京都大学0048新制・課程博士博士(エネルギー科学)甲第21891号エネ博第392号新制||エネ||76(附属図書館)京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻(主査)准教授 中嶋 隆, 教授 大垣 英明, 教授 作花 哲夫学位規則第4条第1項該当Doctor of Energy ScienceKyoto UniversityDGA

DAS, RAKESH MOHAN

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Title Laser-induced spin-polarization of exotic atoms involvingmuons for a bright muon source( Abstract_要旨 )Author(s)DAS, RAKESH MOHANCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2019-03-25URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21891Right学位規則第9条第2項により要約公開Type Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University    様式Ⅰ                             博士学位論文調査報告書   論文題目       Laser-induced spin-polarization of exotic atoms involving muons             for a bright muon source                                          （ミュオンを構成粒子とするエキゾチック原子のレーザー誘起スピン偏極）                                 申 請 者  DAS, Rakesh Mohan                    最終学歴  平成 29 年 3 月             京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻博士後期課程       研究指導認定退学   学識確認   平成    年    月    日（論文博士のみ）                       調査委員        京都大学大学院エネルギー科学研究科                    （主査）        准教授 中嶋 隆                                  調査委員        京都大学大学院エネルギー科学研究科                                    教 授 大垣 英明                                  調査委員        京都大学大学院          工学研究科                                    教 授 作花 哲夫                  （ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（エネルギー科学） 氏名 DAS, Rakesh Mohan 論文題目 Laser-induced spin-polarization of exotic atoms involving muons  for a bright muon source                                 （ミュオンを構成粒子とするエキゾチック原子のレーザー誘起スピン偏極） （論文内容の要旨）  本論文は、中間子の一種である正または負の電荷を持つミュオンを構成粒子とするエキゾチック原子をレーザー照射によってスピン偏極させる手法を理論的に論じた結果をまとめたもので、５章からなっている。  第１章は序論で、レーザーが様々な分野で活用されている例を述べた後、ミュオンの生成方法とミュオンに関する研究の重要性を説明し、本論文で報告する３つの研究、すなわち、（１）ドップラー広がりを持つミュオニウムの光イオン化効率、（２）チャープパルスを用いたミュオニウムのスピン偏極、（３）磁気四重極遷移を用いたミュオニック原子の励起効率についてその背景と研究の意義を述べている。   第２章では、（１）のドップラー広がりを持つミュオニウムを１光子共鳴２光子イオン化過程によってイオン化した時のイオン化効率について述べている。加速器内で生成されるミュオニウムのドップラー広がりはナノ秒レーザーのバンド幅より桁違いに広いため、励起パルスにコヒーレンスは良いもののバンド幅の狭いフーリエ限界パルスを用いる方が良いのか、あるいはコヒーレンスは悪いもののバンド幅の広いブロードバンドパルスを用いる方が良いのかは、これまでも議論が分かれ決着がついていない。 そこでレーザーの時間幅、ピーク強度、バンド幅を考慮した計算を行ったところ、イオン化レーザー強度が中程度の場合には、ブロードバンドパルスを励起に用いた方がイオン化効率は良いが、イオン化レーザー強度が非常に高い場合には、バンド幅の狭いフーリエ限界パルスを励起に用いた方がイオン化効率が良くなることを示している。これは、励起レーザーのバンド幅の不足を高強度イオン化レーザーによって誘起される励起状態の準位幅が補っていると説明している。  第３章では、（２）のチャープパルスを用いたミュオニウムのスピン偏極について述べている。時間幅の異なる３つのフーリエ限界パルスをチャープによって１ナノ秒パルスにまで引き延ばした場合、バンド幅もチャープレートも異なるチャープパルスとなるが、比較的長いサブナノ秒のパルスをチャープさせて１ナノ秒パルスにすると最も高いスピン偏極率が得られた。これは、１ナノ秒のパルスがミュオニウムと相互作用する間に pump－dump－pump－dump と 2 回ポンプされることによって偏極率が向上すると説明している。実際、パラメータを仮想的に変えて詳細な計算実験を行ったところ、この解釈が正しいことが確認できた。ナノ秒のチャープパルスを用いて高いスピン偏極度を実現したという研究例はなく、これが本論文の最大の業績である。       第４章では、（３）の磁気双極子を用いて基底状態のミュオニック原子をスピン偏極させるというスキームについて理論的考察を行っている。ミュオニック原子は、生成直後にそのほとんどが束縛エネルギーが 2keVもある基底状態に緩和する。可視レーザーを用いたスピン偏極が可能な 2ｓ状態にいるミュオニック原子はわずか１％であり、基底状態にいる 99％のミュオニック原子は 2keVの束縛エネルギーのため、簡単に光励起（Ｘ線励起）できない状態にある。そこで基底状態内の超微細準位間で光遷移を起こしてスピン偏極する事を考えるが、この遷移は双極子禁制であり、極めて遷移強度の弱い磁気双極子遷移を用いなければならない。ドップラー広がりが存在する状況下で、20ナノ秒、2ナノ秒、0.2ナノ秒の 3種類のパルスを仮定して、どの程度の光強度で励起すればどの程度の励起効率が得られるかを詳細に検討した。その結果、スピン偏極が目的であれば、励起スペクトル幅は広いものの 0.2ナノ秒のパルスが、そして、超微細準位のエネルギーを精密に測定することが目的であれば、励起スペクトル幅の狭い 2ナノ秒のパルスが適していることを示した。  第５章では結言と将来展望を述べている。  以上のように、本研究ではミュオニウムとミュオニック原子のレーザー誘起スピン偏極について詳細な理論的考察を行い、具体的なレーザーパラメータを示すことによってレーザー開発や偏極実験のベンチマークデータを示すことに成功している。                             （続紙 ２ ）                             （論文審査の結果の要旨）  本論文は、中間子の一種である正または負の電荷を持つミュオンを構成粒子とするエキゾチック原子をレーザー照射によってスピン偏極させる手法を理論的に論じた結果をまとめたものであり、得られた主な成果は次のとおりである。                                    （１）ドップラー広がりを持つミュオニウムを１光子共鳴２光子イオン化過程によってイオン化した時、イオン化レーザーの光強度が低い場合には励起レーザーにブロードバンドパルスを用いた方がイオン化効率が良く、イオン化レーザーの光強度が高い場合には、励起レーザーにバンド幅の狭いフーリエ限界パルス用いた方がイオン化効率が良いことを明らかにした。  （２）ミュオニウムをスピン偏極させるために適当なスペクトル幅を持つナノ秒のチャープパルスを用いるスキームを考案し、従来法に比べて高いスピン偏極度が得られることを示した。  （３）基底状態にあるミュオニック原子の超微細準位間遷移を中赤外レーザーで共鳴誘起した場合の励起効率について、ナノ秒パルスおよびサブナノ秒のパルスを用いた場合を比較検討し、超微細準位のエネルギーを精密に測定することが目的ならばナノ秒のパルスが、そしてスピン偏極させることが目的ならばサブナノ秒のパルスが適していることを明らかにした。  これらの知見は、いずれも、ミュオン関連のレーザー開発やスピン偏極実験、および基礎物理学実験に向けたベンチマークデータとして有用であるのみならず、偏極ミュオンビームを応用した各種物性測定の感度を向上させるうえでも重要な役割を果たすものである。 よって、本論文は博士（エネルギー科学）の学位論文として価値あるものと認める。また、平成３１年２月２２日実施した論文内容とそれに関連した試問の結果合格と認めた。  なお、本論文は、京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し、公表に際しては、当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める。      論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文の全文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 要旨公開可能日：     年   月   日以降  

ミュオンを構成粒子とするエキゾチック原子のレーザー誘起スピン偏極

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