太陽光に含まれる長波長紫外線による遺伝子損傷とヒト細胞における修復

Abstract

金沢大学薬学部我々のこれまでの研究から、260nm以上の各種波長の紫外線(UV)によりシクロブタン型チミン二量体と(6-4)光産物の生成動態は、ほぼDNAの吸収に一致していることが示された。ところが、1992年初夏に、DNAに太陽光を照射する実験を行なったところ、チミン二量体は生成されたものの、(6-4)光産物を生成されなかった。ジヌクレオチドへの長波長UVの照射が、(6-4)光産物をDewar型光産物に光異性化することをTaylor等が1988年に報告したので、我々はDNA中の(6-4)光産物が太陽光によってDewar型光産物に変換されたため、(6-4)光産物が検出されなかったとの仮説を立てた。その実証のためにDewar型光産物を認識検出するモノクローナル抗体の樹立を行なった。常法により樹立された抗体は、254nmUV照射DNAには結合せず、254+320nmUVを照射したDNAに結合したことから、Dewar型光産物を唯一の抗原として認識していることが判明し、DEM-1抗体と命名された。あらかじめ短波長UVを照射してチミン二量体と(6-4)光産物を生成させたDNAに太陽光を照射すると、(6-4)光産物は照射時間に依存して減少するが、その一方で太陽光照射DNAに対するDEM-1抗体の結合性は上昇した。即ちDewar型光産物が太陽光照射によってDNA中に生成したことを明らかにした。また、太陽光をDNAに照射する際に、(6-4)光産物を認識する64M-2抗体を添加しておくと、DNA中には(6-4)光産物が畜積する一方で、Dewae型光産物は検出されなかった。このことは、添加した64M-2抗体が太陽光UVによって生成した(6-4)光産物に結合し、その光異性化を妨げていることが分かった。ヒト細胞に長波長UV(Westinghouse社Sun lamp,UVB線源)を照射したところ、線量依存的にDewar光産物が細胞内DNAに生成していることをDEM-1抗体を用いて確認出来た。研究課題/領域番号:04202222, 研究期間(年度):1992出典:研究課題「太陽光に含まれる長波長紫外線による遺伝子損傷とヒト細胞における修復」課題番号04202222(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04202222/)を加工して作

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