Article先進繊維技術科学に関する研究報告 平成11年度成果報告 6: 79-80(2000)research repor

宮田,  清蔵

小山,  俊樹

木村,  睦

白井,  汪芳

谷口,  彬雄

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高イオン･電子伝導性高分子材料の開発と応用一部分リン軟化ポリビニルアルコールを用いた新しいイオン伝導材料一白井江芳･小山俊樹･谷口彬雄･木村　睦･宮田活蔵*信州大学繊維学部機能高分子学科, *東京農工大学大学院生物システム応用化学研究科1.緒言イオン導電性高分子は高分子固体電解質への応用が可能であり,多く研究されている.高分子固体電解質はその高エネルギー密度,電気化学的安定性並びに容易な成型･加工性を持つため,その開発および応用研究が行われてきた.イオン導電性高分子　例えば,ホスト　高分子と　して　polyphosphazene,polyethylene oxide　を　グ　ラ　フ　下　し　たpoly(itaconate) , poly(vinylidene nuoride) ,poly(ethyleneglycol diacrylate)矧　を高分子固体電解質として用いる場合,しばしば低分子可塑剤(エチレンカーボネ-トやプロピレンカーボネ-ト)を混合している.また,ポリエチレングリコールなども高分子可塑剤として複合される.ここでは,新規高分子イオン伝導材料として,部分リン酸化ポリビニルアルコール(P-Sclleme 1†cH2-?H十IcH2-9HtT0　　　　　　　　　　0日10=p一〇~ ･ K+1o･.K+ P-PVAicH2-CH-｡in †cH21H五CO2HPEG          PÅAlcH2-9H最cH2-9H寂cH2-?HICH2-?H圭oH OヽH-0車力30/c H＼ol　/　　　l IHIO H0-cL-0〓0{cH2-9H舛cH2ltHICH2-とH+OHGP-PVA tim0ノ　l　′hU C六UO　4　cc　7-　･1　　-　　7Jl　つん　つJ　4A A A AV V V VP P P PP P P ptG G G G 5　5　5　52　2　つん　つんPVA)を基材としたポリエチレングリコール(PEG)およびポリアクリル酸(PAA)との複合フイルムを作製し,そのイオン伝導性について検討した.さらに,高分子プロトン伝導材料への応用を行った.2.実験今回用いた高分子の構造をscheme lに示した.イオン伝導率は複素インピーダンス(実行電圧lV, 5Hz-13MHz)測定から算出した.キャリアー易動度およびキャリアー密度はd. C.polarization測定から決定した.また,プロトン伝導度測定は10 wt%硫酸水溶液上(相対湿度　約90%)で行った.3.結果と考察3.1.P･PVA複合フイルムのイオン伝導挙動様々なリン酸化度を持つP-PVAにPEGを複合させたとき,そのフイルムのⅩ線構造解析および熱力学パラメーターへのPEGの効果は,非常に小さかった.一一万で,イオン伝導度はpEGの添加によって増加した.これは, PEGの可塑効果によるp-pvA骨格中の結晶化度の減少が主な要因である.また, p-pvA上のリン酸残基とpEGが相互作用することによって,キャリアー生成を促進させ,イオン伝導度を増加させる効果があることがわかった.(uJ渓)DBoT手享『8トCO2H】/トPOl】Fig･ 1･ PAA Effects on ionic condtlCtivlty at 293･ 15K(●) and333.15 K(■).-79-Fig. 1はp-PVjVPAA複合フイルム中のイオン伝導度のPAA効果について示した. pAAの添加とともに伝導度は増加し, [co2H]/[PO31=8で最大値をとり,それ以上では減少しした. P-pvAとpAAは水素結合によって相互作用し,さらにIR測定からpAA上のカルボン酸残基の一部が解離していることがわかった.おそらく, K+とイオン交換していると考えられる.また,これらの複合フイルムのイオン伝導に対する活性化エネルギーは, p-pvA単一フイルムのものと比べて著しく小さくなり, PAAの混合比にはほとんど依存しなかった.以上の結果から,我々は複合フイルム中のイオン伝導機構をscheme 2のように提案した.つまり, pAAは複合フイルム中でイオンを効果的に移動させることのできるionicconductingroadを形成する. [CO2H]/[PO3】 ≦ 8ではpAA複合比の増加とともに,ロードが形成されイオン伝導度が増加する.しかしながら, [co2H]/[PO31 ≧8では,過剰のPAA残基がイオントタッビングサイトを形成し,イオン伝導を阻害する.Scheme 2【CO2Hy【PO3】 ≧ 88=-CO2H O･K･ ㊨ -PO3--日. hydrogen bondlng3.2.P-PVAのプロトン伝導材料への応用今回は,グルタルアルデヒドによる架橋度約25%で一定とし,リン酸化度異なる4種類のGP-PVAハイドロゲルフイルムフイルムを用いた.まず,プロトン伝導度に及ぼすリン酸化度の効果について検討した結果,リン酸化度の増加ともにプロトン伝導率は指数関数的に増加した.これは,ハイドロゲル中のリン酸残基の密度が増加するためである.Fig. 2は,プロトン伝導度の温度依存性を示した.驚くべきことに,伝導度の大きな温度依存性は観測されなかった.特に, 4級化度が一番大きいGP-PVA-4の場合は,最も高いイオン伝導度を示し,全く温度依存性を示さなかった.一般的に,高分子マトリックス中におけるイオン伝導は高分子鎖のセグメント. EIt.,.(T･ ulDS)Dgo[3339S2.000.7252Fig.2.　Temperature dependence of ionicconductivities for GP-PVA hydrogel films of GP-PVA-1 (●), GP-PVA-2 (I), GP-PVA13 (▲),andGP-PVA-4 (◆).運動に依存し,著しい温度依存性を示す.しかし,本系におけるイオン伝導度は温度にほとんど依存しないので,プロトン伝導は高分子鎖のセグメント運動にほとんど無関係である.これは,グルタルアルデヒドによる架橋効果によるものである.これらの結果から我々は,ハイドロゲルフイルム中でのプロトン伝導機構をscheme lのように提案した.ハイドロゲル中でのプロトン伝導は,リン酸残基間のホッピングによって起こる.また,リン酸残基の周りの水和領域がプロトン伝導を容易にしているため,リン酸残基間の距離(水和領域間距離)が非常に重要である.したがって,リン酸化度増加に伴ってプロトン伝導度が大きくなる.Scheme 3highDP◎: proton G) : phosphorate an10∩@ I Hydrat･on ,eg･on4.結　論今回調製したp-pvAは他の高分子と複合させることによってイオン伝導度や機械的強度が増加する.また, GP-PVAハイドロゲルフイルムは, 10~2オーダーの高いプロトン伝導度を示したことから,新しいプロトン伝導材料として応用できることが示唆された.80-

高イオン･電子伝導性高分子材料の開発と応用 ; 部分リン酸化ポリビニルアルコールを用いた新しいイオン伝導材料

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/14806/files/COE_Res06-502.pdf

高イオン･電子伝導性高分子材料の開発と応用 ; 部分リン酸化ポリビニルアルコールを用いた新しいイオン伝導材料

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