Article環境科学年報12EX:26-33(1990)research repor

富所,  五郎

Japanese

Shinshu University Institutional Repository

4. 地域開発に伴う流出形態の変化冨ヨ7 宍斤 互王 良広 (信州大学・工学部)1.まえがき地域開発がその割程域の棋水を増大させることは，昔は直感的かつ定性的に椎輸されでいたにすぎない.しかし最近では.地域開発.特に流域の都市化に伴う南水減出形態や水害の変化についでの勢力的な研容が行われ噌¥その実態が論理的かつ定電的に明らかにされるとともに，その防災対策についても検討されるようになってきでいる.長野県内の阿川についでは.一部の小河川を除くと流域面積に占める山林面積の割合が大きく.また語脅威の人口や地目別面積の変化もきほど大きくない. しかし，都市イ化の著しい大都市の申小珂川ほど嗣的でないが.かなりの南水損出形態の変化がf!られ~ 2) .支た.長野市や松本市などの中核都市近郊の小河川においては.著しい南水流出形態の変化が起こつでいる.本謂は，減越の都市イむに偉う南水減出形態や水害の変化について述べ，更に千曲川椛舗を対象にして被域の悲運に伴う南水流出形態の変化を示す.最後に，地域開発を行うに当たっての洪水対策について言及する.2. 滅域の都市化に伴う南水流出形態の変化と棋水の蜜軍司、本章では.*'ず鴻.域の都市化に~ろ南水減出過程の変化と土議の穫透鴫の変化についで述べ，この結果雨水が毎朝聞に最大流一量を増大させて滅下し，更に低湿地の高民主剰周とも拘まって内水加害が場大しでいることについて解税する.2 -1.南水流出過程の変化自然匠陣地の林草地に略る商1kの一都は樹木や草に壇画され.一時的に貯留され.Q.それちは商が止むと薫努する.一方，地面に到達した南水は富地に貯留されたηしながら.棺薫増稿用品わ良E聖水性の表層土をとおりその下の土域周に種還する.南が弾くこの土墳の穐透棺カを上回る場合には.浸透しきれないためこの層を横方向に減下する.この調布れを中間流と呼んでいる.更に南が強くなあと.南水は表層土上を表面持寄となっで担軽下するが.枯葉堆積層上で表面滅がみられることは希であη. これは栴官在地璃層の存在しない樽地斜面や畑などで良くみられる.以主の表面滅出と申間決ti'，を合わせて置構減出という.土寝中に浸透した南水は，一部土壇申po ワωに貯智ぎれるものの大部分は海軍降下しで，岩盤などの不透水層もしくは地下水面に到達する.これらの南水は横方向に椀れを変え，地下水棟出として河川に出る.以上に対して.自然E陵地が都市化されると 30~60% の地表面は量根・舗装道路筈の不糧事層で晋われる.ζ のような不浸透越では甫水は.ほとんど漫還しないため.その全量が装荷械となって演出する.都市化誠にも庭・児童公園・校庭などがあるが.このような浸透域では南水は地中に浸透し.漫遣しきれない南水のみが表面積として流出する.従って.都市域の南水摘出過程は，不浸透域と浸透域の表商摘出と寝透域よりの雨水海運に基づく地下水棟出により成り立っていると言える.~I'!.し.都市揖では地申になかなか港遣しないので，地下水流出はごくわずかである.都市舗では枯葉層すなわち申間流出が発生する揚が消滅するが，これは流域内での商水の貯留健カを著しく減少させ.流出を連めることになる.国 1 南水の棟出過程2-2 糧遭簡の減少-e.地申に縄遷した南水はなかなか河川へ流出しでこない.つまり.商が良く海運する祷域では洪水は発生しにくく.種選性の悪いところでは棋水が寄生しやすいことになる.このように棋水涜量には.地中への穫透量が需〈聞係していQtfi. 減域の海運性の優劣は，有毒揮官号事武騎によって制定ぎれる.国 2は.自然E陣地と市街地に亮ぎれた浸透域での建売健の制定例である.開契前の持基一 27一叫にALI i 開260i、竹林 J~ / ト九時|、問.，nL"'、・、主守--児童公団 関"ーーーー一一-_...~01¥主主..._--.二型lfi経過時間(分)国 2 浸透能の比較fき脅撃は. 80~50mm/時閉と大きい. この理由は.土壌中に.亀裂・小動物・根腐れなどによって揖られる大間障が多教分布しており，その中に南水が多量に流入する7どめであると言われている -71. 開発俺は ]Omm/時間以下とな ηかなり減少しでいる.これは.開発途中に大間聞は破壊され.地面が締め固められるためである.都市化による種遭停の摘ゅは.不浸透域の増大とともに洪水の流出速度や減量を増大させる直梼原聞となあ.2-3 都市化に伴う洪水流出連度と洪水諸量の増大図 3は新珂偉 1 (鴎田川上揖)棟域の昭和36年~昭和53年の都市化進捗状況，国4は各年の甫水積出波形の変化である4¥ 図によると，都市化の進捗に伴い南水流出時聞が皐まり.最大椅量が増大している.この理由を以下に述べる.開発前が山林であれば枯葉層が堆積しており.その申の南水の漏れは大きな抵抗を受け.また河川は曲が ηくねっているうえ，水草が繁茂するなど，流れに対する抵抗は大きい.このように自然流域では雨水はゆっくり斜面を下り，時聞をかけて河川に流れ込む. しかも，減れ込んだ南水が氾濯しても.南水は被害のほとんどないミニ洪水とな η. 周囲の低地に捕れ込み.下減の最大減量を下げることになる.都市化が進むと.大部分の地表面は不浸透層で彊われるとともに.遭路側海・排水路などが住宅地の蝿ずみまで髄置される.その弓え.珂川は.氾濫を避けるべく断面の拡揖.相究路の直線化など，南水をできるだけ速やかに排除するように慢計される.間勺で.都市化されると.南水は短時聞に揖下し.最大涜量も増大するようになる.昭和36年凡例園田市街地{EE]白創Ee刊叩却国 3 新両信川減域の都市化進捗状況-28-園4 流出波形の変化2-4 都市化に伴う水害の変遷これまで住宅地などとして余均利用されず，洪水時には氾濫水を受け入れる一種の潜水崎俺を有していた大河川の氾濫原や旧河遭などの水田主体の低湿地にも宅地化の被が押し寄せ始めた.また，宅地開発は E睡地でも急激に進み，かなり急峻な斜面にも住宅が建てられるようになってきた.このような急激な都市化は新しい形の洪水を招突するようになる.その代表的なものが内水災害でる.これは.水団地帯では古くから問題となっていたが，都市周辺の開発に伴って南水摘出が増大するとともに.下流域では水田域が宅地化されることによ句貯留健カが減少して. 1965年噴よ旬開発するようにな η，新しい形の水害として注目ぎれ始めた.国 5は1962忽以後の棋水被害の原因耳'1割合を示したものであるが，最近は河川堤防の決壊による洪水被害は徐々に減少してほとんどみられなくなったのに対し，内水氾樫による被害が急車習し. 1980-82年には全被害額の50%以上にも遣している.70 一一一ー内水一一一一破堤全 60被害 50字40る 30容l点、旦 20% ~ 10 0 1961 昭36'7S SO 年国 5 棋水被害額の原因別割合3.千曲川流域の変遷に伴う南水流出形態の変化2. 章で減繊が都市化されると.南水が短期聞に最大流量を増大させて流下し，低湿地の高度利昭とも相まって肉水災害が増大していることについて説明した.千曲川捕域全体では，流揖面積に占める山林面積の割合が大きく，涜域の人口や地目別商靖の安化も大都市近郊ほど大きくない. しかし.都市化の著しい大都市の中小河川ほど劇的でないものの.かなりの南水涜出形態の変化が見られあので，以下にこれを示す.尚.最近浅川下流，松代温泉団地.須坂市相之島団地に起こった水容は典型的な都市化に伴う内水従害である.最後に.地域開発を行うに当たっての棋Qd 円4水対策についで言及する.3-1 計画高水量の変遷引図 6は樫詞省の僧漕川上流計画高7k流量変遷図である.固に於て，昭和43年までの計画高水は原町!として既往最大洪水量をもって定められているが，昭和49年のそれは超過確率年 100年の棋7k量である.この計画高水は.宅防の高さなど河川構造物を開計する際に基準となる減量であるが，固において経年変化に伴い一貫して増加しており.全国の多くの河川にも同離にみられ.Q傾向である.この原因は.過去に於いては祷域の開発による南水流出形態の変化と供に， 3 -4節の説明と同横に洞遭改修の進栂による k流域の把握水の遊水効果が減少したことが大きく作用しているものと恩われる.河遭改修の進んでいる近年どうなっているのか，次に昭和30年代以障を対象にして示す.5G()()rn'/s(1昭49)3 250m'/s (町{24)4・3500川 s(昭34) 企4ふII'/S(昭伺)小ilj.2 i85rn'/s (大6)↓ヰlLi帯l下聞 6 僧溝川上棟計画高水流量変遷園3-2 流出率の経年変化2、国 7 は.昭和:~()年代以降の立ケ花地点での最大減量約2500. 'I/s以上の 16出水を対象にして.対象棋7Icの全陣雨量に対する直接椀出量の掩出阜の経年変化を示したものである.国よ η. 申甥.模の棋水では洪水時の初期状態や陣南の空間的パターン等の他の事聞の影響が大きいため経年的な特徴は判定し麗いが，最大摘量4000m'!/s以上の棋*~は増加傾向がうかがわれ，最小二乗推定直線も年吹に応じた線形的な増加傾向が開られる.小市，杭掴下涜域でも同横な結果が得られている.直線の傾きから流出患の忽聞増加E艇をみると，小市流域で0.67%.杭掴下境域で0.80%.立ケ花穂域で0.671.となっている.円uqペυ• ーーーーー申 ?・4・=.:tr・30.5+0.・'‘t・-310)!ωmν. Q.l: :目。0.3/目。 0.4シ.・:30.00.3/・QTA O 30 35 40 A • 図 7 立ケ花祷域の流出皐の経年変化3-3 誠量波形の変化a貯留問教法で追跡計算を行って得られた各洪水に対する杭瀬下の荷量披形園の一部を実潤のそれと供に国 8に示す.これらの固で，計算涜量被形曲線は，そのピークと立ち上がり都の形状iJS実澗のそれに最も近いものとしている.このため図 8(" c )では実割と計算流量被形幽棋の輪棟量が合わなくなっている.これらの図より.年代を経るに伴い実澗裁量波形幽蝶が計筑減量穂署毛曲繰に近づいている.つまり，流出が早まつでいることがわかる.民明"・'"‘SltI'd_. "'聞司ト ‘t w 戸折、:、トdd " F竺三-. -一..~.・‘ " uø~ ' . " ‘s " 1“実毛ーー一-11:・ ーーーー.副圃{叫聞取.s3年9月16日洪水一一制"岨一一寓副岨 一-IID岨一一寓副院(b) 昭事140!F9月18日洪水 (d 昭和58年9月29日洪水固 8 杭瀬下の流量被形図qa 3-4 家屋の漫水から見た洪水の変遷士、戦後の主要洪水の弓ち.昭和30年代のもの2例と.昭和50年代のもの2例についで.家屡の海水被害に着目し.図 9に示す.円の面積が浸水声教に対応しており.凡例として 100声分そ示してある.この他にも出水例は有るが，大規模な出7tくを対象とし.4宅に述べt:時代区分の代表的な例についてのみ示すことにした.以とに代表きれる調査結果から.千曲川掩域における縄水被害には.次の傾向があることが明らかになった. 1) 昭和30年代半ばまでは上流域で顕著であった浸水被害が.近年予は申・下城域に移ってきた. 2)申・下減越では本川の水位が先に上昇し.その結果としての内水氾漉というケースが増えている.これらは，いわば一種の潜水効果を持っていた上械の氾濫がなくなり，中・下被域の椀量を増大させたものと言える.昭事部年9月18日 昭車156年 8月23日昭和羽年 8月14日 昭和57年9月18日国 9 手幽川流域の家屋の浸水被害3-5 地域開発に対する棋水対策-32-減域の開発にあたり.治水のために今後とるべき対策としては，本JlI・支川の改修を一層促進することが重要であるのはもちろん，上減域の各種開発や河川改修進持が下流の洪水量増大をもたらすことを考慮するとき，従来減域が持っていた南水貯匂楠官告を保持するよう.積樫的な対策をとることが重要である.すなわち，土地の大規模開発.用排水路の改修積備などの間置にあたっては.少なくとも自己の区域に臨つ売商水は一時貯留するような調整地などの施殻を，計画当初から考慮しておくようにすべきであろう.4. あとがき以 tのように積域の聞事警は，南水流出形態を大幅に変化させ流域直下に大きな影響を与えるばかりでなく，開発箇所が多ければ千曲川ほどの大河川にも影響がおよび.大洪水を起こすことになる.従って，掩域の開発に対しては.本来流域が持っていた南水貯留機能を維持すると供に.対債のとれないミニ開発をも考慮して総合拍水の立場から誠域全体の洪水対策を一層押し進めることが必要である.参考文献1 )角屋睦他:揖域の都市化に伴う洪水流出形態の蜜化予測に闘する研究，文部省科学研究費・自然災害特別研究研究報告， pp.1・112.1977.2)荒木正夫他:平曲川水系の変遷に伴う演出形簡の変化に関する研究，文部省科学研興費・一般研究 (C)研究報告. pp.1・90.]985.3 )岡太郎:都市化と水害， NHK市民大学 1月一 3月期・災害の科学 pp.l05・117.1987.4 )土木学会編:山と川と海，グラブックス・くらしと土木 2. オーム社. P. 24. 1985. 5) 建積省北睡地方唾慢局編:千曲川船If三十年のあゆみ，建世省千曲川工事事務所. pp.258-271.1980. 一 33-

地域開発に伴う流出形態の変化

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