TANABE, Ryo

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Okayama University Scientific Achievement Repository

  氏     名 田邉 綾授与した学位 博 士専攻分野の名称 医 学学位授与番号 博 甲第 6 6 9 8 号学位授与の日付 2022 年 9 月 22 日学位授与の要件 医歯薬学総合研究科 生体制御科学専攻 （学位規則第 4 条第 1 項該当） 学位論文題目  論文審査委員 教授 神田秀幸 教授 伊藤 浩 教授 森田 宏学位論文内容の要旨 【背景】日本では、救急救命士法の定めるところにより、院外心停止症例が Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示を有していたとしても、明らかな死の兆候がなければ、救急隊は蘇生を行い、医療機関へ搬送しなければならない。救急隊は、このようなDNAR 指示をされた患者の搬送・治療中に精神的なストレスに曝されており、本研究は、DNAR 指示を有する心停止症例の特徴を検討し、搬送時の救急隊のストレス因子を明らかにする事を目的とした。【方法】2015 年から 2019 年の間に岡山市消防局が搬送した院外心停止症例を対象とし、救急隊の記録を元に DNAR 指示を有する症例を特定し検討した。加えて DNAR 指示を有する症例の搬送について、救急隊へアンケート調査を行った。【結果】５年間に 18 歳未満を除く院外心停止症例は 3079 例あり、うち 122 例(4.0%)がDNAR 指示を有した。DNAR 指示を有した心停止症例の搬送に関わった 243 人の救急隊から回答が得られ、高ストレス群(73/243)と低ストレス群(170/243)に分けた。救急隊は、DNAR 指示にもかかわらず、かかりつけ医による搬送指示があった場合、除細動を行う際に強いストレスを感じることがわかった。論文審査結果の要旨 わが国では多死社会の到来が見込まれる中、現在、救命救急士法により院外心停止症例にDNAR指示があったとしても、救急隊は蘇生を行い医療機関への搬送が求められている。救急隊員は、このような患者の搬送・治療に矛盾や疑問、精神的ストレスを感じている現状がある。 本研究は、DNAR指示を有する心停止症例の特徴を検討し、搬送時の救急隊員のストレス因子を明らかにする事を目的とした。2015年から2019年の間の岡山市消防局が搬送したDNAR指示を有する院外心停止症例を対象とするとともに、救急隊員へ質問票調査を行い、ストレス要因の解明を、統計的手法を用いて検討した。調査期間内にDNAR指示のある院外心停止症例は122例、同搬送に関わった243人の救急隊員から回答が得られた。VASを用いた高ストレス者73人を低ストレス者と比較したところ、DNAR指示にもかかわらず、かかりつけ医による搬送指示があった場合や除細動の実施があることが、高ストレス者と正の関連がみられた。委員からは、心理尺度であるVASの信頼性・妥当性や得られた結果の社会応用について質問がなされた。VASは簡便で他の尺度との妥当性の比較検討が行われていること、また症例の救急隊員へのフィードバックの重要性、かかりつけ医や市民への終末期の対応の啓発が必要であることの回答がなされた。発表は的確で，周辺知識の学習も十分になされていた。 よって，本研究者は博士（医学）の学位を得る資格があると認める。 Emotional work stress reactions of emergency medical technicians involved in transporting out-of-hospital cardiac arrest patients with “do not attempt resuscitation” orders （DNAR 指示を有する院外心停止症例の搬送における救急隊のストレス因子の検討）

DNAR指示を有する院外心停止症例の搬送における救急隊のストレス因子の検討

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