京都大学新制・論文博士博士(農学)乙第13507号論農博第2905号(主査)准教授 沈 金虎, 教授 浅見 淳之, 教授 栗山 浩一学位規則第4条第2項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

Jung, Hyun Hee

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京都大学新制・論文博士博士(農学)乙第13507号論農博第2905号新制||農||1095(附属図書館)学位論文||R4||N5407(農学部図書室)(主査)准教授 沈 金虎, 教授 浅見 淳之, 教授 栗山 浩一学位規則第4条第2項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:A Valuation Study on Multifunctionality ofAgriculture and Multifunctional Agriculturein South Korea: Beyond 6thIndustrialization( Abstract_要旨 )Jung, Hyun HeeJung, Hyun Hee. A Valuation Study on Multifunctionality of Agriculture and Multifunctional Agriculture in South Korea:Beyond 6th Industrialization. 京都大学, 2022, 博士(農学)2022-09-26https://doi.org/10.14989/doctor.r13507許諾条件により本文は2023-04-01に公開;https://doi.org/10.17221/147/2019-AGRICECON - 1 -（ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（  農 学  ） 氏名 Jung Hyun Hee  論文題目 A Valuation Study on Multifunctionality of Agriculture and Multifunctional Agriculture in South Korea: Beyond 6th industrialization (韓国における農業の多面的機能と多面機能型農業に関する価値評価研究: ６次産業化を超えて） （論文内容の要旨） 環境汚染の拡大や地球の温暖化、そしてグローバルな競争が激化する今日、農業の多面的機能は世界的に注目され、また環境保全型農業や持続可能な農村発展は多くの国と地域で一大政策課題となっている。 アジア金融危機を経験した韓国は国内経済の成長が減速し、農産物の国内需要も伸び悩み始めたが、農産物の国際競争が一層激化したため、農産物自給率の低下や農工格差の拡大と農山村の衰退等様々な問題に直面している。そうした問題への対策として、これまでに韓国政府は地産地消、６次産業化等を推進してきたが、６次産業化は元々農業を起点に農産物加工や直売など２次、３次産業への業務拡大を通じて農業従事者らの所得増加を図る発想に由来しているために、経済的志向が強く、環境保全、文化伝承等農業の多面的機能の発揮には十分な配慮を払っていないという問題がある。 本論文では経済面の所得とその他の多面的機能が両立できる新しい農業・農村の有り方や発展戦略を模索することを目的に、既存の６次産業化政策を超えて、EUで提唱されているMultifunctional Agriculture、つまり、多面機能型農業の有効性とこれを実施する際の方向性を明らかにしようとしている。 具体的には、まず１章では本研究の背景と研究課題について説明する。 ２章では農業の多面的機能の定義・内容や公共財一般の外部効果と市場の失敗に関する理論を整理し、また目下主にEU内で提唱されている多面機能型農業の概念・内容を紹介するとともに、同型農業に期待される効果についての理論的な考察を行った。 ３章では政策内容と事例紹介を通じてEUの多面機能型農業と韓国の６次産業化政策について比較分析し、その結果、両者は目的・手段に一部類似点はあるが、前者に比べて後者は所得拡大という経済的志向が強く環境保全等多面的機能を軽視する傾向があること、現に韓国の６次産業化の実践例では農業生産者らの多面的機能への認識が弱く、環境保全や文化伝承の行動に繋がっていない問題があることを明らかにした。 ４章では環境財一般に関する価値評価法に関するレビューを行った。仮想評価法、選択実験法等幾つかの評価法を比較した結果、選択実験法が本研究の以下二つのケーススタディにおける価値評価分析に最適だと結論付けた。 以上の予備的な研究に続き、５章、６章はメインの実証研究部分である。うち、５章では選択実験法で農業の多面的機能の価値評価を行った。分析のため、農業の多面的機能の内容を整理しその価値を評価する際の属性を抽出した。その上で、ソウル駅等全国各地から人が集まり、人の行き来が多い場所で一般市民を対象に多面的機能をもつ仮想的な農山村について選択実験的なアンケート調査を行い、また被調査者の多面機能属性別の支払い意思額をConditional logit modelとLatent class modelの二つの方 - 2 -法を使って推定した。その結果、両推定法間で被調査者の支払い意思額の絶対値に差はあるが、いずれも全４属性に正の意思額が、また歴史文化、村落行事より、自然環境、農村景観のほうに高い支払い意思額が示された。 また６章では韓国において多面機能型農業を推進する時にどの側面がより重要かを把握するため、van der Ploeg氏の分類法に従って多面機能型農業の方策を三項目、11属性に分けて、同じソウル駅等人の行き来が多い場所で一般市民を対象に、仮想的な農山村を訪問滞在する際、どのような属性を持つものを選ぶかの選択実験調査を行い、彼らの属性別支払い意思額をConditional logit model法とMultinomial probit model法を使って推定した。その結果、両推定法間で支払い意思額の絶対値に差はあるが、およそ訪問者が直接体感できる自然環境と農村景観に関する属性には高評価、直接感受できないが良いと思われる環境に優しい農村地域であること、農業体験ができること、そして有機農産物売り場があること等の属性に中評価、そして生物多様性、資源再利用、(ホテル泊に比べて)Farm stayやCampsiteはあまり評価されないこと等が明らかにされた。 そして、最後の７章では結論をまとめ政策提言を行った。韓国の６次産業化政策では所得拡大という経済的志向が強く、環境保全等多面的機能を軽視する特徴がある。農業の多面的機能を同時に実現するためにはEUの多面機能型農業を韓国において推進していく必要があり、また一般国民の間にもその需要がある。韓国政府には、既存の６次産業化推進体制を生かしつつ、施策のベクトルと内容を環境保全等多面的機能の方向に拡充していくことが強く望まれる。  注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ て、３,０００字を標準とすること。 論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。         - 3 -（続紙 ２ ）                            （論文審査の結果の要旨） 環境汚染の拡大や地球温暖化、そしてグローバルな競争が激化する今日、農業の多面的機能は学術的に重要なテーマであり、環境保全型農業や持続可能な農村発展も重要な政策課題である。韓国は98年アジア金融危機後に農産物自給率の低下や農工格差の拡大と農村地域の衰退等の問題に直面し、その対策として韓国政府は近年６次産業化を強力に推進してきた。しかし同政策は農業従事者らの所得増を図る経済的志向が強く、環境保全等農業の多面的機能を軽視しているため、環境保全等の多面的機能をも発揮できる新しい農業の有り方と発展戦略が求められている。 本論文はその時代要請に応えるため、韓国の６次産業化政策をEUの多面機能型農業と比較し、その違いと問題点を明らかにするとともに、EUの多面機能型農業の有効性と韓国で実施する際の方向性を農業の多面的機能と多面機能型農業の方策に関する二つの価値評価分析を通じて明らかにしようとするものである。評価すべき点は以下の三点があげられる。 第１に、EUの多面機能型農業を体系的に紹介し、また韓国の６次産業化政策と比較して両者の類似点と相違点、特に後者が環境保全等多面的機能を軽視する問題があり改善する余地があることを明らかにしたことで、韓国だけでなく、６次産業化を推進している東アジア各国の農政改革にも示唆が大きいと思われる。 第２に、農業の多面的機能に関する価値評価の研究は多く行われているが、本研究はこれらの既存研究と違って、韓国における農業の多面的機能を幾つかの側面に分けてそれぞれ側面の価値を同時評価する点で、学術的なオリジナリティがあり、同分野の研究に新たな可能性を開いたと言える。 第３に、農業関連の価値評価研究の多くが外部効果をもつ農業資源や農産物を対象にするのに対して、本研究は韓国における多面機能型農業の方策について、一般市民の支払い意思額を計量的に評価する点も学術的な独創性があり、政策的・実践的な意義が高いと思われる。 以上のように、本論文は韓国の６次産業化政策をEUの多面機能型農業と比較し、その違いと問題点を明らかにし、また筆者自らの調査データに基づき農業の多面的機能と多面機能型農業の方策に関する二つの価値評価分析を通じて、韓国において多面機能型農業を推進する際、重視すべき側面を明らかにする研究であることから、政策的・実践的な意義が高く、学術的にも農業経済学、農業政策学、環境経済学、特に農業関連公共財や農法の評価研究の発展に寄与するところが大きい。 よって、本論文は博士（農学）の学位論文として価値あるものと認める。 なお、令和４年７月２１日、論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果、博士（農学）の学位を授与される学力が十分あるものと認めた。  注）論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。 ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。  要旨公開可能日： 年  月  日以降（学位授与日から３ヶ月以内） 

韓国における農業の多面的機能と多面機能型農業に関する価値評価研究：6次産業化を超えて

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/277296/2/ynogr02905.pdf

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