Article信州大学医学部附属病院看護研究集録 1984: 1-7 (1984)departmental bulletin pape

上条,  恵美子

上野,  雅子

伊藤,  隆子

南,  操

小林,  ひとみ

小沢,  まゆ美

山下,  美智子

山崎,  章恵

山本,  多賀子

牛越,  美智子

牧野,  浩子

百瀬,  千奈美

矢ケ崎,  智子

赤沢,  博美

青木,  香子

鰐川,  洋子

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肝切除の看護を経験 して北 4 階 病 棟 　 発 表 者 　 青 木 香 子上 条 恵 美 子 　 南 操 　 矢 ケ 崎 智 子 　 牧 野 浩 子伊 藤 隆 子 　 山 下 美 智 子 　 山 本 多 賀 子 　 鰐 川 洋 子上 野 雅 子 　 小 沢 ま ゆ 美 　 百 瀬 千 奈 美 　 赤 沢 博 美小 林 ひ と み 　 山 崎 章 恵 　 牛 越 美 智 子Ⅰ はじめに現在,肝腹症の根治には外科的に切除する以外方法はない｡ しか し,肝腫疫に肝硬変を合併している例が多い事もあり,いまだにその予後は良好とはいえず,肝不全を招き肺合併症,消化管出血等を併発し,死の転帰をとることもある｡そのための揃前術後の看護の役割が重要になってくる｡今回,私共は肝切除の症例を初めて経験 した｡そこで術前抗後の管理について学習し看護にあたった｡その経過をここに発表する｡Ⅱ 研究期間昭和 58年5月～昭和 58年 12月Ⅲ 研究方法医師よりスライドを用いて起こり易い合併症と治療法等の講義を受けポイントを学んだ｡その上で文献を収集 し読み合わせを行ない看護の要点を確認し合った｡それは,肝不全の予防として肝機能の状態を把握 し輸液 ･栄養管理を充分行なう｡又,呼吸管理が重要で循前からの呼吸訓練が必要となる等である｡そこで看護計画をたて実施した｡Ⅳ 看護の展開1. 患者紹介A氏 53歳 女性 主婦病 名 :小腸癌の肝転移入院期間 :昭和 58年 4月22日～昭和58年6月 10日 (5月 19日手術)主 訴 :曝気既 往 症 :昭和 33年子宮頚管出血 子宮全摘経 過 :昭和 56年 3月小腸平滑筋肉腫にて小腸部分切除昭和 57年 10月頃上腹部不快感唱気出現昭和 58年 3月肝臓に陰影認められ,諸検査を行ない肝臓転移と診断され,手術 目的にて入院となる｡病 識 :小腸からの肝臓-の転移 (肝癌)を知 っている｡食 事 :常 食性 格 :から元気がある (本人弁)-1-家族構成 :子供は27才と24才の息子がいるが,現在は夫と二人暮しである｡合 併 症 :な し一･耐術リスク,:I 点.術 式 :肝右葉切除ICU入室期間 :昭和58年 5月 19日～昭和58年5月21日豆.術 前<看護目標> 最良の状態で手箱をうけられるよう援助する｡<看護計画>川 全身状態を把握し改善を図る① 病状の観察㊥ 検査値の把握㊥ 栄養状態の把握･--食事チェックi)摂取量のチェック 副/主%i)食事摂取を促すii) 消化器の症状の把握(2) 術後合併症の予防① 輸液管理i)輸液量を正確に行なう6時～20時･･･21-28m2/ h20時～6時･･-･60m2/ hii)感染予防㊥ 正確な与薬i) 肝庇護剤の与薬ii) モニラックの与薬㊥ 肺合併症の予防i) 肺活量測定 (午前 ･午後)i)深呼吸練習･･･-砂のう2kg使用にて10回ずつ 1日3回iii) アイデセップ-･5回ずつ 1日5回(3) 不安の軽減① 手箱に対するオリエンテーションを十分に行なう｡㊥ 闘病意欲を高める様援助する<実施および評価>'Aさん呼入院時より食欲不振,唱気等の症状があったため,プリンペラン1日6Tの内服が開l始された｡;現車の状態を維持し改善できるよう食事摂取をすすめた｡患者自身の励みにもなるよう摂取量は%で示し表につけていくようにした｡最初は少量～30%位であったが,2週間目頃より曝気軽減し∴盛事量も増 し平均 80%以上の摂取が可能となった.術前日8日ⅠVHカテ挿入されな.巷間 (6時～20時)は食事摂取ができるよう輸液量は,21-287'LC/h,夜間(20時～6時)は60m2/れに指示された微量注入器を使用す ると,行動-2-制限や危険が伴うため手動にて輸液量を維持 した｡また,感染予防には十分注意 をはらった｡ⅠVHカテ挿入時より蓄尿を開始 し,尿量は2､000m2/日前後であったO糖代謝に関しては尿糖,尿中ケ トン体のチェックを行なった｡術前訓練は特に肺合併症予防に力を入れた｡肺機能を増すためアイデセップ･砂のう使用による呼吸訓練を開始した｡検温時を利用し練習状況を把捉指導 し,練習成果は午前午後の肺活量測定にて把握 した｡患者自身積極的にに取り組む姿勢がみ られ,その一例 として肺活量は初回2.160mBだったが,術前日には3,140mBまで増加した.ェンドトキシンショック予防として縮前日16日よりモニラック45m2/日を12日間,60m2/ 日を 4日間,摘前 日2日よ りカナマイ8cap/日を与薬 した｡モニラックの副作用として下痢があるが便通は2回/日程度であった｡肝庇護剤の管注を ⅠVHカテ挿入時より行なった｡また,食欲不振 ･枢気の症状の他にも腰痛発汗等の訴えがあり,腰痛に対 しては湿布,チェッカーマット使用で軽減し,発汗に対 しては適宜清拭を行なうことにより不快感軽減に努めた｡Aさんは疾患の真実を知っていた｡また,当科において初めての症例であることも主治医より話されており,不安も大きいと思われたが,それを表面に出す性格ではなかった｡私共は少 しでもAさんに接する時間を多く持ち,話しやすい雰囲気を作りだす様努めた｡その結果,清拭や手術の話をする際に貝体的な手術に対する不安 ｢発汗が多く体力が弱ってしま うではないか｣｢夜眠れない｣等を訴えたり,こらえきれずに涙ぐむ場面に接することができた｡それに対し,全身状態が改善されてきている事や術前訓練の成果があっていることで,励まし闘病意欲を高めるように努めた｡手術直前には ｢おまかせして頑張ります｣というような言葉が聞かれた｡3.術後急性期 (ICU退室より歩行開始まで)<看護目標>異常の早期発見と合併症予防に努め早期回復を図る｡<看護計画>(1) 一般状態の充分な観察(2) 合併症予防と早期発見(D 肝不全i) 臨床症状の観察ii) 検査データの把握(勤 肺合併症i) 酸素テントの管理 (サウナテント--30℃ 湿度 100%)ii) 疲暗出-の援助㊥ 消化管出血i) 胃管よりの排液状態の観察i) 胃液PHの補正ii) 下血,胃部痛などの症状観察④ その他の合併症-3-(3)代謝管理(む 輸 液i) ⅠVH,血液製剤i)血糖 ･尿糖 ･尿中ケトン体のチェック㊥ 水分出納(4) 苦痛の緩和<実施及び評価>ICUよ り退室後,2時間おきに一般状態のチェックを行ない異常の早期発見に努めた｡呼吸管理としては最初酸素テントを使用し,サウナテントを朝夕 1時間施行 し,体位交換 ･タッピング等にてら疾の噴出を促 し,無気肺等ひきおこすことはなかった｡その後,酸素吸入は6日日朝よりカヌラとなり,7日目夕方には離脱できた｡肝不全に対しては,その臨床症状を観察 し検査データの把握を行なったが肝機能の著明な低下はみられTilかった｡消化管出血に関しては,ICUにて胃液のPHが下がりメサフイリン,アルミゲル等の注入を行なっているため充分な注意が必要であった｡胃液の量 ･性状に注意 し,精神的な安静を保てるよう訪室時にはゆったりした態度で按するよう努めた｡胃からの出血は認められず,排ガスも4日目にあったため胃管抜去され,食事も5日目より肝炎食 3分粥が開始された｡ しかし,腸痛動も弱く腸間膜浮腫により腹満も続いていたためメンタ湿布,グリセリン読腸を行なったOその結果.腹満は軽減してきたが食欲がな く.食事は20-30%しか摂取できなかった｡ドレーンの感染予防については2回/日のガーゼ交換を行ない,感染を生じることはなかった｡輸液はⅠVHと末梢からの血液製剤とで･Dryサイドに抑え られているため尿量 ･輸液量の厳密な観察を行なった｡糖代謝異常の早期発見のため血糖 ･尿糖 ･尿中ケント体を定期的に測定した｡5日目までは尿精 (ii)～ (ii)みられることがあり,レギュラーインスリン使用にてコントロールを行ない5日目以後は尿糖 (-)となった.6日目にはトイレ歩行が許可され尿留置も抜去されたが蓄尿は続行し,尿量 ･比重 ･性状等の観察を続けた｡腰痛は臥床安静, ドレーン幾等にての体動制限により増強しており対症療法として,体位交換 ･湿布 ･マッサージ等の援助を行なったが,一時的な改善だけで根本的改善は得られなかった｡不眠に対しては眠剤を与薬するがベッドサイドでの時間が十分とれず解消しえなかった｡喉頭浮腫による嘆声を生 じたこともAさんに苦痛や不安を増強させるものとなったが,薬液吸入にて症状の軽減が得られた｡4.回復期 (歩行開始 より退院まで)<看護目標>スムーズな社会復帰ができる様援助する<看護計画>(1) 体力回復に努める① 栄養状態の改善に努める-4-(む 運動をすすめる(2) 苦痛の緩和を図る在) 腰痛 ･胸痛(参 不 眠(3) 退院後の日常生活について指導を行なう<実施及び評価>栄養状態の改善を図るため食事摂取を促 し量の確認をした｡咽気 ･腹蔵 ｢ロがまずい｣等の訴えがあり摂取量は20-30%であった｡そこで私達は散歩をすすめたり,分割食や病院食以外での食べられる物があったら食べる様に話 した｡食事摂取量は全身状態が改善 し,腹蔵が軽減 した頃より増加 し,50%位の摂取は可能となった ⅠVHは祐後 11日目に抜去された｡術後 10日目より肝機能障害を思わせる37-38℃ の発熱が続き,倦怠感 ･食欲不振等が出現したが検査データは特に問題はなかった｡体力の消耗を防ぎ発熱予防のためインダシン坐薬を 1日3回定期的に使用 し,体温は36℃で病状も軽減 してきた｡街前より訴えていた腰痛は対症療法では効果がなく,坐薬挿入により軽減 し,歩行 も積極的に受け入れる様になり散歩する姿もみられるようになった｡不眠に対 しては,眼剤の塁が増 し,良眠を得 られる様になったが,私達としては不眠の原因を追求 し,薬に頼らず眠れる様に援助すべきであった｡退院指導は,食事は高カロリー高蛋白で消化の良いものをとるように献立をもとに話 し合った｡日常生活 も疲れ1'=いよう家事を一度にがんばらないで,規則正 しい生活プランについて積極的に指導 した｡術後 23日日退院となる｡Ⅴ ま と め肝切除は私達にとって初めての経験であり不安 も大きかった｡術後の管理をスタッフ全員で学習し,あらゆる合併症を懸念 しつつ看護にあたった｡ この症例後に経験 した4例 も術前合併症がなかったためか,摘後経過は順調であった｡肺合併症に関 しては,従来の開胸術,術前訓練にアイデセップによる呼吸訓練と肺活量測定を加え成果を得た｡最近ではその他の疾患の術前訓練にも取 り入れている｡肝不全に関 しては,実際に経験することはなかったが,肝不全症状の観察ポイントを学ぶことができた｡今後は今回の経験を生かし看護にあたりたい｡おわりにこの研究にあたりご協力 して下さった患者さん 中谷先生に深 く感謝いたします｡Ⅵ 参考文献1. 駒田富子他 :肝癌患者の肝切除術後の看護 臨床看護 Vol.8 NulO 1982年2.山崎 晋他 :肝癌の切除療法 肝胆肝 Vol.5 No.6 1982年3.長谷川博他 :肝切除の患者管理 日本臨床麻酔学学会誌 VoL3 Na2 1983年4.長谷川博他 :総説肝切除 (1)臨床麻酔 Vo7.7 No.2 1983年5.長谷川博他 :総説肝切除 (2)臨床麻酔 Vol.7 Na3 1983年-5-6.上田順子他 :肝切除術後の肝癌患者の看護 臨床看護 Vol.7 No.8 1982年7.吉田久子他 :肝切除患者の看護 看護技術 Vol.29 Nu16 1983年-6-術 前 ･術 後 の 経 過 一 覧 表△ - TO - PX - R%- BD月.日5/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 2930 31 ?/1 2 3 4 5 6 7 8 9396015085 374 163 952 7術後1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21l′ヽ･′ヽI/_I fヽ ′Lゝ I i lハー ■′ヽ ′′ l八ヽ r′ヽ■ t■★′■′ゝ A I ¥畠､ハ一 ~′ヽヽヽヽヽヽー＼I l _⊥′二′′t ′′t l [-IJ-. /71.､ ■ 一 ■ t I V^/′＼ I I L.■一十､ヽヽヽヽヽヽ lヽ l⊥1 l llI＼1 t rヽ′Ir′ 1 '′▲ I /ー′'ll ▲__⊥･._J l -I- I l/′ ./ilI】ヽ､_▲L_′′′ J "Jl- ∫ ーllヽヽヽ L/′,ノ1 I/ゝ●ノ{′′̀▲ヽ1′′′ lILヽ_AA ll .lLヽヽ Xヽ/′】II､L,′∧∩I / ′′′ ~l′′I - +′〉＼■ ,̂～ I/1■＼lL ′■一 'II}＼.ノダ IjJl 【 l l 】 ′′ I.Al′1 I ■lll- - - ′′入 ∫ノヽ 人 ′.l 】I-′l′ノ1ハ I l rll7J ′/ 1ヽ V′:7 l′ノー l i ^Jl/̂JJ ～._I｢ヽ l■ I l ′｢hlIJWJ lIWI ヽ ■ヽ1 メ- ▲ I l l illll-lll- ′ ､ヽ I I＼ ■ ■ ヽ --llll l 1ノ■･.一 ＼-/ ＼▲ ＼ / l ＼1ヽ / ∧ヽ一一_｣土 I l＼̂, l ■ヽ一二-■ll--I- I-l九L-. ＼■ 】 l l l ′ h Jf人′ノ ● !′ lヽ ./ ヽ l lE′ Y′′一 lヽ IF/ I /i///its-ーJヽLI -- m./ u ヽ .l′ V′ ′ヾl l lll l l′一■IJlスJ --AIl h l J ′ し ′/′ l ヽ L -:- lY′ー 1 ～LIT- ′▲/̀●llrl＼ T I 】 l ///ノン′rLI Iq - lf/I lヽ′ノ / l A._-Irl＼ l --I.LlY■- ■一 F ､くLY / / / . 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肝切除の看護を経験して

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肝切除の看護を経験して

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