京都大学0048新制・論文博士理学博士乙第926号論理博第200号新制||理||83(附属図書館)1640UT51-51-L199(主査)教授 芦田 譲治, 教授 新家 浪雄, 教授 北村 四郎学位規則第5条第2項該当Kyoto UniversityDA

Uchida, Akira

Kyoto University Research Information Repository

Title On the nature of nonchromosomal gene in yeast( Abstract_要旨 )Author(s)Uchida, AkiraCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1967-03-23URL http://hdl.handle.net/2433/212201RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University氏学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件学位論文題 目【86】内 田 昭うち だ あきら理 学 博 士論 理 博 第 200号昭 和 42 年 3 月 23 日学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当Onthenatureofnonchromosomalgeneinyeast(酵母菌における核外遺伝子の性質について)(主 査)論文調査委員 教 授 芦 田 譲 治 教 授 新 家 浪 雄 教 授 北 村 四 郎論 文 内 容 の 要 旨酵母菌には, 正常なミトコンドリアを欠き, 呼吸能の欠損した変異株があるが, そのうち一には, 染色体遺伝子の変異にもとづくものと, 染色体以外の遺伝子の変異にもとづくものとがある｡ 従って, 酵母菌の呼吸系に関する遺伝情報の一部は, 染色体以外に存在する遺伝子に担われている筈であるO ミトコンドリア中に D N A が見られることは, この D N A が, その情報の担体であろうことを示唆する｡ しかし, 呼吸能に関する非染色体遺伝子が D N A であるかどうかは, 証明を要する｡ 本論文は, この証明に寄与 しようとしたものである｡非染色体遺伝子変異による呼吸欠損は, 紫外線によって高頻度に起こり, その作用波長は, 核酸の吸収に一致するから, 問題の遺伝子は, 核酸であろう｡ 従って, それが D N A であるか, R N A であるかが問題となる｡論文第1部は, 紫外線による変異誘起を主としたものである｡ 紫外線は, 染色体遺伝子にも変異を起こすが, これによる呼吸欠損は劣性変異であるから, 申請者は, 二倍体株を用いることにより, 生じた呼吸欠損変異を, 近似的に非染色体遺伝子の変異とみなすこととした｡ そして, これと比較すべき染色体遺伝子変異としては, 致死変異をみた｡種々の紫外線量による致死率と呼吸欠損誘起率は, それぞれ, 菌の生長期に従って変化するが, 両者の間の比は, 生長期に関係なく一定であった｡ このことは, 紫外線作用に関係のある分子状態 ･分子環境の, 生長に伴う総合的変化が, 両種の遺伝子の間で平行 していることを示す｡ しかし, 紫外線効果の暗回復率をみると, 致死に比 し, 呼吸欠損の回復率は小さい｡ これは, 非染色体遺伝子変異による呼吸欠損が高頻度に起こる事実を説明するとともに, 暗回復に関係する因子が, 両種遺伝子の問で異なることを示唆する｡菌をフルオロウラシルで処理してから紫外線照射すると, 致死率は増大するが, 呼吸欠損変異率はごく僅かしか増さない｡ この致死率の増大は, フルオロウラシル処理により, チミン不足となって暗回復が起-2471こりにくいためと考えられるが, 呼吸欠損変異は, 元来, 暗回復 しにくい状態にあるため, フルオロウラシルの影響も出にくいと理解される｡ 従って, 上記の結果は, 非染色体遺伝子が DNAであるか否かを明瞭にしない｡そこで第 2 部では, 核酸塩基アナログを用いて検討 した｡ しかし, チミンとチミジンのアナログであるプロモウラシルとプロモデオキシウリジンは, 単独に与えても, また紫外線照射と組合わせても, 生長,致死, および呼吸欠損誘起に影響を与えなかった｡ 従って, ウラシルのアナログであるフルオロウラシルのみを使うことになった｡ フルオロウラシルを培養液に加えると, 呼吸欠損細胞が高頻度に表われるが,これは, フルオロウラシルが, 正常細胞の生長を選択的に抑えるためでなく, 呼吸欠損変異を誘導するためであることをまず確かめた｡ また, 染色体遺伝子の突然変異率に対するフルオロウラシルの影響を, 倭性変異である銅耐性およびガラク トー ス利用能についてみたが, これらの誘起作用は, 呼吸欠損変異におけるより著 しく低かった｡フルオロウラシルによる呼吸欠損誘起作用は, ウラシルによってよく回復されるが, フルオロデオキシウリジンによる誘起作用は, ウラシルによって僅かしか回復されない｡ もしフルオロデオキシウリジンの誘起作用が, フルオロウラシルに分解 してRNAにくみこまれることによって起こるものとすれば, ウラシル添加によって回復されるはずである｡ 従って, フルオロウラシルの変異誘起は, これが細胞内でフル～オロデオキシウリジル酸となって, チミジル酸合成酵素を阻害することにより, DNA合成に支障を起こすことによるものであるという可能性が大きい｡以上要するに, 呼吸系形成の一部を支配する非染色体遺伝子は, 紫外線を用いた実験結果では, いずれとも断定 しかねるが, 核酸塩基アナログを用いた実験結果によれば, DNAと考えるのが妥当であるという結論を得た｡参考論文は, 紫外線贈射ファ- ジの感染 した大腸菌の合成する RNAを調べ, 後期蛋白質の為のメッセンジャー RNAについて検討 したものである｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨申請論文は, 呼吸系の一部を支配する核外 (非染色体) 遺伝子の本体 を知 るために, 呼吸欠損の誘起を, 染色体遺伝子における致死変異の誘起と比較検討 したもりである｡第 1 部の, 紫外線を用いた一群の実験では, 両種の遺伝子変異の問に差があったが, 非染色体遺伝子がDNAであるか否かについて昼, 結論を導 くに至っていない｡ 第2部の, 核酸塩基のアナログを使う実験では, 細菌で有効に利用 し得るアナログで, 酵母に対 しては効果のないものがあったため, 実験が制限をうけたが, ホモログとの組み合わせなどを種々試みることにより,.間接的にではあるが, 呼吸系形成の一部を支配する非染色体遺伝子が, DNAらしいことを推諭 した｡以上のように, 申請論文は, 明確な証明によって結論に達 したわけではないが, 酵母菌における, 紫外線と核酸塩基アナログの変異誘起現象を精 しく調べ, 種々の興味ある知 見を得たものであって, 酵母の核外遺伝子の研究に寄与するのみならず, 徴!生物変異の問題につき貢献するものである｡ よって, 理学博士の学位論文として価値があるものと認める｡- 2 4 8 -

コウボキンニオケルカクガイイデンシノセイシツニツイテ

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/212201/1/yrigr00200.pdf

コウボキンニオケルカクガイイデンシノセイシツニツイテ

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Kyoto University Research Information Repository