Article信州大学工学部紀要 78: 15-22 (1997)departmental bulletin pape

内堀,  晃彦

山浦,  弘夫

師玉,  康成

Japanese

Shinshu University Institutional Repository

Jouτ11a，l　ofもhe　Fa，culty　o圭Engilleeri礁g，　Shillshu　University，　No．78，1997　　　　　　　　　信州大学工学部紀要第78号！5遺伝的アルゴリズムを用いたファジィ推論の最適化の収束性内堀晃彦＊師玉康成＊＊山浦弘夫＊＊　　　　　　（平成9年5月30日受理）The　Convergency　of　Optimizing　Fuzzy　Logic　with　Genetic　　　　　　　　　　　　　　　　　AlgorithmAkihiko　UCHIBORI＊ Yasunari　SHIDAMA＊ Hiroo　YAMAURA　We　collsidered　the　coI｝vergellcy　of　Geneもic　Algorlもhm（GA）fo慰Fuzzy　Logic．　Thecolnpact王Less　of　fεし1nily　of　melnbersh三p　fullctions、vh三ch　deaae　productioR　lu｝es　in11）1圭esthe　convergellcy　o｛tlle　algorlもhm．　AIld　beca、use　o£the　continuit｝・of　the　cosもfllnぐtion，the　existeRce　of　optima｝soluも三〇a　is　assured．　For　co簸sideriRg　the　collvergellcy　o重tlle　GA，　it圭s　necessそしryも。　discuss　the　colwergellcyof　illfiniもe　sequellce　of　a　fami玉y　of　membersl≧童p　funct圭ons　used　i1｝the　Algor圭むhm．　Thereforeうthe　compacもness　ofもhe　sequence　is　very　inlportant・〆15coγゴーン4ZzeZ～ビs　theoyy　ilnP1玉es　thecompactness．　And　the　compac撫ess　andもhe　contilmity　o罫the　cost　fullcもioll　imply　theexiste且ce　of　oPも三1皿al　solutio11．1。　はじめに　近年，ファジィ推論を用いた制御の最適化を遺伝的アルゴリズムを用いて行うことの有用性がKarrなどによって報告されている1）．これらはファジィ推論に用いられるファジィ集合を遺伝的アルゴリズムによって逐次修正するものだが，これらのアルゴリズムの収束性や最適解の存在などの問題に関する考察は，十分なされていない．　本稿では，このアルゴリズムの収束性に関する議論のために，対象となる空間の性質に注目した．ファジィ推論の最適化に遺伝的アルゴリズムを用いると，ファジィ集合を用いたi£～the鍛規則のルール群の無限列が発生する，このアルゴリズムの収束性について考察するには，if～then規則中に現れるファジィ集合族の無限列の収束を調べる必要があり，その集合族のコンパクト性が重要になる．　本論文では，ファジィ推論の遺伝的アルゴリズムを用いた最適化問題を考察し，その収束性や最適解の存在について上記のコンパクト性を用いて調べ，簡単な検索エージェントを例にしたシミュレーション結果について報告する．寧大学院博士後期課程システム開発工学専攻艸構報工学科教授16 内堀晃彦・師玉康成・山浦弘夫2。　ファジィ集合族の収束性と最適解の存在2．1　収束性と最適解の存在　ファジィ推論を行なう際には，プロダクションルールをファジィメンバーシップ関数で表現する．ファジィ推論を最適化するということは，このメンバーシップ関数を最適化するということである．　遺伝的アルゴリズムでファジィ推論を最適化すると，何世代にもわたるファジィメンバーシップ関数の列が生じる．このアルゴリズムの収束について考察するということは，この関数列の収束性について考察するということであり，このためには，ファジィ集合族のコンパクト性という性質が重要になる．遺伝的アルゴリズムを行う際に生じるルール群は，条件部と結論部のメンバーシップ関数に特徴づけられる．適応度にいくつかの集積点がみられるということは，この遺伝的アルゴリズムにより生成されうるメンバーシップ関数の無限列が集積点をもつということになる．　メンバーシップ関数μを以下の集合F（△，のの要素とする．△及びαを十分大きな正数7を十分小さな正数とするF（△，の全｛μ・［0，α］→［0，！］，∀鉄〆∈［0，・］，1μ＠）一μ＠’）1≦△1諾一ω’1，IIユi鍛μ（ω）≧！γ｝ユ，∈［0，α｝（1）　このメンバーシップ関数の集合F（△，7）は，ファジィ推論に用いられる，ほとんど全てのメンバーシップ関数を実質的に含んでいる．また，このメンバーシップ関数は演算〉，〈，7以上の頭切りについて代数的に閉じている．ファジィ推論における，頭切りされた結論部の和集合の集合も，これらと同等の性質を持つものと考えてよい。　メンバーシップ関数の無限列の集積点等を調べるにはこのF（△，7）のコンパクト性が重要である4）．　F（△，のは区間［0，α］上の連続関数全体σ［0，α］の部分集合として，一様位相に関してコンパクトである（後節に証明を示す）．すなわち，｛μ｝をF（△，7）の任意の無限列とするとき，｛μ｝の無限部分列｛隔｝とμ。。∈F（△，7）が存在して｛隔｝はμ。。に…様収束する4）．これは｛μ｝がいくつかの集積点を持つことを意味している．　一F（△，ののコンパクト性が成り立つので，プロダクションルールがメンバ～シップ関数のη重対で構成されているとすると，プロダクションルールで用いるファジィメンバーシップ関数のη重対を含むF（△、のηもコンパクトである．したがって，このF（△，のπの元によって定められるルールによる適応度を表す関数が連続であるとすると，この適応度関数の無限列は必ず集積点を持つことになる．　また，コンパクトな集合からの連続な写像には最大値，最小値の存在が保証されているので，F（△，’γ）の適応度を最大にするプロダクションルールの存在が保証される。　　　　　　　　　遺伝的アルゴリズムを用いたファジィ推論の最適化の収束性　　　　　　　　　　172．2　充足解への収束　遺伝的アルゴリズムにとって生じる世代をσ，σ全体の集合をHとする．遺伝的アルゴリズムでは∬の一つの要：素である世代α∈D：から，交叉，突然変異という操作を行って，新たなα＋1∈Hを作りだす。これを関数α：H一→Hで表しておく．すなわち　　　　　　　　　　　　　　　　　σ妊＋1＝α（σ∂ただしαは　　　　　　　　　醐一｛G’（G’∈σ（θ（σ）鷺：1）　　　　　　　　　　　　　　　5（σ）＝｛σ【（γ∈H；」（Gノ）＞」（σ）｝ここで適応度関数」’（σ）の極大点を与えるGを充足解と呼ぶことにする．E．Polakの文献6）によれば，αおよび」（σ）が次の条件を満たすとき，このアルゴリズムによって生成される｛α｝は有限列であってその最後の要素が充足解，あるいは無限列であってその任意の集積点は充足解になる．（条件1）（条件2）」（σ）は上に有界（∀G∈H；非充足解），ヨε（G），ヨδ（G）＞0，∀σ’∈B（αε（G）），」（α（σノ））一」（（γ）≧δ（σ）＞0ただし，B（σ，ε（の）＝｛G’∈則4（G’，のくε（の｝，4（G’σ　　，）＝　ノ　　れ　　　ΣΣΣ（【【μ毎一三il・・　ぽはユたニユゾニユ　　＋1臨。ボ臨，、．il。。）　　　　　　鳶　　　　　　　　ん2．3　－F（△，ののコンパクト性の証明　F（△，ののコンパクト性を示す。［証明］（2）（3）　これは廊co短一41之ε絃の定理による．任意のμ∈．F（△，7）および2痘［0、α］について0≦μ＠）≦1が成り立つ．したがってF（△，7）は…様有界である．　また任意のε＞0について，7（ε）・＝ε／△とおけば，任意のμ∈F（△），及びω、ω’∈［0，α］に対して，　　　　　　　　1ω一ωノ［≦7（ε）ならば【μ＠）一μ（；ガ）1≦△μ一ω’1≦ε18 内堀晃彦・師玉康成・山浦弘夫が成り立つ。すなわち，F（△，のは同程度連続［2］。よってF（△，のの閉包F（△，のはコンパクトである．次にF（△，の＝．F（△，7）すなわちF（△，7）　　　　　　　　　　　　μ。∈F（△轟μ一丁μ．．（，、→。。）である任意の｛μ爵をとれば，任意の鉱〆∈［0，α］について　　　　　　　　　1μ○○＠）一μ○○（1ガ）1　＝　　1μOo＠）一μ7、＠）十μπ＠）　　　　　　　　　　　　　　　　　　一　　μη（2ノ）十μ？、（2ノ）一μQQ（2ノ）【　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦　　△1ω一1ガ【十20μσ○一μπIlOO　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　→△1の一αノ1（γ乙→○○）ただし■國。．会・・P｛1μω1；・∈［呵｝　したがって1μ。。（④一μ。。（露ノ）1≦△睡一州となるからμ。。∈F（△）であり，F（△，7）＝一F（△，7）が示される．すなわちF（△，7）はコンパクトである．q，e．d3．応用例とシミュレーション　遺伝的アルゴリズムを用いたファジィ推論の最適化の様子を簡単な検索エージェントを例に説明する．ここでは，「複数のエージェントが，検索空間の状態に応じて自律的に移動する場所を決定し，協力しながら空間全体を検索するエージェント群」を例にとる．検索空間は連続な2次元空間とし，エージェントはこれ自身も自分が存在するための一定の占有面積を持つとする．エージェントは自分の周りの一一定面積を検索し，（空聞全体ではなく）近傍の情報を得て次の検索場所を決定する．得られる情報は，近傍における他の検索エージェントの占める面積と，自分の検索済みの場所の面積の二つだけである．　エージェントはファジィ推論によって次に自分が検索する方向を決める．その際に考慮するのは，先に述べた自分の近傍の，他のエージェントに検索された場所の総面積と，検索されていない場所にいる他のエージェントの占有面積である．まず対象とする検索エージェントを中心に全方位2πをη等分し，それぞれの方位の，他のエージェントの占有面積の総和暇と，すでに検索済みの場所の総面積班を調べる．そして，検索する方向を次のファジィルールによって決める．レノ　一た一RルR蒸・if（方位んの近傍にいる他のエージェントの　　占有面積恥が少ない）then（その方向へ進む距離を大きくする．）if（方位んの近傍にそのエージェントの　　検索済みの場所の総面積翫が少ない）then（その方向へ進む距離を大きくする．）遺伝的アルゴリズムを用いたファジィ推論の最適化の収束性 ！9ζのルールに用いられる条件部，結論部のメンバーシップ関数R匙・R露・　1　　　　　1μ歪∫たラμ孟ノ己ε11た　　　　　　　ユμかたラμ〃ユ。7～た（4）　は，（1）式のファジィメンバーシップ関数の集合F（△，7）から選択する，一F（△，ののコンパクト性が成り立つので，このi銑hel注ルールで用いたファジィメンバーシップ関数の4η重対を含むF（△，7）肋もコンパクトである．したがって，このF（△，7）4’吻元によって定められるルールによる検索エージェント群Eの適応度を表す関数値JEの無限列は必ず集積点を持つことになる．適応度鳶は，これを構成している検索エージェント全体が検索できた場所の総面積とする．これは，全く異なった性質を持つ（全く異なった遺伝子を持つ）エージェント群が世代を経るにつれ，いくつかの特徴を持った塊に収敏していくことができることを示している。　方位κへの移動距離を表す数値晦（娠，脈）は，この方位の他のエージェントの占有面積の総和偏，および検索済みの場所の総面積擁に基づいて2つのルール硯，．磯からMamdaniの方法で求める．すなわち，紙切りと重心計算である．　方位はη個であるので上記の手続きによって，η個の数値m（ω1ラ〃1），…，η／＠π，阪）が求められる．これよりη個のベクトル　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2π　　　　　　　　　　　　　tノた嵩（mた＠た，班）COS（二上），　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ～，　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2π　　　　　　　　　　　　　　　　　　ηzた（のた，彩た）sin（一ん））　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（5）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γL　　　　　　　　　　　　　　　　　κ＝二1）2ラ…　　つγLを作り，これらの合成ベクトルを求め，最終的に検索オブジェクトの進むべき距離と方位が求まる．　上記のη対のルール（4）のメンバーシップ関数の最適化に遺伝的アルゴリズムを用いる．　このシミュレーションではメンバーシップ関数μ嚇，μ砺，、もμ講，μオ1、e諾を，フーリエ級数近似してその孟，α，δを遺伝子情報として選択・交叉・突然変異等の操作を行なう．μ（θ）一Σ剣・m…（・ηθ）＋δη、si・伽θ）｝　　　　　．m．　　　　　（0≦θ＜2π） （6）検索エージェント。はこれの行動を決定するファジィルールによって特徴づけられるので・一吻1，μ，・，。｝，μ・∫1，μ，1、α3，　　　　・・朔蓋，μ，漏朔蓋，匹鞠、霧）　　　∈F（△，の4πと表すことができる．検索エージェント群EはQ個の検索エージェント。から成っていて全て同一の遺伝子を持っている．20 内堀晃彦・師玉康成・山浦弘夫　1つの世代σにおけるエージェント群Eの総数はN個に固定されている．伽　σ＝（E1う…，五メう…　，五IN））　このシミュレーションで発生し得るエージェント群全体の集合σは，ひ＝F（△，の4π　とみなすことができる．また，1世代σのエージェント群数はNに固定されているから，世代全体の集合Hは，H＝σNとおくことができる．　世代G＝（E1，…，EN）に対する評価関数ノ（G）は次のものを用いた．　　　　　ア」（σ）一Σ」む　　　侮1（7）ところで本稿の」（G）はその決め方から必ず上に有界である（（2）式の（条件1）が成立）．また，証明は省くが」（σ）はGについて連続である．従って，使用する遺伝的アルゴリズムによってαがGについて，連続的な作用素として定義されるならば，十分に小さいε（θ）をとれば，（3）式の（条件2）が毎回，成り立っているものとしてよい．　さらにn窯σN＝（F（△，の4？りN＝．F（△，の4πNで，　F（△，のはコンパクトであるのでHもコンパクトである．したがって任意の無限列｛α｝は必ず集積点をもつ．よって｛σ身は充足解に収束することが期待できる．　上の設定のもとにシミュレーションを実行した．これのアルゴリズムは以下のようにまとめられる．［SもepO］　ランダムに生成した同一の遺伝子をもつエージェント群Eを一定数生成し．　これを世代σo瓢（Eδ，E8，…，E♂γ）とする．　各瑞の適応度JEI，α＝1，2，…，1V）を求める．　¢＝0［Sもep　1］　乞世代σ｛の遺伝子から乞＋1世代のエージェント群の集まりα＋1を，　JEI＋！σ需！、2，…，η）を用いた遺伝的アルゴリズムにより生成する．［Step　2］　各E！1＋1瓢（ol＋1，1，…，ol＋！，◎）についてol＋1，1，01÷1，2…，ol＋1，Qの順で　ファジィ推論によって検索を行い，　その結果から各エージェント群の適応度」『El＋1σ＝1，2．…，N），及び　世代全体の適応度」’（G岨）を求める．［Step　3］　」’（σのく」（α＋！）ならば4躍¢＋1としてαよりq＋1を生成し，　［Step　2］に戻る．遺伝的アルゴリズムを用いたファジィ推論の最適化の収束性 21そうでなければ終了．Figユにシミュレーション結果を示す．Fit狙eSSGenera七10nFig　1．　Relation　between　Generation　alld　Fi凱ess4。　おわりに　遺伝的アルゴリズムを用いたファジィコントロールの最適化についてこれを簡単な検索問題に適用し，その収束性について考察した．収束性については，遺伝的アルゴリズムによって生じるファジィ集合を用いたif～then規則群の無限列の収束性を調べる必要があり，これはファジィ集合族の無限列のコンパクト性により検討した．　これらは任意の遺伝的アルゴリズムの最適解への収束を保証するほど強力なものではない．しかし，ともすれば最適解への収束性を高めるための手法の改善のみに議論がいきがちになるこの種の研究分野において（もちろんその議論は非常に重要であるが），本論文はその理論的な基礎を築くための第一歩になると考えている．22　　　　　　　　　　　　　　　　内堀晃彦・師玉康成・山浦弘夫　　　　　　　　　　　　　　　　　　　参考文献　1）C．LKarr：”Desまgn　of　an　Adapも三ve　Fuzzy　L（）gic　ControlleごUsing　a　Genetic　Algo－　　　r曲m”（1991），P7り。，　o！4孟ん∫πオ．　Ooπ！，　oη（穿侃e痂窟g碗抗㎜　2）畝見達夫二GAの制御への応用，計測と制御，32，1　pp．58－62（！993）　3）小林重信：遺伝的アルゴリズムの現状と課題，計測と制御，32，1PP．2－9（1993）　4）コルモゴルフ，フォミ～ン著（山崎三郎，柴岡秦光訳）：函数解析の基礎（岩波書店，1979）　5）中村八束，不破秦著：コンピュータウイルス…自己増殖プログラムー（昭晃堂，1991）　6）E．Polak：Oo鴨p編α伽πα」．Mε孟ん045伽0μ2η・ぬαオ¢oη，　New　York，　Academic，1971　7）A．Uchibori，　H．　Yamazaki，　Y，　Shida1烈alld　H．　Yamaura“An　Opもimizing　Fuzzy　Logic　　　with　Geneもic　Algorit1ユm”，pToc．10Eぴ9619961EEE　3嘱∫剛e7’πα擁。πα」（フ侃！εreη，oe　　　oπ五7刀oJ冠而。η，α惚Oomp％オαあ。π（Nagoya，　Japan，1996）pp．239－242

The Convergency of Optimizing Fuzzy Logic with Genetic Algorithm

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/12750/files/Engineering78-03.pdf

The Convergency of Optimizing Fuzzy Logic with Genetic Algorithm

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