京都大学0048新制・課程博士医学博士医博第42号新制||医||10(附属図書館)111京都大学大学院医学研究科外科系専攻(主査)教授 浅山 亮二, 教授 大谷 卓造, 教授 福田 正学位規則第5条第1項該当Kyoto UniversityDA

大塚, 勝彦

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Title実験的放射線白内障に於けるグルタチオンに関する研究(Abstract_要旨 )Author(s)大塚, 勝彦CitationKyoto University (京都大学)Issue Date1961-03-23URL http://hdl.handle.net/2433/210752RightType Thesis or DissertationTextversionnoneKyoto University)学 位 の 種 類学 位 記 番 号学位授与の目付学位授与の要件研 究 科 ･専 攻学 位 論 文題目⊂35 コ大 塚 勝 彦)おお つか かつ ひこ医 学 博 士医 博 第 42 号昭 和 36 年 3 月 23 日学 位 規 則 第 5 条 第 1 項 該 当医 学 研 究 科 外 科 系 専 攻実験的放射線白内障に於けるグルタチオンに関する研究(主 査)論 文調 査 委員 教 授 浅 山 亮 二 教 授 大 谷 卓 造 教 授 福 田 正論 文 内 容 の 要 旨水晶体のどとき無血管組織において透明度を保持するための代謝機構中, SH 基が最も重要な役割を占めている｡ なかんづく潜在性の SH 化合物である還元グルタチオン (GSH と略記) が, 種々の実験的白内障において早期に水晶体の GSH 減少をきたすことは既知の事実である｡ この際 GSH のどとき活性 SH基は白内障発現物質と考えられるキノイド物質を還元無毒化し防御的に働 くものと考えられる｡ X 線白内障におけるそれの消長については未知であるので, 本実験を試みた｡ 従来の GSH 定量法は構造の類似したものが多いために純粋測定が困難であるので, 比較的鋭敏な A lloxan tt305" の測定法を用いた｡ これによると正常家兎の水晶体の GSH 値は 330,5±5.1m g% , 房水では 1.75±0.34m g% , 硝子体では 1.25±0.32m g% で従来発表された測定値よりも相当低値である｡ 次にⅩ線 (中硬練) 1500γ を眼部に向って照射すると, ほぼ線量に応じて48時間後には水晶体および硝子体の GSH は減少し, 房水では著明に増加する｡今この事実を臨床所見と比較すると線量に応じて著明な水晶体の変化 (前後嚢下, 赤道部の空腔および皮質個淘) をきたした｡ これはおそらく水晶体では照射による直接の影響によって GSH の減少をきたし,また房水では血液房水柵透過性冗進による増量をきたしたものと思われる｡ 次にⅩ線障害に対 して防御効果を有する, Glutathione および 1-Cysteine のどとき SH 化合物, ならびに A m ino.Ethyliso.Thiuroniumおよび M ercapto.Ethyl.A m ine (Cysteam ine) のごとき SH 基を含んだアミン類投与後の GSH 消長を検索してその防御的機転を明らかにした｡ すなわち上記の薬物および対照として生食水を結膜下注射 (袷注と略記) または静注した後, Ⅹ線 1500γを照射し, その後の GSH 値を測定すると,少なくとも48時間後には水晶体および房水に変動が見られる｡ もっとも薬物投与量の多寡によることは当然考えられるが,一般に結注では防御効果は少なく, 静注が顕著な効果を収めることがわかった｡ すなわち薬物非負荷Ⅹ線照射群と比べて 1-Cysteine 2.0g および Glutathione 2.0g 静注により水晶体 GSH は増加し, また前者の場合ならびに Cysteam ine lOm g 結注により, 房水 GSH がさらに増量をきたし, 一方臨床所見において- 106-は水晶体潤濁の出現が遅延し, また停止であるかあるいは軽微にとどまった｡ 今, Glutathione はそのまま房水- 移行し, 1-Cysteine の場合においてほ, これが血液房水柵および房水内において GSH の合成にあずかる可能性が存する事実によって房水中 GSH が増加し, 一部は水晶体嚢を通 じて水晶体中に入り,GSH 減少に括抗して白内障出現に防御的に作用したと思われる｡ また Cysteam ine の結注により, 防水GSH の増量をきたす一方, 水晶体障害が防御されることは, これが房水内または毛様体等の SH 酵素を保護して GSH の保護, ならびに回復促進にあずかり, 白内障出現に対 して防御的に働いたものと思われる｡ 以上種々の SH 化合物を系統的に投与して, 眼組織における GSH の消長から水晶体障害に対する防御的機転を検索した｡論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨水晶体の還元型 Glutathion (GSH ) が白内障早期より減少することは既知であるが, Ⅹ線白内障におけるこの消長をまず検すると, 血液の GSH は変化なく, 水晶体, 硝子体 GSH はⅩ線量にほぼ応じて照射後48時間に減少を示 し, 房水においては増加することが判った｡ かつその減少程度と並行して水晶体のX 線障害 (前後嚢下, 赤道部の小海, 皮質個濁) の発現も著明であった｡ おそらく水晶体内でX 線の直接障害, すなわち Cysteine,Glutam ic acid よりの GSH 合成阻害が王因子であろう｡ また房水 GSH 増加は血液房水柵透過性冗進が主因子であろう｡ 次に生食水を対照とし, Ⅹ線障害に対 して防御効果を有するGlutathion, 1-Cysteine のごとき SH 化合物, A m ino-Ethyliso-Thiuronium ,M ercapto-Ethyl-A m ine のご●ときアミン類を投与すると, GSH 静注後房水, 水晶体 GSH 増量をきたすが, 他はしからず｡ 次に薬物投与後X 線を照射すると, 48時間後に トCysteine,GSH 静注群では水晶体 GSH は増し, 前二者およびM EA 結注群の房水 GSH は増し, 一方水晶体障害も軽微にとどまる｡ これは GSH は負荷後房水移行し,トCysteine は血液房水柵, 房水における GSH 酸化に対 して防御, 回復的に働き, GSH はさらに水晶体にはいって GSH 減少に括抗するものである｡ さらに M EA は房水, 毛様体の SH 酵素を保護 して GSHの保護, 回復にあずかるが, 結注群におけるX 線障害防御効果もこれによって説明し得る｡以上, 本論文は学術的に立派なものであって, 医学博士の学位論文として価値あるもの認定する｡〔主 論 文 公 表 誌〕第 1 , 2編 日本眼科学会雑誌 第64巻 (昭. 35) 第10号第 3 編 日本眼科学会雑誌 第65巻 (昭. 36) 第 3号第 4 , 5編 日本眼科学会雑誌 第65巻 (昭. 36) 第 7 号〔参 ･ 考 論 文〕1. メプロバメー ト (ミルタウン) の準備麻酔剤としての使用経験公表誌 日本眼科紀要 第 9 巻 (昭. 33) 第 4号2. 脳血管撮影による網膜動脈分枝栓塞の 2 例(三浦寛一と共著)公表誌 臨床眼科 第13巻 (昭. 34) 第 6 号3. 眼科に於けるメタゾロンの使用経験- 107-(三根 亨ほか 3名と共著)公表誌 臨床眼科 第13巻 (昭. 34) 第 9号4. 眼嵩炎性偽腫癌の 1例(高田英之と共著)公表誌 日本眼科紀要 第11巻 (昭. 35) 第 9号- 108-

実験的放射線白内障に於けるグルタチオンに関する研究

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/210752/1/yigak00042.pdf

実験的放射線白内障に於けるグルタチオンに関する研究

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