Article信州大学医学部附属病院看護研究集録 1989: 81-88(1989)departmental bulletin pape

堀内,  淳子

宮崎,  清子

小幡,  礼子

小林,  けさい

藤岡,  和子

西沢,  尊子

長谷部,  恵

Japanese

Shinshu University Institutional Repository

8週毎の固定 リーダー制の導入南6階病棟:発表者 宮崎清子小幡礼子　藤岡和子　堀内淳子小林けさい　長谷部恵　西沢尊子Ⅰ はじめに当病棟では婦長の提案により,業務改善を目的として,昭和62年11月末より,日替 リーダー(3年目以上)を8週毎の固定制 (10年目以上)としたが, リーダー業務があいまいで責任の重いことに問題を感じリーダー業務を確立させたいと考えたOそして1年8ケ月が経過O リーダー業務もはば確立され,少しではあるが業務改善にもつながったのでここに発表する｡Ⅱ 目 的リーダー業務を確立させ,業務改善につなげる｡Ⅲ 方 法① リーダー業務について感じていることを全員にラベル2-3枚ずつ書いてもらい,発想法でまとめた｡ (S63.6月)㊤ リーダー業務を自己評価してもらった｡ (S63.7月)㊥ リーダー業務の17項目についてメンバー8人にアンケー ト調査した｡ (S63.8月)④ 13冊のカンファレンスに書かれている内容を調べた｡ (H元年 1月～3月)Ⅳ 結 果①について (図-1)･リーダーの仕事がはっきりしていないため,メンバーの仕事分担配分が出来ず,仕事が二重になる｡･リーダーは申し送りを聞いた方がよい.･リーダーとメンバーの情報交換が少なく,カンファレンス看護計画が全員のものにならず,明日の業務につながらないなど問題がわかった｡そこでリーダー業務と自己評価を行fiった｡問 題 ラ ベ ル1. OPe患者の多い時の仕事の分配がうまくいかない｡2.朝,何となくわかっていても仕事の分担の確認が必要｡3. 予定表の他科紹介が抜けることもあり,これもリーダーの仕事か｡4. リーダーの仕事の内容がはっきりしない｡5. リーダーの仕事の分担がはっきりしないため｡入院の多い時アナムネをいつもとる.6.輸血,麻薬の管理がA,Bの人と二重になる｡Drにも同じことを聞く07. リーダーは朝の申し送りを聞いた方がよい｡1 81-8.申し送り時,短時間にわかりやす く,正確に伝えることが難かしい｡9. 固定制 リーダーをはじめて現在4人目,引き継ぎの短縮につfiがっていないo10.申し送りは30分位で終るようにしたい｡ll.カンファレンスの時間を決めて, リーダーが司会をしていく｡12.カンファレンスが時間内に出来ないか｡13.夜勤の負担を少なく超過勤務のない仕事につなげていきたい｡14.リーダーの持っている情報が余りメンバーに伝わっていない｡15.リーダーを通 して継続看護がうまくすすめられたらいい.16.部屋もちNsとFの間 情報交換が不十分な時がある｡17.カンファレンスで話し合ったことが翌日に生かされていない｡18.カンファレンスの内容,看護計画が全員のものになっていない｡19.固定制 リーダーをはじめて4人目,明日の業務が リーダー同様全員にわかるようにしたい｡20.カンファレンスはどういうことを話すのか,決められていない｡21.OP后,離床など今日の目標等,チーム問のカンファレンスもとってほしい｡22.申し送りがとぎれる｡大事なことが継続されない｡23.Drからのオーダーが次の勤務者に伝達されない｡24.日勤者全員が申し送りを聞くことができない｡25.Pt全体の把握が難か しい｡26.行動計画がわかったら働きやすい｡27.朝のオーダー確認についてS-Nに送る,1日の目標をたてる｡28.他科との連絡,受診等チェックしてほしい｡29.依頼書が出ているかいないかわからない｡オーダー表をチェックしていたらどうか｡30.検休の引きつぎをしたらS-N31.他科紹介など朝の手続きに落ちがあり.何回も下回をする｡32.他科の手続きの トラブルが多い｡手続きのしわすれ,検査の時間がはっきりしない｡リーダーの仕事の分担がはっきりしていないので,メンバーの仕事の分担, 申し送りが長くカンファレンスが配分ができず仕事が二重になる 勤務内にできず超過勤務になる｡行動計画がない 務につながらない団深夜から日勤へオ-ダーの確認がない匡]-82-カンファレンスの内容が決まっていないカンファ明日の業大事な申し送りが途中でとぎれる申し送りが開けず患者の把握ができない~紹介など手続きの落ちなどがあり何回も下回りする≡㊥について (図-2)リーダー経験者6人にリーダー業務と思われるものを上げて,自己評価してもらった｡◎十分出来た｡ △十分とはいえない｡ ×出来なかった｡項目としては病棟日誌の記載から,緊急時の応待まで17項臼があがった｡そして自己評価では,◎の十分出来たが リーダーAは5ケ,Bは9ケ,Cは7ケ,Dは9ケ,Eは16ケ,Fは17ケであった｡以上のことから,メンバーにもリーダー業務17項目について,アンケー ト調査した.リーダー A B C D E F項目1. 病 棟 日 誌 ◎◎◎◎◎◎2.輸血に関すること △ △ ◎ ◎ ◎ ◎ _3_麻薬に関すること △ △ ◎ ◎ ◎ ◎4.処方せん食事せん △ × △ ◎ ◎ △5.与 薬 △ ×◎◎◎◎6_ 申し送り聴取 △ △ △ ◎ ×◎7.仕事の役割分担 △ △ △ △ ◎ ◎8.予 定 表 △◎ ×◎◎◎9.申し送りノー ト △ × △ △ ◎ ◎10.記録 1)経過要約 △△ △ △ △ ×2)回診事項 ×◎ △ △ △ △3)治療方針 ◎△△ △ ◎ △4)情 報 ◎ △ △ △ △ ◎ll.カンファレンス司会 ◎◎◎◎◎◎〝 内容伝達 △ × △ △ ◎ ◎12.翌 日 の 予 定 △ ◎ △ △ ◎ ◎13.連 絡 調 整 △ ◎ ◎ △ △◎14.勤 務 割 振 ◎◎◎◎◎◎15.看 護 計 画 △ ◎ △ △ ◎ △16.患者の部屋割り △ ◎ △ △ ◎ ◎図-2 リーダー業務と自己評価- 83-×出来なかった△十分とはいえない◎十分出来た㊥について (図-3)リーダーが十分とはいえないと答えせいる｡経過要約情報 (患者,家族,医師)看護計画などメンバーも一緒にと答えているo他の項t引まリーダーにまかせる結果になった｡メンバーも一緒 項 目 リーダーにまかせるl l l l 1.病 棟 日 誌 l l l2.輸血に関すること 13.麻薬に関すること l4.処方せん,食事せん ltL++++++15.与 薬 l6. 申し送り聴取7.H事の役割分担8.予 定 表9.申し送りノ- ト10.記録 1)経過要約 l2iV++m+i++12)回診事項 I3)治療方針 l4)情 報i+++++ZL++1 ∫ll.カンファレンス 司会 - ■■→■- -■-〝 内容 達12.翌 日 の 予 定13.連 絡 調 整14.勤 務 割 振15.看 護 計 画Vタカ牧杉%舛%ク I16.患 者 の部 屋 割17.緊 急 時 の 応 待図-3 リーダー業務17項目に対する8人のメンバーからのアンケー ト調査表- 1④についてS61年11月 (6年目以上の研修課題と .して) 1日の業務の反省としてカンファ･レンスがスター トした｡その内容を記録した13冊のカンファレンスノー トを調べた結果 (表-1)看護に関する事 業務に関する事看護計画 1010件 業務計画 311件看護情報 2226〝 情 報 677〝評 価 4〝 感 想 131〝退院指導 2〝 不 満 79〝計 3242〝 記 録 12〝評 価 6〝計 1216〝総 合 計 4609件-84-Ⅴ 考 察1. リーダー業務は確立されたか.昭和62年11月末,病棟会で婦長から,業務改善を目的として リーダーを固定制にしたいと話があった｡その時は漠然としていて, リーダーが何をするのかよくわからず,大変だという思いが強かった｡しか し, リーダーが変わる毎に次第に内容が充実 してきた｡2クール目になるとリーダー自身の自覚意識が変わった｡ リーダーは大変だが必要だ｡ リーダーは方針を出す｡相手の動きがみえ,相手に合わせることが出来るようになった｡ リーダーの時とメンバーに戻った時のけじめのつけ方がわかったなど意見が聞かれた｡これは リーダー業務が17項目から20項目になり,はば確立されたことと, リーダーの存在が明確になり, リーダーシップが発揮出来るようになったと考える.そして今年 7月,固定 リーダー制について看護婦を 5グループに分けてアンケー ト面接調査をした｡その結果 (図-4)リ-ダーには患者の全休を把握してい 継続看護ができカンファレンるため患者像がつかみやすい,業務が スが生きている,事務的わずスムーズに流れ自分の分担がはっきり らわしさがない(彰グループ新人,1年目 4名している(むグループ3年目2名6年目1名ゝ ノ良い点ノリーダーの個性がみえ面白い｡伝達しやすい｡個人プレイで活動している～リーダーはいろいろな点に気付き工夫していてよい｡仕事がリーダーは方針 ないo土,日もリーダーをJ①叫改 善点◆)-ダーの負担(!}'.IfiI:-,悩 ､計画だおれにならないように治療方針,看護方針を書くなく･チーム全休で リー雲一聖 警 JL_警すい･迷いが少 l㊥グループl考えを出す④グループリーダー経験者 4名頓)グループ次回初めてリーダーを経験する3名良い点として, リーダーは方針を出す｡ リーダーは患者,業務全体を把握 しているため,患者像がつかみやす く,業務がスムーズに流れ,仕事が しやすい｡継続看護ができ,カンファレンスが生きている｡改善 したい点は,土 ･日の リーダー不在.医師と話 し合いをし,看護方針を出すなど,以上のことがわかった.これはメンバーもリーダーの存在を認め,頼りにしていると考える.また,局囲の リーダーに対する期待が大きいと感 じた.医師からの意見としては,いろいろ教えて もらえる (新人) リーダーに言えばメンバーに伝わる｡そして リーダーが固定化されているため,患者を良 く把捉 し,いろいろ情報を聞くことが出来る (古い医師)など,医師もリーダーの存在を認めていることがわかった｡- 8 5 -2.業務改善につながったか｡S63年7月末より朝の申し送りを リーダー中心のカンファレンス形式に変えた｡その結果 (図-5)申し送り時間は8時50分前後に終るようになった｡申し送りが変わって全員が引き継ぎに参加出来るようにな り,仕事の分担がはっきりし,無駄がなく.次の仕事に移りやす くなった参加人数 4.4.4.4.4.4. 4.4.4.4.4.4. 6.7.6.5.5.6. 8.7.7.5.8.5.時 期 S61年 7月 S62年7月 S63年9月 H元年 7月図-5 朝の引き継ぎ時問と入院患者数,引き払ぎ参加人数の比較申し送 り時間が知宿され,疲れが少ない｡ベットサイドに早 く行ける｡わかりやすい｡早 く帰れる｡心理的負担が少ないなどわかった｡以上のことからリーダー中心の申し送りを続けることになり今も続いている｡朝の申し送りを短かくしたことにより,日勤から準夜にかけての申し送りも自然に短か くなった｡看護記録にも変化があり,重症者には勤務毎に要約を入れ,申し送りを短か くしている｡ このようなことからも,業務改善につながったと考える｡3.オーダー表の活用S63年 9月から翌日の一人ひとりのオーダー表に, リーダー中心に準夜の引き継ぎ後カンファレンスでメンバーと共に,個別情報,看護計画,観察ポイントを入れた｡それを 朝の引き継ぎの際, リーダーがメンバーに知らせるようになったため,以前より看護が継続されていると考える｡看護計画を立て,実施 し,反省するという習慣が身についてきた｡-86-4. カンファレンスは生かされつつあるカンファレンスノー トに書かれていた内容を調べた結果 (図-6)61.11 62 63 64図-6 カンファレンスノー トに書かれていた内容 (看護計画と業務の不満)大きく変わったことは,業務の不満感想から看護計画-｡仕事の先取りから,主体的に仕事をするという姿勢に変わったことである｡これは リーダ-が固定化され,不満問題は,カンファレンス及び医師などと話し合いで解決 し,明 日へと目を向けた結果と考える｡カンファレンスは,途中とぎれることなく続いたが,マンネリ化はさけられなかった｡S62年11月末,固定リーダー制がスター トした｡その頃からカンファレンスはリーダーが中心になり方針を出し合ったことが継続され,患者のケア一にも生かされてきた｡そして63年以降,業務に関する不満はいつのまにか消えていた｡又,カンファレンスは, リーダーとメンバーの情報交換の場となった｡このようにして現在もカンファレンスは業務に生かされている｡Ⅵ ま と め1. 1年8ケ月かかりやっとリーダー業務がほぼ確立された｡これはリーダーが大変な思いを しつつ も,自分達の仕事を自覚意識 し,又周囲も認めた結果と思う｡2.その中で申し送りが変わり,引き継ぎが短縮され業務改善につながったと考える｡3.オーダー表の活用,翌日の一人ひとりのオーダー表に個別情報,看護計画,観察ポイントを入れた｡それを翌朝 リーダーがメンバーに知らせる様になり,看護が継続された｡4.カンファレンスで話 し合ったことが継続され,患者のケア一に生かされたO又, リーダーとメンバーの情報交換の場ともなった｡そしてこれらが微妙にからみあい,業務改善に少 しずつつながってきたと考える｡- 87-Ⅶ おわりにあいまいだったリーダー業務もほぼ確立され, リーダーはなくてはならない存在になったいまも,責任は重 く大変ではあるが.喜び,楽しさも感じることも出来た｡参考文献1)西沢等子 :部下の育成に目をむける,昭和63年度看護婦長課題達成研修集録,信州大学医学部附属病院,看護郡編.2)宮崎清子 :リーダー業務の確立,昭和63年度 6年目以上,課題達成研修集録,看護部編.ー88-

8週毎の固定リーダー制の導入

https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/8756/files/Nurshing_Research20-13.pdf

8週毎の固定リーダー制の導入

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Shinshu University Institutional Repository