京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第21674号医博第4480号新制||医||1036(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 安達 泰治, 教授 黒田 知宏, 教授 戸口田 淳也学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Tanaka, Yoshihisa

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Title Medial tilting of the joint line in posterior stabilized total kneearthroplasty increases contact force and stress( Abstract_要旨 )Author(s)Tanaka, YoshihisaCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2019-03-25URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21674RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（ 医 学 ） 氏 名 田 中 慶 尚 論文題目 Medial tilting of the joint line in posterior stabilized total knee arthroplasty increases contact force and stress （Posterior stabilized型人工膝関節置換術における関節面の内方傾斜により接触力および接触応力は上昇する） （論文内容の要旨）  【目的】人工膝関節置換術（total knee arthroplasty; TKA）におけるキネマティックアライメント（kinematic alignment; KA）設置とは、変形性膝関節症を発症する前の膝関節のアライメントを再現するという概念に基づくものである。KA設置では、従来の一般的な大腿骨および脛骨インプラントの設置方法であるメカニカルアライメント（mechanical alignment; MA）設置よりも脛骨側インプラントが脛骨機能軸に対しわずかに内反および内旋、大腿骨側インプラントが大腿骨機能軸に対しわずかに外反および内旋した位置での設置となる。KA設置では、MA設置よりも正常膝に近い動態が得られ、術後の患者満足度が良好であると報告されている。しかし、KA設置により大腿脛骨間に生じる接触応力が上昇するとも報告されている。TKA で使用するインプラントには、後十字靱帯を温存する cruciate retaining（CR）型と、後十字靱帯の機能をインプラントの形状により補うposterior stabilized（PS）型という主要な2つのタイプがある。PS型インプラントには後十字靱帯の機能を補うためのポストカム機構を備えており、それが前後安定性に寄与している。これまでのKA設置に関する報告は臨床面でもバイオメカニクスの面でもCR型TKAについてのものであった。PS型TKAにおける、KA設置による膝動態および大腿脛骨間の接触力への影響についてはわかっていない。今研究の目的は、PS型TKAにおける関節面の内方傾斜による影響を検討することである。 【方法】生体での人工膝関節の動態を再現できることが検証されている筋骨格系コンピューターシミュレーションプログラムを用い、MA設置と関節面の内方傾斜を再現したモデルを作成した。冠状面において、大腿骨および脛骨の機能軸に対し垂直にそれぞれのコンポーネントを設置したMAモデルを基準とし、大腿骨および脛骨コンポーネントを3度、5度内方傾斜させて設置したものをそれぞれmedial tilt（MT）3°モデル、MT5°モデルとして作成した。膝の深屈曲動作時における、大腿骨コンポーネントの脛骨コンポーネントに対する外旋運動および大腿脛骨関節とポストカム機構の接触力の解析を行った。さらに、有限要素法により大腿脛骨関節とポストカム機構の接触応力を計算した。 【結果】0 度から 120 度までの膝屈曲動作に伴う大腿骨コンポーネントの外旋運動は、MA、MT3°、MT5°モデルでそれぞれ-0.6°、1.8°、4.2°であり、関節面の内方傾斜に伴って、より大きな大腿骨コンポーネントの外旋運動がみられた。120度の膝屈曲時の大腿脛骨関節の最大接触応力はMT3°およびMT5°モデルにおいてMAモデルよりも高い数値を示した。ポストカム機構の最大接触応力は、膝伸展時（0度）ではどのモデルでも同様であったが、120度の膝屈曲時ではMT3°、MT5°モデルはMAモデルのそれぞれ2.2倍、3.8倍であった。 【考察】PS型 TKAにおいて、冠状面における膝関節面の内方傾斜により、屈曲に伴う大腿の外旋運動は大きくなり、膝動態は正常膝に近くなる可能性が示された。しかしながら、関節面の内方傾斜による大腿脛骨関節およびポストカム機構における接触力および接触応力の上昇がみられ、ポリエチレン摩耗やインプラントの弛みなどの重大な合併症につながる可能性が考えられる。より正常に近い動態により、良好な膝関節機能が得られる可能性はあるが、インプラントの耐久性の面ではKA設置は好ましくない影響を与える可能性がある。 （論文審査の結果の要旨） 人工膝関節置換術（TKA）において、変形性膝関節症発症前の関節アライメントを再現するという概念に基づくキネマティックアライメント（KA）設置では、従来のメカニカルアライメント（MA）設置に対し関節面をわずかに内反、内旋させた設置となる。後十字靱帯を温存する cruciate retaining型TKAではKA設置により動態が正常膝に近くなり、術後患者満足度が向上するという報告があるが、切除した後十字靱帯の機能をポストカム機構に代替させる posterior stabilized（PS）型TKAでのKA設置による影響は不明である。本研究ではPS型TKAでの関節面内方傾斜による影響を検討した。コンピューターシミュレーションによる膝動態解析および有限要素法を用いたインプラント間の接触応力解析の結果、膝屈曲に伴う回旋運動は関節面内方傾斜によって正常膝の動態に近づく傾向を示したが、一方で膝深屈曲時の大腿脛骨関節およびポストカム機構の接触応力は関節面内方傾斜により著明に上昇した。このことからPS型TKAではKA設置によってポリエチレン摩耗やインプラントの弛みなど、再手術を要する重大合併症のリスクが増大する可能性が考えられた。 以上の研究はPS型TKAでのKA設置による影響の解明に貢献し、今後の人工膝関節置換術の長期成績向上に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、平成３１年２月２７日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。         要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

Posterior stabilized型人工膝関節置換術における関節面の内方傾斜により接触力および接触応力は上昇する

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/242406/1/yigak04480.pdf

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