京都大学0048新制・課程博士博士(社会健康医学)甲第19275号社医博第66号新制||社医||9(附属図書館)32277京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(主査)教授 古川 壽亮, 教授 佐藤 俊哉, 教授 髙橋 良輔学位規則第4条第1項該当Doctor of Public HealthKyoto UniversityDFA

Huei-Ru, Lin

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TitleThe Effects of Dementia and Long-Term Care Services on theDeterioration of Care-needs Levels of the Elderly in Japan(Abstract_要旨 )Author(s)Huei-Ru, LinCitationKyoto University (京都大学)Issue Date2015-09-24URL http://dx.doi.org/10.14989/doctor.k19275RightType Thesis or DissertationTextversionETDKyoto University要旨公開可能日：      年   月   日 以降  京都大学 博士（社会健康医学） 氏 名 林 慧茹 論文題目 The Effects of Dementia and Long-Term Care Services on the Deterioration of Care-needs Levels of the Elderly in Japan （高齢者における認知症及び介護サービス利用状況と要介護度悪化との関連） 【背景】わが国では、超高齢社会が進展し、逼迫する財源の下で、医療と介護を統合的に再編することが政策目標となっている。医療・介護一体改革法案成立はその一例である。しかし、医療と介護のデータを統合した評価や研究はまだ稀である。2008 年から 2013 年の 5 年間で、要介護者認定者数は 467 万人から 561 万人へと 20％も増加した。要介護者に占める認知症で日常生活に支障のある高齢者の割合は、2010 年の 9.5％から 2025 年の 12.8％へと急増すると予測されている（2014、社会保障審議会）。要介護度の悪化は、医療的、社会的、財政的負担を増大させる恐れがあり、その要因の把握は益々重要になっている。 【目的】医療と介護のデータベースを連結させ、介護サービスを利用する高齢者において、認知症及び介護サービス種類と、要介護度悪化との関連を明らかにする。 【方法】2010 年 6 月から 2011 年 6 月の京都府における介護保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度レセプトデータベースを連結して用い、65 歳以上で要介護度 1 から 5 の介護保険利用者を対象とした（N=50,268）。要介護度悪化を目的変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行った。説明変数は、年齢、性別、観察開始時点の要介護度、介護サービスの種類（居宅、地域密着、施設）、ICD-10 コードで認知症の診断状況（病名なし、病名あり、期間中に新たに病名）とした。更に、同じ目的変数と説明変数を用い、要介護度別のモデルを構築した。 【結果】分析対象者に占める、75 歳以上の者の割合は 90%で、女性は 72％であった。要介護度悪化群の年齢は 85.6±7.3（平均±標準偏差）歳、要介護度維持または好転群は 83.9±7.4 歳であった。観察開始時点で、19％が認知症と診断されており、一年後には 32％に上昇した。新規認知症のうち、悪化者割合は41％であり、認知症なし群 29％と比して高かった。 要介護度悪化を目的変数として、各説明変数のオッズ比は、認知症あり 1.42（95％CI：1.35-1.49）、新たに認知症 1.70（1.61-1.80）、利用サービスでは、施設を基準として、居宅 0.631（0.60-0.66）、地域密着 0.628（0.55-0.72）、男性 1.47（1.41-1.54）、年齢では 65-69 歳を基準として、70-74 歳 1.06、75-79歳 1.21、80－84 歳 1.39、85-89 歳 1.63、90-94 歳 2.17、95 歳以上 3.04、観察開始時点の要介護度 1 を基準として、2 で 0.66、3 で 0.60、4 で 0.55、5 で 0.31であった（70－74 歳以外、いずれも P<0.05）。 要介護度の低い群ほど、認知症、または施設サービス利用と要介護度悪化との関連が大きくなった。 【考察】本研究では、65 歳以上の介護サービス利用者における、認知症の罹患状況や介護サービス利用状況と、要介護度悪化との関連を明らかにした。 認知症は要介護度悪化と強い関連があり、特に要介護度が低い群で強い関連があり、その関連の有無は診断の時期に依らなかった。また、要介護度が低い場合、施設入居していると、悪化しやすい傾向が見られた。これは、施設入所から在宅への移行を進める国レベルの政策と矛盾しないが、エビデンス確立のためには、さらなる研究が必要である。要介護度の違いと認知症診断の有無によって、要介護度悪化の関連因子が異なり、要介護度別と認知症有無別に、サービスの重点を調整することの重要性が示唆された。 【結論】医療と介護のデータを連結することにより、認知症、施設サービス利用、男性、高齢と、要介護度悪化との関連が明らかとなった。観察開始時点で要介護度が低いほど、認知症と要介護度悪化との関連が大きい。また、要介護度が低いほど、居宅サービスと地域密着サービスより、施設サービスの利用が要介護度悪化により強く関連した。要介護度別に要介護度悪化の関連要因を鑑み、患者特性に応じて長期療養・介護に関する政策を検討する必要がある。   （論文審査の結果の要旨） 日本は超高齢社会であり、高齢化に伴う医療・介護ニーズに関する問題は喫緊の課題である。その中で要介護度悪化の要因を把握することによって、より効果的なサービス提供制度を再構築することが可能となる。本研究は、医療と介護のデータベースを連結させ、高齢者において、認知症を含む、患者特性と要介護度悪化との関連を明らかにすることを目的とする。 本研究は 2010 年 6 月と 2011 年 6 月の京都府における介護保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度レセプトデータベースを連結して用い、65 歳以上で要介護度 1 から 5 の介護保険利用者を対象とした（N=50,268）。2010 年 6 月時点の被保険者の多変数を用いて、要介護度悪化を目的変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行った。 その結果、認知症、施設サービス利用、男性、高齢が、要介護度悪化と関連することが明らかとなった。また、要介護度の違いと認知症診断の有無によって、要介護度悪化の関連因子が異なり、要介護度別と認知症有無別に、サービスの重点を調整することの重要性が示唆された。要介護度別に要介護度悪化の関連要因を鑑み、患者特性に応じて長期療養・介護に関する政策を検討する必要がある。 以上の研究は要介護度悪化の要因の解明に貢献し、今後の医療・介護制度の政策や提供体制の再構築に寄与するところが大きい。   したがって、本論文は博士（ 社会健康医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、平成 27 年 5 月 28 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降   

高齢者における認知症及び介護サービス利用状況と要介護度悪化との関連

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/202678/1/ysyak00066.pdf

高齢者における認知症及び介護サービス利用状況と要介護度悪化との関連

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