小藤 美咲

豊田 響子

高野 陽花

齋藤 敬

高野, 陽花

タカノ, ハルカ

小藤, 美咲

コフジ, ミサキ

豊田, 響子

トヨダ, キョウコ

齋藤, 敬

サイトウ, タカシ

Takano, Haruka

Kofuji, Misaki

Toyoda, Kyoko

Saito, Takashi

Akita Prefectural University Repository / 秋田県立大学機関リポジトリ

1    入浴・シャワー介助を目指した耐水伸縮機構の開発  システム科学技術部 知能メカトロニクス学科 2年 小藤 美咲 2年 高野 陽花 2年 豊田 響子 指導教員 システム科学技術部 知能メカトロニクス学科 准教授 齋藤 敬   １． 目的  生活支援ロボットの作成を通じてロボット作成の基本的な知識を学び，得た知識を活用することで理解を深めることを目的とする．プログラミング言語LabVIEWを用いて実際の活用場面をシミュレーションする．下肢麻痺者が自力で着座することができるロボットの作成を目指す．  ２． 研究内容  ① LabVIEWを用いたシミュレーション  生活支援ロボットコンテストで用いられる仮設住宅を CADソフトであるSolidWorksで作成した．仮想空間でのロボットシミュレーションを可能にするLabVIEW Roboticsで下肢麻痺者を想定した人体ロボットで補助ロボットを使用して仮説住宅内を単独で行動できるようシミュレーションをした．主に着座することを目標とした．  ② 生活支援ロボットの制作 下肢麻痺者の生活を補助することができる杖と移動式のグリップを組み合わせたロボットの開発を行った．グリップの駆動部内では杖を左右からローラーで挟みこみ，片側のローラーをモーターの力で駆動する機構を作成した．また研究を通して，SolidWorksとLabVIEWの使い方も学んだ．  ３． 研究結果と考察  ① LabVIEWを用いたシミュレーション  生活支援ロボットコンテストで用いられる仮設住宅を CADソフトであるSolidWorks2019で作成した．LabVIEW Robotics module 2019 で下肢麻痺者を想定した人体ロボットで補助ロボットを使用して着座することができるようシミュレーションをした． 当初は，作成した仮設住宅で下肢麻痺者がロボットの力のみで生活することができるか LabVIEW Roboticsでシミュレーションする予定であった．しかし，SolidWorksで作成した仮設住宅をLabVIEWに取り込む際，問題が発生し仮設住宅でのシミュレーションをすることが不可能となった．したがって，LabVIEWでは簡易的な椅子をフィールド上に設定し，その椅子に下肢麻痺者が自力で着座することが2  できるようにシミュレーションをすることにした．             図1 作成した仮設住宅  シミュレーションに必要な人体ロボットは人工生体機構研究室で開発中のものを使用した．人体ロボットは下肢麻痺者を想定しており，脚を側面から支えるフレームが装備されている．また腰の左右に伸縮する棒状の補助ロボットを２機装備しており，これにより体を支えながら着座～起立を行うことを想定している．この補助ロボットに加えて，人体の各部位の重量や関節可動範囲を調整し，着座させることを目指す．フィールド上に背もたれのついた椅子を設定し，下肢麻痺者を想定した人体ロボットが直立した状態から，使用して着座させる．シミュレーションは図2のようなブロックダイアグラムを作成しプログラムを実行した． 図2. ブロックダイアグラム  人体ロボットは各部位の重量や関節の屈する角度などを一つずつ設定する必要があり，それらを少しでも違う値で設定すると, 人間の体では不可能な動きをしてしまう．そこで，今回行ったシミュレーションでは足と地面を固定し，人体ロボットの各部位の角度を何度も調整し，繰り返し実行することで着座するシミュレーションに成功した．これは背もたれがある場合の椅子に着座することを想定した場合である．背もたれが無い椅子でも着座できるようにするためには，人体の各部位の重量も考慮し，どの部位をどの角度で設定すればスムーズに着座できるかを改めて考えることが必要である．更に，実際には足と地面は固定されているものではないので，固定せずに着座させることも今後の課題である． 3            図3．LabVIEW Robotics を用いたシミュレーション結果 左）横から見た着座シミュレーション 右）正面から見た着座シミュレーション  ② 生活支援ロボットの製作 簡易な構造で量産性・コスト優位性のある生活支援ロボットとして，杖に取付けて使用することができる移動グリップ機構の製作を行った．杖に体を支えるグリップ部がモーターによって自動で上下に移動し，下肢麻痺者が自力で着座することを補助する．軸となる杖を左右からローラーで挟み，自動で移動することを可能にする．本来はシミュレーションと同様に，人の腰に２機，この杖機構を装着して試験したいところだが，今回は確実に動作する１機の開発に絞った．    図3．SolidWorksで作成した設計図 左）外観  右）内部構造   設計図を基に機構を作成する．  材料は，ねじや留め具はステンレスを使用し，フレームにはアルミニウムA5052を切削加工して使用した．この素材は入浴の際に利用することを想定し耐食性のある材質を選んだ．ローラーは内層が鉄，表層はウレタンでできており，鉄部分に穴をあけることで，モーターへ固定した．モーターは近藤科学 KRS-5054HV ICS H.C(*1)を使用する．２つのローラーのうち片方にだけモーターを固定し，もう一方は補助的に回転するだけの機構にする．杖の長さを調節することができる部分に装着し，杖を挟み，適切な力加減でローラーの回転が杖に伝わるように設計した． 4   図5．杖とローラーを用いた支援機構 左）杖と機構を組み合わせた全体図  中）機構の内面構造 右）生活支援ロボットを上からみた図   コントローラには小型制御ボードであるArduino Uno Rev.3に独自のプログラムを作成して使用した．ローラーの回転の切替はボードからの有線遠隔操作スイッチで行った．サーボモーターを連続回転設定として，実際に使用した場合を想定し，動作試験を行った．その結果，ローラーは滑らかに杖を上下に移動し，機構に取り付けたグリップにある程度の負荷をかけてもずれ落ちることはなく，正常に作用した．          図6. 実際に使用することを想定した実験 左）機構が上方にある場合  中）機構が下方にある場合 右）モーターを動かすために繋げた回路とスイッチ   今回作成した生活支援ロボットは回路が外付けながら充分利用できることがわかった．Arduinoにはより小型なモデルもあり，今後移動グリップ部にボードや電池を内蔵し，よりコンパクトにすることが期待される．それに加え，モーターが剥き出しであるので耐水機能が備わっていないという問題もある．当初の想定のように，実際に２機の杖として体を支えたり，耐水機能をつけたりすることが今後の課題である．  ４． まとめ  今回の自主研究では，生活支援ロボットを作成することで，ロボット制作の基本的な経験や知識を得た．また各種の専門ソフトでのシミュレーションや制御プログラムを作成することで理解を深めることができた．簡易的な生活支援ロボットとして今回開発した機器は大きな可能性があると考えるが，制御回路の小型化や耐水性の追加など改良が必要である．また人体ロボットを用いたシミュレーションも改善の余地は残るため，それらを今後の課題としたい．  参考文献 *1  近 藤 科 学  KRS シ リ ー ズ  [https://kondo-robot.com/product/03180] 閲 覧 日:2022/03/26   

入浴・シャワー介助を目指した耐水伸縮機構の開発

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入浴・シャワー介助を目指した耐水伸縮機構の開発

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