京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第23107号医博第4734号新制||医||1051(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 平井 豊博, 教授 湊谷 謙司, 教授 川口 義弥学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Kayawake, Hidenao

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Protective Effects of a Hydrogen-RichPreservation Solution in a Canine LungTransplantation Model( Abstract_要旨 )Kayawake, HidenaoKayawake, Hidenao. Protective Effects of a Hydrogen-Rich Preservation Solution in aCanine Lung Transplantation Model. 京都大学, 2021, 博士(医学)2021-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k23107https://doi.org/10.1016/j.athoracsur.2020.05.076京都大学 博士（医学） 氏 名 栢 分 秀 直 論文題目 Protective Effects of a Hydrogen-Rich Preservation Solution in a Canine Lung Transplantation Model  （犬肺移植モデルにおける水素含有臓器保存液の肺保存効果） （論文内容の要旨） 【背景】 肺移植は末期呼吸不全患者の最後の救命手段であるが、肺は虚血に弱く、保存時間に制限があることが問題となっている。脳死肺移植では、搬送中にグラフト肺は虚血に晒されるが、長時間の虚血は肺移植後の虚血再灌流障害につながりやすいので、肺移植治療成績の向上のために良好な肺保存方法の確立が望まれる。 分子状水素は、その抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用等により、様々な臓器で虚血再灌流障害を軽減しうることが報告されている。加えて、京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学のこれまでの小動物実験により、水素含有液が肺の虚血再灌流障害を抑制しうることが示唆されているが、ヒトに対する効果をより忠実に再現しうる大動物移植モデルでは検証されていない。今回、イヌ肺移植モデルを用いて、水素含有臓器保存液の肺保存効果を検討した。 【方法】 一実験につき、ビーグル犬を 2 頭（ドナー、レシピエント）使用した。ドナー犬のグラフト肺を ET-Kyoto 液にてフラッシュし、心肺ブロックを摘出、23 時間 ET-Kyoto 液に浸漬させて冷保存したのち、左肺をレシピエント犬に移植するモデルを用いた。実験群は Control 群（n=5）と水素群（n=5）に分け、前者では通常の ET-Kyoto 液を、後者では水素含有の ET-Kyoto 液をフラッシュおよび浸漬に用いた。再灌流後 45 分でグラフト機能評価のために右肺動脈を遮断し、再灌流後 240 分でレシピエント犬を犠牲死させた。再灌流中の血液ガス分析結果と生理学的データを解析し、再灌流終了後の肺組織を用いて、湿乾重量比の測定や病理学的評価を行った。 【結果】 両群ともレシピエント犬は再灌流後 4 時間まで全例生存した。再灌流中の動脈血酸素分圧は水素群にて有意に高値であり（p=0.045）、再灌流中の動脈血二酸化炭素分圧は水素群で有意に低値であった（p<0.001）。加えて動的肺コンプライアンスは水素群で有意に良好であり（p=0.029）、これらは水素群のグラフト肺でより有効な換気が行われていることを示唆した。肺組織湿乾重量比は水素群で有意に低値であり（水素群：9.2 ± 1.4 に対し Control 群：11.4 ± 1.6、p=0.032）、水素群で肺水腫が抑制されていることが示唆された。水素群のグラフト肺は Control 群より肉眼的に肺障害が抑制されていたが、Lung injury score を用いた病理学的評価においても同様に肺障害が水素群で有意に抑制されていた（水素群：0.30 ± 0.13 に対し Control 群：0.42 ± 0.14、p<0.001）。また apoptosis を来した細胞数は水素群で有意に少なかった（水素群：1 視野あたり 2.3 ± 1.6 個に対して Control 群：1 視野あたり 6.6 ± 4.6 個、p<0.001）。これらから水素含有臓器保存液の肺保存効果が示された。 【結語】 肺の冷保存に水素含有臓器保存液を用いる方法により、肺移植後の虚血再灌流障害が抑制されることが示された。水素含有臓器保存液は有効な肺保存方法の新たな選択肢となり得る。  （論文審査の結果の要旨） 脳死肺移植においてはグラフト肺搬送が必要であり、その間グラフト肺は虚血に晒されるが、長時間の虚血により肺移植後の虚血再灌流障害が生じやすいため、良好な肺保存方法の確立が望まれる。小動物実験にて水素含有液が肺の虚血再灌流障害を抑制しうることが示されているが、ヒトに対する効果を再現可能な大動物移植モデルでは示されていない。今回、大動物肺移植モデルを用いて、水素含有臓器保存液を用いた肺保存により肺移植後の虚血再灌流障害が抑制される、と仮説を立て研究を行った。 ドナー犬のグラフト肺を臓器保存液で灌流後に摘出し 4℃で 23 時間浸漬保存したのち、レシピエント犬に左片肺移植を行い 4 時間の再灌流評価を行った。臓器保存液は水素群（n=5）では水素含有ET-Kyoto 液を、Control 群（n=5）では通常のET-Kyoto 液をそれぞれ用いた。動脈血酸素分圧、二酸化炭素分圧、動的肺コンプライアンスおよび湿乾重量比は水素群で有意に良好であり、グラフト肺機能が保たれていることが示唆された。また病理学的評価にて肺障害が水素群で有意に抑制されており、細胞の apoptosis も抑制されていた。 以上の研究は肺移植後の虚血再灌流障害を抑制する肺保存方法の開発に寄与するところが多い。   したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、令和３年３月５日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

犬肺移植モデルにおける水素含有臓器保存液の肺保存効果

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/263568/2/yigak04734.pdf

犬肺移植モデルにおける水素含有臓器保存液の肺保存効果

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