京都大学0048新制・論文博士理学博士論理博第81号新制||理||44(附属図書館)929(主査)教授 湯川 秀樹, 教授 小林 稔, 教授 林 忠四郎学位規則第5条第2項該当Kyoto UniversityDA

Uehara, Masayuki

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TitleComposite Particles and Vanishing Wave FunctionRenormalization Constants in S-matrix Theory( Abstract_要旨)Author(s)Uehara, MasayukiCitationKyoto University (京都大学)Issue Date1964-12-22URL http://hdl.handle.net/2433/211417RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University氏)学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の日付学位授与の要件学位論文題 目植 原 正うえ は ら まさ理 学 博L i i i鵬行卵士L g論 理 博 第 81 号昭 和 39 年 12 月 22 日学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当C om posite P articles and V anishing W ave F unctionR enorm ali2;ation C onstants in S･m atrix T heory(S-1行列理論に於ける複合粒子と零になる波動函数のくり込み常数)(主 査)論文調査 委員 教 授 湯 川 秀 樹 教 授 小 林 稔 教 授 林 忠四郎論 文 内 容 の 要 旨最近, 現実の素粒子はすべて相互に束縛状態をつくっているという模型を用いて, 素粒子の統一的な連関を探ろうとする試みがなされている｡ その際, そのような複合粒子をつくる機構の本質の問題は別としても, このような模型と従来の場の理論 (とくにくり込み理論) との関係が多くの人々によって調べられた｡ そして, 簡単な厳密に解き得る模型 (実質的には Lee の模型と同等なもの) について, その粒子が複合的であることと, 波動函数のくり込み定数 Z 3 が零になるという条件とが同等であることが証明された ｡著者の主論文は, この問題を再検討し, 一見極めて自然に思われる上述の同等性が一般には成立 しないことを指摘 しているものである｡ その際, 著者は核子と反核子の複合粒子 (S 状怨) としてのパイ中間子を模型として採用 し, まずパイ中間子 (スピン0粒子) の伝播函数に対する Lehm ann の表示から Z 3- 0の条件とスピノール粒子対 (核子- 反核子の複合状態)以外の中間状態を無視するという近似とを用いて,パイ中間子と核子問のくり込まれた結合定数 (g2) と両者の質量比 (K 2) との問に一つの関係式を求めている｡ 次に, 核子一反核子散乱に対 し分散理論 (N /D の方法) を適用 して, 散乱 S 波の極とその留数の方程式から上記のパイ中間子の模型に対応 した g2 と K 2 の関係を求めている｡ これら互いに独立に求めた二つのgBとK 2の問の関係式は明らかに同等でないことから, 上述の同等性の主張が一般的には成立 しないことが示されている｡ 同様な分析を非相対論的なポテンシャルによる散乱問題に適用 して, やはりこの場合にも Z 3- 0 の条件と, 複合粒子であるという条件とは, 一般には同等でないことを示 している｡ただし, 作用距離が零であるポテンシャル, すなわち Lee の模型に類する場合には, これら二つの条件が同等になることを導き, この場合が先に行なわれた同等性を主張する人たちの考察した場合に相当することが注意されている｡ さらに, 相対論的なポテンシャルの場合への拡張, 近似の改良についての吟味を行ない, この結論が一般的に成立するものであろうことが主張されている｡参考論文その 1 およびその 2 は, 核子の電磁的形状因子のアイソ ･ベクトル, アイソ ･スカラ二の部分- 131 -部分の具体的な計算としては最初のものである｡参考論文その3 は, 核子 ･超核子間のポテンシャルについての一般論で, この場合は核子- 核子のポテンシャルと異なって, 二つの反応分岐が最初から結合して存在 している｡ このような結合した反応分岐によって生じる共鳴準位の問題は実験によって発見された各種の超核子の共鳴準位の分析に際して重要になる｡ その準備として, 鎖近似という単純な模型を用いて共鳴準位の生じる種々の機構を分類 し, それらの相違を論じたのが参考論文その 4 である｡参考論文その5 は, その4 の分析の具体的な例として, 実験的に見出された超核子の共鳴準位 Y l*,Y o*, Y2* をとり上げ,これらを結合した分岐の機構による共鳴として説明することを試みたものである｡そして, そのような分析に基づいて, 超核子 ･中間子問の結合定数に対する制限条件が求められている｡この論文に用いられている方法は, 多数の分岐を通じて互いに複合状態をつくる機構に関連 しており, 主論文の主題への手がかりになっている｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨最近, 各種の素粒子はすべて相互に結合しあった複合状態になっているという, いわば ｢素粒子なき素粒子論｣ 的な考え方が問題になっている｡ このような考え方は, その理論的背景として種々の立場を含み得るが, 散乱行列だけを用いて素粒子の統一理論を定式化しようとする立場から特に強く支持されて いる｡ 一方, ラグランジァンから出発する従来の場の理論の立場では, 裸の粒子と着物を着た現実の粒子とをつなぐものとして, くり込みの操作がある｡ その際,くり込み定数 (特に波動函数のくり込み定数 Z 3)は裸の粒子を見出す確率として解釈されている｡ 従って, もし現実の粒子がすべて複合的で ある とすれば, Z 3- 0 という条件が満されていることが予想される｡ 厳密に解ける簡単な例 (実質的には接触作用による Lee の模型) について, 実際に波動函数のくり込み定数が零であるという条件とその粒子が複合粒子であることが同等であることが確かめられている｡散乱行列の理論の立場からは, 複合粒子の性格は散乱振幅の極の位置とその留数によって規定される0宮沢 ･菅原は散乱行列の理論に Z 3- 0 の条件を付け加えることによって, ある種の場合には, この種の複合粒子の規定を導く可能性のあることを指摘 した｡ この結果は単に上述の意味での同等性の証明に止まらず,､散乱行列における質量穀上の量とそれを外れた量との関係という一般的な問題への手がかりを与えるものである｡ さらに Rockm ore は相対論的な模型を例にとって, 質量穀上の量を基にするアプローチとそれを外れた量を基にするアプローチの同等性が一般に成立すると主張した｡著者は, Rockm ore の結果が彼の模型が実質的に Lee の模型と同じ構造のものになっていることに依存している点に注目し, それを拡張したパイ中間子の核子対模型をつかってこの問題の再検討を試みている｡ そして, パイ中間子の伝播函数 (場のグリー ン函数) と Z3- 0 の条件から, パイ中間子 ･核子問の結合定数 (g2) と質量比 (K 2) との問に一つの関係式を導いている｡ 次に, 散乱行列の立場から核子 ･反核子散乱を取り扱い, N /D の方法と分散理論を巧妙に駆使して, もうひとつの g3と K 2 の関係を導いている｡ このふたつの関係式が同等でないことから, Rockm oreの結論は一般的には成立しないという注目- 13 2 -すべき結果が得られている｡ さらに, ポテンシャルによる散乱の問題に全く同じやり方を適用して, その結果得られたふたつの関係式が一致するのは, 実は限られた模型, すなわちポテンシャルの作用距離が零の接触作用の場合だけであることを示 している｡ 従って, 従来の一致するという結論は L ee の模型に類するものについてである限り当然であることになる｡ しかし, ポテンシャルの作用距離が零でない場合にはこの一致は成立 しないことが分かる｡ 複合状態という描像には, むしろこの種の相互作用の方がふさわしいことを考えれば, 著者の得たこの結論は重要である｡ この結論の物理的解釈は, この論文では, まだ十分なされていないが, 将来の素粒子論の正 しい形式の発見のために考慮すべき貴重な手がかりを与えたものとして, この論文は素粒子論の発展に重要な貢献をしたと判断される｡以上の諸点にかんがみて, 著者のこの論文は理学博士の学位論文として, 十分価値があるものと認定する｡- 133 -

S-行列理論に於ける複合粒子と零になる波動函数のくり込み常数

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/211417/1/yrigr00081.pdf

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