調理技能習得における学習形態の在り方の一考察:小学校家庭科の一人調理を通して

Abstract

要旨小学校家庭科における調理実習は,1958年版学習指導要領以来今日まで,調理技能の習得が目標として位置付けられてきた。調理実習の学習形態について見てみると,初期の頃はグループ調理が施設・設備の都合と能率を理由に始められ,その中で個への適切な指導を求めていた。その後,1977年版指導書ではグループ調理での指導の中に包丁技能を個に対応することが記載され,その後児童の生活体験の不足から,技能習得の困難に対応した教材の在り方や指導の工夫が求められるようになった。2017年版学習指導要領解説には,ペア学習や一人調理など,初めて学習形態に踏み込んだ記載が見られた。調理実習に関わる学習形態に関する先行研究では,グループ調理における個の技能習得に課題があることを指摘し,指導の工夫が提案されていた。2000年以降,ペア学習や一人調理を対象とした研究が見られ,技能習得を目指し学習形態の変化が認められた。一人調理が技能習得に効果的な理由として,一連の調理過程が全て経験できること,調理の要点を自らが判断する意思決定場面があること,自らの調理目標を自分で設定してそれに向かって調理できることが挙げられた。一人調理の調理実習の授業設計には,複数回の調理を位置付けること,個々の児童の意思決定の場面を設定し児童の意思を尊重すること,学び合いの場の設定が重要になると考えられた

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