京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第21992号医博第4506号新制||医||1037(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 川口 義弥, 教授 坂井 義治, 教授 濵﨑 洋子学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Hiramatsu, Yukiko

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TitleArid1a is essential for intestinal stem cells through Sox9regulation( Abstract_要旨 )Author(s)Hiramatsu, YukikoCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2019-07-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21992RightFinal publication is available athttps://doi.org/10.1073/pnas.1804858116.Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（  医  学） 氏 名 平松 由紀子 論文題目 Arid1a is essential for intestinal stem cells through Sox9 regulation （Arid1aはSox9の制御を介して腸幹細胞に必須である）  （論文内容の要旨） 近年、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体が発癌、組織の恒常性に関わることを示す報告がなされている。最近、クロマチン制御因子 Arid1a がマウスの大腸癌、肝組織再生に重要な役割を果たすことが報告された。しかし、Arid1aの腸の幹細胞・恒常性における役割は依然不明である。そこで、本研究では、Arid1aがマウス腸の幹細胞・恒常性に果たす役割を明らかにすることを目的とした。 本研究では、腸上皮特異的に Arid1aを欠失させたマウス(Villin-Cre; Arid1af/f マウス)を作成・解析した。その結果、Villin-Cre; Arid1af/fマウスではコントロールマウスと比較して、生存率の低下、成長障害を認めた。そこで、マウス小腸の免疫染色解析、RT-PCR を用いた遺伝子発現解析を行ったところ、Villin-Cre; Arid1af/fマウスでは腸上皮 crypt-villi構造の異常、パネート細胞の減少、アポトーシスの増加を認めた。小腸幹細胞維持における Arid1a の必要性を検討するために、Lgr5-GFP ; Villin-Cre; Arid1af/fマウスを作成した結果、Lgr5-GFP ; Villin-Cre; Arid1af/fマウスでは Lgr5陽性腸幹細胞の著明な減少が認められた。 さらに、腸上皮から単離した腸陰窩細胞を用いて腸オルガノイドの作成を試みたところ、Villin-Cre; Arid1af/fマウスでは腸オルガノイドの形成能（＝幹細胞能）が損なわれることを見出した。Lgr5陽性腸幹細胞維持における Arid1aの役割を解析するために、Lgr5-CreERT2; Rosa-lacZ; Arid1af/fマウスを用いて細胞系譜解析（Lineage tracing）を行い、Lgr5陽性の腸幹細胞特異的に Arid1aをノックアウトした結果、Lgr5陽性腸幹細胞の子孫細胞供給能が損なわれることを見出した。 そこで、Micro array、RT-PCRを用いて遺伝子発現の比較解析を行った結果、Villin-Cre; Arid1af/fマウスの腸では Sox9を含めたWntシグナル関連遺伝子の発現の減少、アポトーシス関連遺伝子の発現上昇を認めた。 以上の結果から、Arid1aはマウス小腸の幹細胞、恒常性に必須であることが示唆された。一方、腸特異的に Sox9を欠失させたマウスでは、Arid1a-cKOマウス同様に腸幹細胞の減少、Crypt 構造の異常を認めることから、「Arid1a がSox9の発現制御を介して腸の幹細胞、恒常性維持に必須な働きをしているのではないか」という仮説を立てた。 この仮説を検証するために、ChIP assay実験を行い、Arid1aが Sox9のプロモーター領域・エンハンサー領域に直接結合するかを検証した。WT マウスの腸幹細胞（crypt 部分）、腸分化細胞（villi 部分）それぞれから単離した細胞を用いて ChIP-PCRを行ったところ、crypt部分では Arid1aが Sox9のプロモーター領域・エンハンサー領域に直接結合する一方、villi 部分では結合しないことを見出した。加えて、ChIP-Seq 解析を行い、Arid1a のエピジェネティックな遺伝子発現制御を網羅的に解析したところ、Arid1aはアポトーシス、細胞周 期, 腸上皮分化、Wnt シグナル関連遺伝子制御に関わる遺伝子の発現制御に関わっていることが示唆された。 Villin-Cre; Arid1af/fマウスで認められた異常が Sox9 の発現抑制によるものかどうかを検証するため、Arid1a 欠失下に Sox9 を過剰発現したマウスモデル（Villin-Cre; Arid1af/f; Sox9OE マウス）を作成解析した結果、Villin-Cre; Arid1af/fマウスで認められた幹細胞の減少、小腸 Crypt-Villi構造の異常、アポトーシスの増加がレスキューされた。加えて、3D-cell culture 実験では、Villin-Cre; Arid1af/f; Sox9OE マウス腸上皮から単離した腸陰窩細胞を用いて腸オルガノイドの作成を試みたところ、腸オルガノイドの形成能（=幹細胞能）が回復していることを見出した。 さらに検証するために、Arid1a 欠失下 Sox9 過剰発現マウス (Lgr5-CreERT2; Rosa-lacZ; Arid1a (flox/flox); SOX9OEマウス) において Lineage tracing実験を行ったところ、幹細胞の子孫細胞供給能がレスキューされることを見出した。 これらの結果から、Arid1a が Sox9 の発現制御を介して腸幹細胞維持に必須であることが示された。   （論文審査の結果の要旨） 近年、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体が発癌、組織の恒常性に関わることを示す報告がなされている。最近、クロマチン制御因子Arid1aがマウスの大腸癌、肝組織再生に重要な役割を果たすことが報告された。しかし、Arid1a の腸の幹細胞・恒常性における役割は依然不明である。そこで、申請者らは遺伝子組み換えマウスを用いて、マウス腸の幹細胞・恒常性維持におけるArid1aの機能的役割について検討した。 その結果、第１にArid1aはマウス腸において幹細胞・恒常性維持に必須であることが明らかとなった。第２にArid1aは Sox9を含めたWntシグナル因子の発現を制御していることが明らかとなった。第３に Arid1aは Sox9の発現を直接制御することにより、腸の幹細胞・恒常性維持に必須であることが明らかとなった。 以上の研究は、クロマチン制御因子Arid1aによる腸の幹細胞・恒常性維持における分子制御機構を明らかにし、今後、腸上皮再生医療への応用に寄与する可能性がある。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、平成３１年５月１４日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

Arid1aはSox9の制御を介して腸幹細胞に必須である

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/243292/1/yigak04506.pdf

Arid1aはSox9の制御を介して腸幹細胞に必須である

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