京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第20275号医博第4234号新制||医||1021(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 横出 正之, 教授 小西 靖彦, 教授 山下 潤学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Nakao, Kazuhiro

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TitleENDOTHELIUM-DERIVED C-TYPE NATRIURETICPEPTIDE CONTRIBUTES TO BLOOD PRESSUREREGULATION BY MAINTAINING ENDOTHELIALINTEGRITY( Abstract_要旨 )Author(s)Nakao, KazuhiroCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2017-03-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20275Right許諾条件により本文は2017-09-01に公開Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（医 学） 氏 名 中 尾 一 泰 論文題目 ENDOTHELIUM-DERIVED C-TYPE NATRIURETIC PEPTIDE CONTRIBUTES TO BLOOD PRESSURE REGULATION BY MAINTAINING ENDOTHELIAL INTEGRITY (血管内皮由来C型ナトリウム利尿ペプチドは、内皮の統合性の維持を介して血圧調節に寄与する) （論文内容の要旨） C 型ナトリウム利尿ペプチド(C-type natriuretic peptide: CNP) は血管内皮細胞から分泌され、血管壁ナトリウム利尿ペプチド系を構成することにより、心血管疾患の病態形成に寄与することが示唆されてきた。一方、全身で CNP 遺伝子を欠損させたマウスは、成長板の内軟骨性骨化作用の障害により高度の低身長を呈するため、解析が困難で、血管系での生理学的、病態生理的意義は明らかにされていない。今回、CNP とその特異的なレセプターである、膜結合性グアニル酸シクラーゼ(GC-B)の血管における意義を検討するために、本研究を実施した。 CNP 遺伝子の全翻訳領域を lox-p 配列で挟んだ CNPflox/flox マウスを作製した。CNPflox/floxマウスと血管内皮で特異的に Cre リコンビナーゼを発現する Tie2- Creマウスを交配し、血管内皮細胞特異的 CNP ノックアウトマウス（CNP ecKO）を作製した。 CNP ecKO マウスは、全身の KO マウスで認めた著しい体躯の短縮は認めず、解析が可能であった。同マウスに頸動脈に挿入したテレメトリー血圧計で24 時間自由行動下に血圧測定したところ、コントロールマウスと比較し、CNP ecKO では収縮期血圧が明期、暗期とも有意に上昇していた。また、L-NAME の腹腔内投与による血圧上昇反応の検討をおこなったところ、CNP ecKO 群は対照群と比較し、有意に血圧上昇反応が大きかった。次に、抵抗血管である腸間膜動脈を用いて、内皮依存性血管拡張反応を測定したところ、CNP ecKO 群では対照群と比較し、有意な減弱を認めた。CNP ecKO 内皮依存性血管拡張反応の減弱は L-NAMEおよびインドメタシンによる前処置下でも認められた。  これらの解析結果より、内皮由来 CNP が血管平滑筋の GC-B に作用すると仮説を立て、血管平滑筋特異的 GC-B ノックアウトマウス(GC-B smcKO) を作成することとした。GC-B遺伝子の 3-7番目のエクソンを lox-p配列ではさんだGC-Bflox/floxマウスを作製し、血管平滑筋で特異的に Cre リコンビナーゼを発現する SM22-Creマウスと交配し、GC-B smcKO を作製した。同マウスで、表現型の検討と行ったところ、CNP ecKO マウスで認めた、血圧上昇や内皮依存性血管拡張反応の低下は認めなかった。一方、単離腸間膜動脈に対する CNP の反応は消失していた。これらの解析結果より、CNP は血管平滑筋の GC-B に作用するのではなく、血管内皮の受容体を介して作用している可能性が示唆されたため、CNP ecKO の肺から血管内皮細胞を単離し、血圧調整や血管内皮機能に関連する遺伝子群の発現を検討したところ、エンドセリン 1 およびアンギオテンシン変換酵素の遺伝子発現が増強していることが明らかになった。CNP ecKO マウスで、血漿エンドセリン濃度を測定したところ、コントロールマウスと比較し有意な上昇をみとめた。さらに、エンドセリン受容体阻害薬のボセンタン投与をおこなったところ、CNP ecKO マウスではコントロールと比較して、血圧の低下が大きかった。以上の結果より、マウスにおいて、血管内皮由来 CNP は血管内皮細胞の統合性の維持を介して、血圧調整に寄与しているものと考えられた。 （論文審査の結果の要旨） 本学位申請者は、Ｃ型ナトリウム利尿ペプチド（CNP）とその特異的受容体、膜結合性グアニル酸シクラーゼ（GC-B）の血管における意義を検討した。CNP遺伝子をlox-p配列で挟んだ CNPflox/floxマウスを作製し、これと血管内皮特異的 Creリコンビナーゼ発現マウス（Tie2-Cre）を交配して、血管内皮特異的CNPノックアウトマウス（CNP ecKO）を作製した。CNP ecKOは、著しい体躯の短縮が認められず、解析が可能であった。CNP ecKO の 24時間自由行動下血圧を測定したところ、明期、暗期とも収縮期血圧が有意に上昇していた。CNP ecKO の L-NAME の腹腔内投与による血圧上昇反応は有意に大きく、腸間膜動脈を用いて測定した CNP ecKOの内皮依存性血管拡張反応は有意な減弱を認めた。この減弱は、L-NAMEおよびインドメタシンによる前処置下でも認められた。血管平滑筋特異的 GC-Bノックアウトマウス（GC-B smcKO）を、GC−Bflox/floxマウスの作製とこれの平滑筋特異的 Creリコンビナーゼ発現マウス（SM22-Cre）との交配により作製したが、血圧上昇ならびに内皮依存性血管拡張反応は認められなかった。CNP ecKOでは、肺内皮細胞におけるエンドセリン１およびACEの遺伝子発現の増強と、血漿エンドセリン濃度の有意な上昇がみられた。エンドセリン受容体阻害薬（ボセンタン）投与で、CNP ecKOは対照マウスに比して血圧の低下が大きかった。これらの結果より、血管内皮由来CNP は、血管内皮細胞のエンドクラインシステムを含めた統合性の維持を介して血圧調整に寄与しているものと考えられた。 以上の研究は、CNP の血管系における生理学的、病態学的意義の解明に貢献し、循環器病学の発展に寄与するところが多い。したがって、本論分は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。なお、本学位授与申請者は、平成２９年２月２４日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。   

血管内皮由来C型ナトリウム利尿ペプチドは、内皮の統合性の維持を介して血圧調節に寄与する

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血管内皮由来C型ナトリウム利尿ペプチドは、内皮の統合性の維持を介して血圧調節に寄与する

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