京都大学0048新制・課程博士博士(工学)甲第22777号工博第4776号新制||工||1747(附属図書館)京都大学大学院工学研究科材料工学専攻(主査)教授 乾 晴行, 教授 安田 秀幸, 教授 辻 伸泰学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDGA

Ahmad, Afandi

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Development of Fe-basedSuperalloys Strengthened by theγ'Phase( Abstract_要旨 )Ahmad, AfandiAhmad, Afandi. Development of Fe-based Superalloys Strengthened bythe γ'Phase. 京都大学, 2020, 博士(工学)2020-09-23https://doi.org/10.14989/doctor.k22777学位規則第9条第2項により要約公開 京都大学 博士（  工学  ） 氏名 Ahmad Afandi 論文題目     Development of Fe-based Superalloys Strengthened by the γ’ Phase     （γ’相で強化した Fe基超合金の開発） （論文内容の要旨） 本論文は，Fe-Ni-Ge 三元系合金のオーステナイト(γ)相と L12型金属間化合物(γ’)相近傍の相平衡を調べ，γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2 相組織の形成が可能となる合金組成，熱処理条件などを確立し，その力学特性や耐酸化特性などを系統的に調査し，新規な Fe 基超合金について合金設計指針の提案と実証を行った結果を取り纏めたものであり，5章からなっている．  第 1 章は序論であり，本研究の研究背景および研究方針について纏められている．火力発電所などで用いられているタービンの熱効率の向上にはタービン入り口温度の上昇が有効であるが，現在これに使われている耐熱構造材料は Ni 基超合金であり，大変高価である．安価な Fe を主要元素とした耐熱合金も実用されているが，Ni 基超合金に比べれば耐用温度は遥かに低い．従来のFe 基耐熱合金の耐用温度を大幅に上昇することができれば，タービン等の燃焼機関の多くの部材を安価な Fe 基超合金で着替え，熱効率の向上を図ることができる．しかし，γ’相で強化した Fe合金を作ろうとすると，Fe に富む合金組成では γ’相は 10%程度の体積分率にしかできず，これまで開発の成功例はない．本研究は，Fe-Ni-Ge 三元系合金に着目し，γ 相と γ’相近傍の相平衡を調査し，その力学特性や耐酸化特性などを系統的に調査することにより，γ’相が γ相中に cube-on-cube方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2 相組織を有する新規な Fe 基超合金の合金設計指針を得ることを目的とするものである．  第 2 章では，Fe-Ni-Ge 三元系合金の 1100, 1000, 800, 650°C での γ 相と γ’相近傍の相平衡を調査する方法とその結果が纏められている．γ 相と γ’相の二相領域は Ni リッチ側から Fe リッチ組成に向かって広い組成範囲にわたって広がっており，γ 相，γ’相と DO3相からなる三相三角形が Feリッチ組成で出現により閉じる．この三相三角形近傍の組成が有望組成となるが，この三相三角形の存在する合金組成も温度とともに変化する．さらに，γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2 相組織を得るには，高温で γ 相単相となり（溶体化処理），それより低い温度で γ 相と γ’相の二相となり（時効処理），その温度間でこの二相以外の相が出現しないことが必須であり，このような条件から合金組成と熱処理（溶体化処理および時効処理）条件の最適化を行い，Fe がリッチな化学組成で γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2 相組織を得る条件を確立した．この最適化学組成では，γ’相の体積率は 700°C で63%と大きく，800°C まで温度が上昇してもなお 45%という大きな値を示した．700°C での γ 相とγ’相の格子ミスフィットは－0.273%と先進 Ni 基超合金のそれと同等の値で，格子ミスフィットにより γ 相の強化が達成できている可能性を示唆する．上記のように新規な Fe 基超合金足りうるFe がリッチな化学組成で γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2相組織を得る条件を明らかにしている．  京都大学 博士（  工学  ） 氏名 Ahmad Afandi 第 3 章では，最適化学組成近傍の Fe-Ni-Ge 三元系合金について圧縮及び引張変形により調査した力学特性の結果が纏められている．溶解後，γ/γ’整合 2 相組織を得る条件で熱処理した多結晶および単結晶を供試材としている．単結晶作製方法についても最適化が行われている．室温では400~500 MPa もの高い降伏応力を示した後，50%もの大きな引張伸びを示す．この降伏応力は，従来の Fe 系耐熱合金（SUS314, SUS316）よりも 150~200 MPa も高い．この降伏応力は 700°C 程度までほぼ一定に保たれ，それ以上の温度ではやや急激に減少する．この高温での降伏応力の減少は γ’相の体積率の減少と関連していると考えられ，γ’相の体積率の減少を抑制する添加元素などにより軽減できると提案している．  第 4 章では，合金組織，力学特性に及ぼす合金元素添加の影響について纏めている．調査を行った添加元素は，V, Nb, Ta, W, Mo, Ti, Co である．800°C を中心として相平衡を調べ，添加元素の固溶度や γ’相の体積率の変化などを調査している．γ’相の体積率を増大させるには Ta の添加が最も効果的であるが，γ 相と γ’相の格子ミスフィットの値はゼロに近づき，γ’相析出物の形状が立方体から球状へと変化する．また，Ta 以外の個々の添加元素の影響について解明している．  第 5 章は結論であり，本論文で得られた成果について要約するとともに，将来の合金設計についての提言を行っている．                     氏 名 Ahmad Afandi （論文審査の結果の要旨）   本論文は，γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2 相組織を有する新規な Fe 基超合金の設計指針及び力学特性について系統的に調査を行った結果を取り纏めたものであり，得られた主な成果は次の通りである． １. Fe-Ni-Ge 三元系合金の γ 相と γ’相近傍の相平衡を系統的に調査し，新規な Fe 基超合金足りうる Feがリッチな化学組成で γ’相が γ相中に cube-on-cube方位関係で立方体状に析出したγ/γ’整合 2 相組織を得る化学組成，熱処理条件を明らかにした． ２. 最適化学組成では，γ’相の体積率は 700°C で 63%と大きく，800°C まで温度が上昇してもなお 45%という大きな値を示し，γ/γ’整合 2 相組織の熱安定性が極めて高いことを明らかにした．また，種々の添加元素について合金組織，力学特性に及ぼす影響を系統的に調査し，固溶度を決定するとともに，γ’相の体積率を増大させる添加元素や耐酸化性を向上させる添加元素等を個別に特定した．これらは，γ’相を強化相とする Fe 基二相超合金の設計において極めて有益な成果である． ３. 室温では 50%もの大きな引張伸びを示すにも拘らず，降伏強度は従来の Fe 系耐熱合金よりも 150~200 MPa も高い．また，この降伏強度は 700°C 程度までほぼ一定に持続されることを明らかにした．これは，Fe 基超合金の設計において特筆すべき成果である． 以上のように本論文は，γ’相が γ 相中に cube-on-cube 方位関係で立方体状に析出した γ/γ’整合 2相組織を有する新規な Fe 基超合金の設計指針を示したもので，学術上，実際上寄与するところが少なくない．よって，本論文は博士（工学）の学位論文として価値あるものと認める．また，令和 2 年 8 月 7 日，論文内容とそれに関連した事項について試問を行って，申請者が博士後期課程学位取得基準を満たしていることを確認し，合格と認めた． なお，本論文は，京都大学学位規程第 14 条第 2 項に該当するものと判断し，公表に際しては，当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める．    

γ'相で強化したFe基超合金の開発

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/259045/1/ykogk04776.pdf

γ'相で強化したFe基超合金の開発

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