京都大学0048新制・論文博士博士(医学)乙第13000号論医博第2108号新制||医||1016(附属図書館)32928(主査)教授 森田 智視, 教授 武藤 学, 教授 中山 健夫学位規則第4条第2項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Maeda, Ryo

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TitleCirculating CD14+CD204+ Cells Predict PostoperativeRecurrence in　Non-Small-Cell Lung Cancer Patients(Abstract_要旨 )Author(s)Maeda, RyoCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2016-03-23URL https://doi.org/10.14989/doctor.r13000RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University京都大学 博士（  医学   ） 氏 名 前田 亮 論文題目 Circulating CD14+CD204+ Cells Predict Postoperative Recurrence in Non-Small-Cell Lung Cancer Patients (循環する CD14+CD204+細胞数は、非小細胞肺癌患者の術後再発を 予測する) （論文内容の要旨） 肺がんは我が国のがん死の第一位であり、年間約5万人以上が肺がんで 死亡している。肺がん検診や診断技術の進歩などにより、切除可能な早期の肺がん症例が増加してきているものの、肺がん術後の再発率は高く、また再発後の生存率は依然低い。肺がんの外科治療成績を向上させるためには、完全切除後の再発をいかに予防するかが課題となっている。最近では肺がん完全切除後の再発を抑制する目的で、体内に残存するがん細胞を標的とした白金製剤を中心とする術後補助化学療法が試され、一定の評価が得られているものの、その効果は十分と言えるものではない。 生体に増殖するがんは、がん細胞のみからなることはなく、多くは炎症細胞（単核球・マクロファージ・好中球・リンパ球など）、血管細胞（血管内皮細胞など）、線維芽細胞などの間質細胞とともに存在している。これまでに、がん細胞とがん細胞以外の間質細胞の相互作用が、がんの進展に大きく関わっていることが数多く報告されており、がん制圧に向けてはがん細胞のみならず、がん以外の間質細胞をも標的とした治療が重要であることが予想されている。    肺がん組織内における間質細胞において、その多くを占めるものに単球/マクロファージである。腫瘍内単球/マクロファージは、様々な炎症性サイトカイン、Matrix metalloproteinase、血管新生促進因子を産生し、腫瘍の進展に促進的に働くことが報告されている。がん進展に対して促進的に働く腫瘍随伴マクロファージに特異的に発現するとされている CD204に対する抗体で、病理病期 I期の肺腺癌の切除標本を免疫染色したところ、原発巣組織内の間質におけるCD204+細胞が多い肺腺癌において、術後の遠隔転移再発が多かった。さらに腫瘍内の血管内に、間質に存在すると考えられているCD204+細胞が多数存在していることを見出した。腫瘍内の血管へのがん細胞の浸潤は、がん細胞が腫瘍外へ血液を通して循環する兆候だと考えられ、実際、血管浸潤は術後遠隔転移再発を予測する因子であると考えられている。同様に腫瘍内の血管内にがん細胞と同様、CD204+細胞が存在することより、これまで原発巣でがんの進展に寄与すると考えられていた間質細胞が、原発巣から離れて全身を循環し、がんの遠隔転移に関与しているのではないかという仮説をたて検証を行った。 2009年 12月から 2010年 4 月の間に、肺がんにて切除された検体の腫瘍組織内における CD204+細胞の免疫染色を行なった。さらに、切除検体の流出血管である肺静脈(PV)から血液を採取し、単位量あたりに存在するCD14+CD204+細胞数を fluorescence activated cell sortingで計測したところ、腫瘍組織内のCD204+細胞数とPV内のCD14+CD204+細胞数が相関することが判明した。このことから、腫瘍組織内のCD204+細胞は、原発巣から離れて全身を循環する可能性が考えられた。 次に、CD14+CD204+細胞とCD14+CD204-細胞をヒト肺がん細胞株と共にSCIDマウスの尾静脈から尾静注し、肺転移数を計測したところ、CD14+CD204+細胞と共に尾静注したマウスでは、肺転移数が増加し、CD14+CD204+細胞はがん細胞の転移を促進させる可能性が示唆された。実際、切除検体のPV内のCD14+CD204+細胞数の多い症例は、術後有意に遠隔転移再発が多かった。 以上より、がん間質に存在するCD204+細胞は、原発巣から離れ体内を循環することで、転移先においてがん細胞の転移形成に寄与する可能性が示唆された。今後、CD204+細胞ががん細胞の転移を促進させる機序を解明することができれば、がん細胞のみならず、循環するがん間質細胞を標的とした術後治療を行うことで、肺がん術後の遠隔転移再発を抑制できる可能性があると考えられた。 （論文審査の結果の要旨） がん細胞と間質細胞の相互作用が、がんの進展に大きく関わっていると考えられている。がん進展に対して促進的に働く腫瘍随伴マクロファージに発現するとされているCD204に対する抗体で、病理病期 I期の肺腺癌の切除標本の免疫染色を行い、間質におけるCD204+細胞が多い症例において術後の遠隔転移再発が多いことから、CD204+細胞が、原発巣から離れて全身を循環し、がんの遠隔転移に関与しているのではないかという仮説をたて検証を行った。肺がんにて切除された検体の腫瘍組織内における CD204+細胞の免疫染色を行い、流出血管である肺静脈(PV)から血液を採取して CD14+CD204+細胞数を計測し、腫瘍組織内の CD204+細胞数と PV 内の CD14+CD204+細胞数が相関することを明らかにした。さらに、PV内の CD14+CD204+細胞数の多い症例では、術後有意に遠隔転移再発が多いことを示した。 結論として、がん間質に存在するCD204+細胞が、転移先においてがん細胞の転移形成に寄与する可能性を示した。今後循環するがん間質細胞を標的とした術後治療を行うことで、肺がん術後の遠隔転移再発を抑制できる可能性が示唆された。 以上の研究は、原発巣内の CD204+細胞と肺がん術後遠隔転移との関連を明らかにし、肺がん術後遠隔転移再発抑制に向けて新たな治療戦略を構築するにあたって寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成 28年 2月 8日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。  要旨公表可能日：     年   月   日 1 

循環するCD14+CD204+細胞数は、非小細胞肺癌患者の術後再発を予測する

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循環するCD14+CD204+細胞数は、非小細胞肺癌患者の術後再発を予測する

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