて承認を得た上で実施した（承認番号：人研倫R10002）。⑷　解析方法得られたデータは，大学生・管理栄養士養成課程（以下，「大学生（管理栄養士課程）」とする），短大生・栄養士養成課程（以下「短大生（栄養士課程）」とする）の 2群に分け，所属する養成課程の違いによる意識の差につい て， 統 計 ソ フ トSPSS Statistics 21.0 for Windows（日本IBM株式会社）を用いて，クロス集計後 x 2検定を行った。有意水準はp＜0.05とした。なお欠損値は項目ごとに除外した。3 ．結果⑴　対象者特性について表 2に，本調査対象者の対象者特性（居住形態）を示した。　⑵　食育の言葉と意味について「食育という言葉や意味を聞いたことがあるか」について，図 1に示した。「食育という言葉も意味も聞いたことがある」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で95.8％，短大生（栄養士課程）で80.8％であり，両群ともに高い割合を示した。一方，「言葉は聞いたことがあるが意味は聞いたことがない」と回答した者は，短大生（栄養士課程）の方が，大学生（管理栄養士課程）よりも多かった（p＜0.01）。⑶　食育への関心について「食育について関心があるか」について，図 2に示した。食育に関心があると回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では54.4％，短大生（栄養士課程）では37.0％と，短大生（栄養士課程）の方が関心を持っている学生表2．対象者特性（居住形態） 人（％）　 家族と同居 下宿 寮 その他 合計大学生（管理栄養士課程） 148（61.9） 39（16.3） 30（12.6） 22（  9.2） 239（100）短大生（栄養士課程） 42（56.8） 5（  6.8） 18（24.3） 9（12.1） 74（100）表1．調査対象者大学生（管理栄養士課程） 239名短大生（栄養士課程） 74名80.8 95.8 19.2 4.2 0% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生（管理栄養士課程）n=237言葉も意味も聞いたことがある言葉は聞いたことがあるが、意味は聞いたことがないx 2 検定：p＜0.01 図１．食育の言葉と意味― 11 ―栄養系女子大学生，短大生の食育に関する意識調査（佐喜眞ほか）が少なかった（p＜0.01）。一方で，「どちらかといえば関心がない」または「関心がない」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では6.7％であったのに対し，短大生（栄養士課程）では19.2％であった。⑷　必要なエネルギー量の理解について普段の食事で必要なエネルギー量（適量）について知っているかについて，図 3に示した。必要なエネルギー量を「知っている」と回答した者は大学生（管理栄養士課程）では68.8％，短大生（栄養士課程）では61.6％，「知らない」と回答した者は大学生（管理栄養士課程）で31.2％，短大生（栄養士課程）で38.4％と，どちらの群も 6割以上の学生が普段の食事における必要なエネルギー量を「知っている」と回答していた。⑸　エネルギーの摂取状況（自己評価）について普段の食事で必要なエネルギー量を摂取しているかについて，図 4に示した。「ちょうどいい」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では51.5％であるのに対し，短大生（栄養士課程）では38.9％と少なかった。また，「摂りすぎている」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で21.1％，短大生（栄養士課程）で23.6％とほぼ同じくらいの割合であったが，「少ない」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で27.4％，短大生（栄養士課程）で37.5％と，大学生（管理栄養士）に比べ短大生（栄養士課程）の方が多かった。⑹　自炊頻度について自炊の頻度について，図 5に示した。自炊する頻度について，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）ともに，「ほとんどしない」と回答した者が最も多く，大学生（管理栄養士課程）では，55.0％，短大生（栄養士課程）では，60.3％であった。また，週に 2日以上自炊すると回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では45.0％，短大生（栄養士課程）では39.7％と，大学生（管理栄養士課程）の方がやや多かった。⑺　主食・主菜・副菜を食べる頻度について主食・主菜・副菜を 3つそろえて食べることが 1日 2回以上ある日は週に何回あるかに図 4.37.054.443.838.915.15.04.11.70% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生(管理栄養士課程）n=239関心がある どちらかといえば関心があるどちらかといえば関心がない 関心がないx 2検定：p＜0.01図２．食育への関心61.668.838.431.20% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生(管理栄養士課程）n=237知っている 知らない図３．必要エネルギー量についての理解23.621.138.951.537.527.40% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生(管理栄養士課程）n=237摂りすぎている ちょうどいい 少ない図４．エネルギー摂取量についての自己評価13.712.62.78.423.323.960.355.00% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生(管理栄養士課程）n=238ほぼ毎日 週に4～5日 週に2～3日 ほとんどない図５．自炊する頻度金城学院大学論集　自然科学編　第19巻第 1号― 12 ―2022年 9 月ついて，図 6に示した。1日 2回以上，主食・主菜・副菜をそろえて食べる頻度が最も多かった回答は，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）とも「ほぼ毎日」で，それぞれ，33.6％，40.3％と，短大生（栄養士課程）の方が多かった。また「ほとんどない」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では11.3％，短大生（栄養士課程）では15.3％と両群ともに最も少なかった。4 ．考察本研究は，管理栄養士課程に所属する大学生239名と，栄養士課程に所属する短大生74名に対し，令和元年 6月～ 7月に食育と食行動に関する自記式質問紙調査を実施し，同じ栄養系大学・短大に在籍する学生であっても教育課程の違いによる食意識の差，食行動の差がみられるかを検討した。食育に関するアンケート結果より，「食育の言葉も意味も聞いたことがある」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で 9割，短大生（栄養士課程）で 8割を超えていたが，「言葉は聞いたことがあるが，意味は聞いたことがない」と回答した者は，短大生（栄養士課程）の方が大学生（管理栄養士課程）よりも 1割以上多かった（p＜0.01）。また，食育への関心についても，「関心がある」または「どちらかといえば関心がある」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で 9割，短大生（栄養士課程）で 8割を超えていたが，「どちらかというと関心がない」または「関心がない」と回答した者は，短大生（栄養士課程）で，約 2割と多いことが分かった。これらの結果から，「食育」に関する関心度については，管理栄養士課程に所属する大学生の方が，意識が高いことが分かった。また，学ぶ分野の違いによる食意識の差については，令和元年度大学生の食に関する実態・意識調査報告書（群馬県）4 ）の結果からも同様の結果が示されていることから，同じ栄養系の分野であっても教育課程の違いによる意識の差があることが考えられる。他にも，結果として示してはいないが，学科だけでなく，食に関する意識や食行動には居住形態が与える影響 5 ）－ 8 ）も考えられるが，本調査対象者においては居住形態による差は認められなかった。食行動に関するアンケート結果から，普段の食事で必要なエネルギー量（適量）について知っているかについて，「知っている」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）ともに 6割以上であったが，普段の食事で必要なエネルギー量を摂取しているかについては，「ちょうどいい」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）で 5割以上であるのに対し，短大生（栄養士課程）では 4割以下と少なかった。さらに，「摂りすぎている」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）とも 2割以上と，ほぼ同じ割合であったが，「少ない」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）よりも短大生（栄養士課程）で 1割高いことが分かった。また，自炊する頻度について，「週に 2～ 3 回」以上自炊を行う割合は，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）ともに，約 4割で，大学生（管理栄養士課程）の方が若干多くはあったが，差は認められなかった。これは，両群ともに居住形態（表 2）の状況がほぼ同じであること40.333.623.628.220.826.915.311.30% 50% 100%短大生（栄養士課程）n=73大学生(管理栄養士課程）n=238ほぼ毎日 週に4～5日 週に2～3日 ほとんどない 図６．主食・主菜・副菜を食べる頻度― 13 ―栄養系女子大学生，短大生の食育に関する意識調査（佐喜眞ほか）が要因であると考えられる。さらに，主食・主菜・副菜を 3つそろえて食べる頻度が最も多かったのは，大学生（管理栄養士課程），短大生（栄養士課程）とも「ほぼ毎日」で，それぞれ33.6％，40.3％で，短大生（栄養士課程）の方が若干多く，「ほとんどない」と回答した者は，大学生（管理栄養士課程）では11.3％，短大生（栄養士課程）では15.3％と，大学生（管理栄養士課程）の方が少なかった。これらのことから，食行動においては 2群間に大きな差は認められなかった。この結果は，食育の認知や食育の関心が低くても食行動が必ずしも低いというわけではない。という町田らの 5 ）報告と同様の結果となった。以上より，管理栄養士養成課程に所属する大学生の方が，栄養士養成課程に所属する短大生に比べ，食育に関して興味・関心が高いことが分かった。しかし，「エネルギー摂取状況（自己評価）」および自炊頻度，主食・主菜・副菜を 1日 2 回以上食べるといった「食行動」については，いずれも差は認めらなかった。この理由として，必要なエネルギーを摂取するためには，ある程度の費用も必要であることから，教育課程の違いだけでなく，経済的要因も影響 9 ）している可能性が考えられる。5 ．参考文献1 ）農林水産省，「食育白書（第 3次）」　https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h29_wpaper.html　2022年 5 月10日最終アクセス2）農林水産省，「食育白書（第 4次）」　https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/attach/pdf/r2_wpaper-13.pdf　2022年 5 月10日最終アクセス3）農林水産省，第 3次食育推進基本計画の達成状況（令和元年 8月末時点）資料 3 - 1　https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kaigi/attach/pdf/r1_01-25.pdf  2022年 5 月15日最終アクセス4）群馬県：令和元年度大学生の食に関する実態・意識調査報告書　https://www.pref.gunma.jp/02/d29g_00265.html　2022年 5 月10日最終アクセス5）町田大輔，神山智子，渡辺由美，綾部園子．群馬県内の大学生における食意識と食行動：大学生の食に関する実態・意識調査，高崎健康福祉大学総合福祉研究所紀要，第18巻第 1 号，43-56（2021）6 ） 笠巻純一, 宮西邦夫, 笠原賀子, 松本裕史, 西田順一, 渋倉崇行．女子学生の栄養摂取状況に影響を及ぼす居住形態と食行動～ 1年間の縦断調査結果の分析から～，Health and Behavior Sciences，18巻 1 号，13-29（2019）7 ）関千代子，池田昌代，柴﨑知子，山口祐佳里，丸岡紗貴，丸山貴大，澤山茂，平澤マキ，君羅満居．住形態から見た女子大学生の食意識と食行動，東京農大農学集報，58（2），97-104（2013）8 ）濵口郁枝, 奥田豊子, 内田勇人, 大喜多祥子, 福本タミ子, 北元憲利．大学生に対する食育が食行動に及ぼす影響，日本食育学会誌， 6巻第 3号，257-264（2012）9 ）林芙美，武見ゆかり，村山伸子．成人における経済的要因と食に関する認知的要因，食行動，および食のQOL との関連，栄養学雑誌，Vol.73 No.2 51-61 （2015）

Research on Attitude Survey of Dietary Education of Nutritional Students.

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栄養系女子大学生，短大生の食育に関する意識調査

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