京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第21255号医博第4373号新制||医||1029(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 長船 健二, 教授 柳田 素子, 教授 渡邊 直樹学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Sengiku, Atsushi

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Title Circadian coordination of ATP release in the urothelium viaconnexin43 hemichannels( Abstract_要旨 )Author(s)Sengiku, AtsushiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2018-05-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21255RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（  医 学  ） 氏 名 千 菊 敦 士 論文題目 Circadian coordination of ATP release in the urothelium via connexin43 hemichannels （尿路上皮はコネキシン４３ヘミチャネルを介し、ＡＴＰ放出の概日リズムを生じる） （論文内容の要旨） 哺乳類は安眠を保つために、睡眠時間帯には活動時間帯に比べ、膀胱に貯められる尿量（機能的膀胱容量）が増える生理機能を有する。様々な生理機能の日内差に概日時計が関与しているが、その機構は膀胱にも存在し、膀胱筋層におけるギャップ結合構成蛋白 Connexin43（Cx43）が概日時計の制御下に日内変動し、機能的膀胱容量の日内差に関与することが報告されている。しかし、この日内排尿リズムを形成する機序は未知な部分が多い。一方、膀胱粘膜（尿路上皮）は刺激に対してアデノシン三リン酸（ATP）等の尿意知覚に関与する神経伝達物質を放出する機能を有し、また Cx43 は ATP を細胞外へ放出するヘミチャネル機能を有すると神経細胞等で報告されている。これらの背景から、尿路上皮における概日時計が Cx43 の発現を制御し、ATP 放出量の日内差を生じることで、日内排尿リズムの形成に関与するという仮説を立て検証した。 まず、時計遺伝子 Per2 のプロモーター下にルシフェラーゼ遺伝子が挿入された Per2::luc マウスの尿路上皮は、体外培養下において約 24 時間周期で発光し、その周期性は概日時計機構を破綻させた Bmal1KO マウスで消失する結果を得た。次に、野生型マウスの尿路上皮を経時的に採取した実験において、時計遺伝子群のmRNA 量は日内変動を示し、Cx43 蛋白も活動時間帯である夜間に高発現する著明な日内変動を呈した。さらに、膀胱に一定内圧刺激を加えた後の膀胱内ATP濃度は、活動時間帯である夜間に高値を示す日内差を呈した。そして、これらの日内変動は全てBmal1 KOマウスで消失した。以上から、概日時計は尿路上皮にも存在し、Cx43の発現および尿路上皮から放出されるATP量の日内差を制御していると考えられた。 これらの結果を踏まえ、不死化ヒト尿路上皮細胞株を用い、in vitroでその機序を検討した。概日時計を同調した不死化ヒト尿路上皮細胞株を経時的に採取した実験において、時計遺伝子群のmRNAおよびCx43蛋白発現は概日リズムを呈し、細胞株に一定刺激を加えた際の培養液中ATP濃度に、Cx43蛋白の発現量に相関した変動がみられた。これらの変動はBMAL1の発現抑制株で消失し、in vivoと同様の結果であった。さらに、Cx43を過剰発現／発現抑制させた細胞株に一定刺激を加え、培養液中 ATP 濃度を測定すると、Cx43 過剰発現株では上昇、発現抑制株では低下した。また、同細胞株でギャップ結合能への影響をdye transfer testで評価した結果、Cx43発現抑制株でその機能が低下したことから、尿路上皮でもCx43ギャップ結合機能が存在すると考えられた。また、Cx43ヘミチャネル特異的阻害薬であるGAP19ペプチドの存在下で、dye transfer機能は低下せずにATP濃度が低下したことから、Cx43発現量のATP濃度への影響は、Cx43ギャップ結合ではなくヘミチャネルによるものと考えられた。最後に、Reporter assayで尿路上皮におけるCx43の制御機構を評価すると、Cx43は時計遺伝子Rev-erbαと転写因子Sp1の共存下で活性化され、Cx43は時計遺伝子の制御下にあると考えられた。 これらの結果から、尿路上皮は概日リズムを有し、Cx43を介して ATP放出量の日内変動を呈することで、尿意知覚などの情報伝達の日内変動に関与していることが示唆された。 以上の研究は、日内排尿リズムの機序の解明に貢献し、夜間頻尿などの排尿障害に対す る新たな治療法の開発に寄与すると思われる。   （論文審査の結果の要旨） 哺乳類は安眠を保つために、睡眠期に蓄尿量が増える生理機能を有するが、その機序は未知な部分が多い。様々な生理機能変動に関与する概日時計機構は膀胱にも存在し、筋層のギャップ結合構成蛋白 Connexin43（Cx43）の日内変動を形成すると報告されている。一方、Cx43 は神経細胞等でヘミチャネルを形成し、アデノシン三リン酸（ATP）等の神経伝達物質の放出経路となり、尿路上皮の放出する ATPは尿意知覚に関与することがわかってきた。これらの背景から、尿路上皮の概日時計機構が Cx43と ATPを介して尿意知覚の日内変動の形成に関与する可能性を検証した。  まず、マウスの尿路上皮を経時的に採取したところ、時計遺伝子、Cx43 蛋白の発現に日内差が存在した。また一定内圧刺激を与えたマウス膀胱内の ATP濃度は、Cx43発現量に相関した日内差を呈し、これらの日内変動は概日時計機構が破綻したマウスで消失した。ヒト尿路上皮細胞株を用いた培養実験においても、Cx43 発現量と ATP濃度は相関し Cx43 ヘミチャネル特異的阻害剤の存在下で ATP濃度は低下した。またレポーターアッセイでは、時計遺伝子 Rev-erbα よって Cx43 の転写が活性化された。これらの結果から尿路上皮は概日時計の制御下にCx43を介してATP放出量の日内差を生じ、尿意知覚の日内変動から、蓄尿量の昼夜差の形成に関与していることが示唆された。 以上の研究は、夜間頻尿や夜尿症などの排尿の昼夜差が崩れた疾患の機序解明・新規治療の開発に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。なお、本学位授与申請者は、平成 30 年 4 月 4 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。  要旨公表可能日    年   月   日 

尿路上皮はコネキシン４３ヘミチャネルを介し、ＡＴＰ放出の概日リズムを生じる

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尿路上皮はコネキシン４３ヘミチャネルを介し、ＡＴＰ放出の概日リズムを生じる

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