京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第20280号医博第4239号新制||医||1021(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 川口 義弥, 教授 羽賀 博典, 教授 坂井 義治学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Ogiso, Satoshi

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Title Efficient recellularisation of decellularised whole-liver graftsusing biliary tree and foetal hepatocytes( Abstract_要旨 )Author(s)Ogiso, SatoshiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2017-03-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20280Right許諾条件により本文は2017-04-21に公開Type Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（  医 学  ） 氏 名 小 木 曾 聡 論文題目 Efficient recellularisation of decellularised whole-liver grafts using biliary tree and foetal hepatocytes （胆管経路を利用した胎仔肝前駆細胞による脱細胞化肝臓グラフトの効率的な再細胞化） （論文内容の要旨） 【目的】近年、脱細胞化された肝臓骨格を鋳型とし、肝移植グラフトとして用いうる臓器の再生を目指したアプローチが報告され、注目を集めている。臓器再生に適した鋳型の獲得は本アプローチの実現へ向けた第一歩であるが、脱細胞化臓器骨格を再細胞化するにあたっての効率的なストラテジーの確立が課題となっている。そこで本研究では再細胞化方法の改良を目的とし、再細胞化過程における新たな細胞注入方法と細胞源に関して検討を行った。 【方法１】トリプシンおよび Triton-X100 の門脈還流により脱細胞化処理したラット肝臓に対して、成体マウス初代肝細胞を門脈経路もしくは胆管経路で注入・生着させて培養し、その分布を比較した。 【結果１】脱細胞化骨格の組織所見および残存 DNA 量測定により、細胞成分のほぼ完全な除去を証明するとともに、コラーゲン・グルコサアミノグリカン定量および肝内脈管の染色により、構造蛋白成分と門脈・動脈・胆管の温存を確認した。胆管から注入された肝細胞は、培養 60 時間後の組織所見にて 81.3%が肝実質腔へ移動し肝小葉全域への分布を示したのに対し、門脈から注入された細胞では 20.1%が実質腔へ移動し門脈域周囲を中心に分布した。このことから、肝実質腔へ細胞を分布させるには胆管経路が有利であることが判明した。 【方法２】次に、胎齢 14.5 日マウス胎仔肝細胞を脱細胞化肝臓組織および従来の培養皿にて培養し定量 PCR で比較した。さらに、脱細胞化肝臓に成熟肝細胞もしくは胎仔肝細胞を細胞源として胆管経路から再細胞化を行い、その組織構築と機能を比較した。 【結果２】脱細胞化肝臓組織で培養された胎仔肝細胞は、平面培養されたものに比較して、肝細胞マーカー（ALB、G6P、トランスフェリン）および胆管上皮細胞マーカー（CK19、GGT）の発現が上昇していた。胎仔肝細胞による再細胞化肝臓では、胎齢 14.5 日マウス肝には認められない、CYP3A4 や UGT1A1といった肝酵素の発現獲得や CK19 陽性細胞による脈管の構築が観察された。これらより、脱細胞化肝臓骨格での培養が、胎仔肝細胞の肝細胞および胆管上皮細胞への成熟化を促進することが示唆された。また、胎仔肝細胞を細胞源とする再細胞化肝臓では、成熟肝細胞を細胞源としたものに比べ、培養 2 日後のKi-67 陽性率と培養 7 日後の含有 DNA 率が有意に高かった。蛋白合成能の評価では、胎仔肝細胞を細胞源としたものは、ALB 累積合成量が有意に多く、Urea産生には差を認めなかった。 【結論】脱細胞化肝臓骨格の肝実質の再細胞化には胆管経路による再細胞化が効率的である。また、脱細胞化技術を用いた肝臓再生アプローチにおいて胎仔肝細胞は有効な細胞源であり、さらには今後の iPS 細胞由来肝前駆細胞の細胞源としての適性が示されたものと考えられる。 （論文審査の結果の要旨）  脱細胞化された肝臓骨格を基にした臓器再生研究において、臓器鋳型内へ細胞を生着させる（再細胞化）ための効率的なストラテジーは確立されていない。今回、申請者は、胆管経路を利用し肝前駆細胞を細胞源とした再細胞化方法について評価を行った。  脱細胞化ラット肝臓をマウス初代肝細胞により門脈経路と胆管経路で再細胞化し、肝小葉内における分布を検証した。また、マウス胎仔肝細胞を細胞源として、脱細胞化組織による培養の影響を解析するとともに、成熟肝細胞を用いた再細胞化肝臓グラフトと比較検討した。  胆管経路による再細胞化は、細胞の肝実質腔への分布率と分布領域を改善した。脱細胞化肝臓組織による培養は、胎仔肝細胞の肝細胞および胆管上皮細胞への成熟化を促進した。さらに、胎仔肝細胞を細胞源とする再細胞化肝臓は、成熟肝細胞を用いたものに比べ、より高いアルブミン合成能を示した。  以上より、胆管経路による細胞充填と肝前駆細胞の細胞源としての利用が、再細胞化肝臓グラフトの形態的、機能的な質の向上に寄与することが示唆された。 以上の研究は、脱細胞化肝臓骨格の再細胞化ストラテジーの改善方法を明らかにしたものであり、肝臓再生研究の発展に寄与するところが多い。   したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、平成 29年 2月 23日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

胆管経路を利用した胎仔肝前駆細胞による脱細胞化肝臓グラフトの効率的な再細胞化

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/225505/1/yigak04239.pdf

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