Article長野県透析研究会誌 25(1): 74-77(2002)journal articl

代田,  景子

出浦,  正

北沢,  雅美

山上,  富子

徳武,  暁子

徳永,  真一

朝日,  えり子

町田,  真紀子

畔上,  信子

Japanese

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26 看護ケアに対する透析患者と看護婦の認識の相違長野赤十字病院透析センター　代田景子　畔上信子　北沢雅美　徳武暁子　朝日えり子山上富子　同腎臓内科　町田真紀子　出浦正　徳永真一Ⅰ はじめに透析センターでは､以前 ｢こんな透析室だったらいいな｣という題材で､透析室の居心地､サービスに対するアンケー トを取った｡アンケー トからは患者の様々な声が聞かれ､今まで私たちが気づかなかった内容もあった｡看護婦は一人ひとりの患者のニーズに即 した看護を目指 し日々努力 しているが､患者 と看護婦の認識には相違があるのではないかと感 じた｡岡谷氏は､｢看護ケアの質を､患者 と看護婦双方の視点から評価することが重要である｣ 1) と述べている｡患者が本当に必要とする､質の高い看護を提供 していくには､看護ケアに対して患者 と看護婦の視点から評価することが必要と考え､この研究に取 り組んだ｡Ⅱ 目的1.患者側から見た看護ケアに対する満足度の実態を明らかにする｡2.看護婦の看護ケアに対する自己評価の実態を明らかにする｡3.今後の透析看護の指標を見出していく｡Ⅲ 方法1.研究期間 :2001年4月～9月2.調査対象 :当院で血液透析療法を受けて1､る外来通院患者 112名､当院透析センターに勤務する看護婦 19名 (婦長係長を除 く)3.調査方法 :上泉 らが開発 した ｢患者満足度測定ツール｣を用い､-｢教育関連領域｣6項 目､｢技術的 ･専門的領域｣9項 目､｢信頼関係領域｣16項 目､合計 3つの領域､31項 目で満足度についてアンケー ト調査を実施｡｢満足 している｣-4点､｢やや満足している｣-3点､｢やや満足していない｣-2点､｢満足していない｣- 1点の4段階評定法で行っ代田 景子 長野赤十字病院 透析センター〒380-8582長野市若里 5丁目22番 1号 Tel(026)226-4131た｡アンケー ト内容は患者 ･看護婦 ともに同一のものとした｡4.分析方法 :患者満足度の平均値 と看護婦自己評価の平均値を項 目別､領域別から求め､比較検討 した｡Ⅳ 結果1.対象の概要患者質問紙配布 112部､回答数 99部､有効回答数 90部､有効回答率 91%男性 54名､女性 36名年齢構成 :29歳以下 2名､30歳～39歳未満 4名､40-49歳 9名､50-59歳 19名､60-69歳21名､70歳～79歳未満 31名､80歳以上4名透析経験年数 :1年未満 20名､1-5年未満 42名､5-10年未満 8名､10年以上 20名看護婦質問紙配布 19部､回答数 19部､有効回答数19部､有効回答率 100%看護婦経験年数 :2年未満 4名､2-5年未満 5名､5-10年未満 4名､10年以上 6名透析室経験年数 :2年未満 9名､2-5年未満 7名､5-10年未満 2名､10年以上 1名2.患者満足度について患者の満足度の平均値は､3.46 と満足傾向にあった｡領域別では､教育関連領域､技術的 ･専門的領域､信頼関係領域 ともに満足度に大きな差は認められなかった｡項 目別で満足度の高かったもの上位 2つは､5｢私を子供扱い しないこと｣､18｢親 しみがもてること｣であった｡満足度が低かったもの上位 2つは､4｢私の受けている治療や薬がどのような影響があるかについてできるだけはなしてくれること｣､25｢誰かと話 したいと思 うとき､私の気持ちを分かち合えること｣であった｡3.看護婦自己評価について- 74-教育関連領域 技術的 ･専門的領域 信頼関係領域31弘かものを知らないかのようにはしないこと30苧心して世ほをしてもらうこと29札が間EEZとしていることをわかってくれること的いやな用をせ丁してくれること27弘が貫入を必要としているとき.いつでもそばにいてくれること26有托Ilとほをすると気持ちか梢れることX:汁かとほしたいと申フとtJ'弘の気持ちを分かちあえること糾弘のIPEを忘れなでやってくれ10日明るいこと2私を見下した話し方をしないこと引自分をr症例jではなくT也人)としてみてくれていること20気性に洋間できること柑辛抱強いこと18領しみがもてることけ自分の仕事を終わらせるよりも私のSえに耳を付けてくれること川根身になって看托すること川上くわかった上でほをしてくれることZ落ち点いていてあわてないことりきちようめんであることほ治療に必草なことを自分でできるように指せしてくれる日払が呼んだら素早く応えてくれること柑必辛な時にいつでも手を貸してくれることqI手相一-私の世ほをして-れること8校に立つような助言をしてくれること7技術が備れていること6ほどよい速さで硝明して-れることLO私を子供はいしないこと一札のQtけている治療や辛がとのようなむ廿があるかiLついてできるだけはLT･～れるヽJAI)n十分な税明をして-れること2わかりやすく托明して-れることI自分が伝えたいことからに対処してくれる患者 と看護婦の平均値 = 患者平均値看護婦の自己評価の平均値は､2.69 と全体的に低い値を示 した｡領域別では､技術的 ･専門的領域において自己評価ず低かった｡項 目別で自己評価が高かった項 目上位 2つは､21r自分を 『症例』ではなく 『個人』としてみてくれていると感じること｣､23rあかるいこと｣であった｡ 自己評価の低い項 目上位 2つは､7｢技術が優れていることJ､8｢役に立つよ うな助言をしてくれ ることJであった｡4.患者満足度 と看護婦自己評価の比較すべての項目において､患者満足度に比べ看護婦の自己評価が低かった｡また､患者満足度が低く､看護婦の自己評価が高い項 目はなかった｡領域別で見ると､教育関連領域では､4｢私の受けている治療や薬がどのような影響があるかについて､できるだけ話 してくれること｣で患者､看護婦ともに低い値を示 した｡技術的 ･専門的領域では､他の領域 と比べ全体的に看護婦の自己評価が低い値を示し､差も大きく出た｡なかでも差が大きかったのは､7｢技術が優れていること｣であった｡信頼関係領域では 25｢誰かと話 したいと思 うとき､私の気持ちを分かち合えること｣､27｢私が支えを必要 としているとき､いつでもそばにいてくれること｣､29｢私が問題 としていることをわかってくれること｣の項 目で患者､看護婦ともに低い値を示 した｡Ⅴ 考察患者満足度 と看護婦自己評価では､すべての項目において患者満足度に比べ看護婦の自己評価が低い結果となった｡領域別で見ると､教育関連領域では項 目4で､患者､看護婦 ともに低い値を示 した｡治療や使用される薬剤はそのときの状態に応 じて変わり､患一 75-者は自分自身に今､関係する必要な情報を知 りたいと思っていると考える｡看護婦の自己評価が低い値を示 したのは､自分の持っている知識に自信が持てない現れと考える｡看護婦一人一人が専門職 としての自覚を持ち､知言放を深め､患者が納得のいくように根拠に基づいた説明をしていく必要がある｡また､医師､品床工学技士､薬剤師､栄養士と連携をとり､専門家-の相談ができるように配慮 していくことも必要である｡技術的 ･専門的領域では､最も看護婦の自己評価が低かった項 目は､項 目 7､8であった｡看護婦は専門的技術 ･知識に関しての看護に自信がもてない傾向にあることがわかった｡藤倉氏は透析看護の専門的技術について｢1年未満では日常業務が習得されるのは難 しく､5年未満以内に日常業務に支障がない状況となる｡ しかし､ 5年未満以内では判断力が必要となる項目や透析療法独自の項 目については､まだ自信が持てない｡｣2) と述べている｡当院では､透析室経験年数が 2年末活の看護婦が約半数を占めてお り､経験が少ないことより機械操作､女刺の対応などに自信を持てないことが影響 していると考える｡機械操作など､専門技術に対する統一をはか り､落ち着いて行動 していくことが必要と考える｡また､患者は改善点の指摘だけにとどまらず､具体的なア ドバイスを求めていると考える｡スタッフの学習意欲を高め､患者の状況を的確に判断 し､実施につながる指導ができる力をつけていく必要がある｡信頼関係領域では､項 目 25,27,29の項目で患者 ･看護婦 ともに低い値を示 した｡患者は､コミュニケーションはとれていても､自分の本当の気持ちは理解 されていないと感 じているのに対 し､看護婦は患者の気持ちを十分に把握できていないことが言える｡複数の患者を受け持ち､さらに重症患者の対応におわれJ患者 との十分な関わ りがとれていないと考える｡また､3-4年で看護婦の配置交代がある｡患者はその都度､長い時間をかけて信頼関係を築き､自分を理解 してくれた看護婦 と別れ､新人看護婦と新たに信頼関係を築かなければならない｡ このことも､患者満足度に関係しているのではないかと考える｡ これらの現状を看護婦一人一人が自覚 し､日々の関わりを見直す必要がある｡そして､業務の効率化を図 り､患者のそばに行く時間を作 り出すことも今後の課題 といえる｡Ⅵ まとめ1.すべての領域､項 目において患者満足度に比べ看護婦の自己評価は低かった｡2.患者･看護婦間で差が大きかったのは技術的 ･専門的領域であった｡3.患者の満足度､看護婦の自己評価を上げるために統一 した専門技術､知識を習得 していく必要がある｡4.患者 とより良い信頼関係を築けるようコミュニケーション技術を磨いていく必要がある｡Ⅶ おわりに今回のアンケー トで､患者､看護婦双方の視点から評価 したことで､新たに見えた患者の気持ちがあり､看護婦の自信のない部分も明らかになった｡ しかし､患者の回答は､看護婦-の遠慮もあるため評価が甘くなされ､一方､看護婦の回答は､自己評価であるため厳 しくされている可能性がある｡また､質問内容が分か りにくい部分もあり､具体的にどのような部分が満足､不満足なのかまでは把握することが出来ず､今回は傾向を知るのみとなった｡透析治療は､一生継続 していかなければならず､当院でも長い方ではすでに 20年を越える｡一週間の約 12時間とい う長い時間を透析室で過ごしてお り､病棟や､他の外来患者よりも看護婦との関わりが長期になる｡誘析患者にとって透析室で過ごす時間が快適で満足できるものであるよう､今後も患者の声を聞き､看護の質の向上に生かしていきたい｡Ⅷ 引用 ･参考文献1)高橋美智監修,岡谷恵子著 :看護ケアの質評価の日本的展開,看護の質をめぐる基礎知識,日本看護協会出版会,p26,1997･2)藤倉智佳子 :専門看護婦としての意識調査一技術 レベルの分析から(b)一,臨床透析,vo).13,no.3,1997.3)上泉和子,島田陽子他 :看護ケアの評価方法に関する研究 (その 1)-測定用具の開発-,日本看護科学学会誌,13(1.i),1993･4)堀内成子 :看護ケiの質を評価する尺度開発に関する研究一信頼性 ･妥当性の検討-, 日本看護科学会誌,vol.16,No3,p37,1996.5)若林稲美他 :患者 ･看護婦による看護ケアの質の評価分析,第 31回日本看護学会集録 (看護管理)pll1-113,2000･6)春木繁-著 :透析患者と生きる,日本メディー 76-カルセンター,1994.7)高橋啓子著 :医療cs入門講座,日総研出版,1996.8)江準 とし子他 :患者満足度調査の結果を正 しく読み取るための方法,患者満足,vol5､no1,2000.9)高柳和江 :医療の質と患者満足度調査,日総研出版,1995.- 77-

看護ケアに対する透析患者と看護婦の認識の相違

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/7996/files/Nagano_Dialysis_25-01-26.pdf

看護ケアに対する透析患者と看護婦の認識の相違

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