石井 秀和

博士学位論文の要旨及び審査結果の要旨 (Summary of Thesis(DR))othe

石井, 秀和

Tohoku University Repository (TOUR) / 東北大学機関リポジトリ

紫外光吸収を利用した小型・高精度ガス濃度計に関する研究著者 石井 秀和号 63学位授与機関 Tohoku University学位授与番号 工博第5661号URL http://hdl.handle.net/10097/00127659           いし い ひで かず 氏 名         EA 石 井 秀 和 A授 与 学 位         EA 博士（工学） A学位授与年月日         EA 平成３1年３月２７日 学位授与の根拠法規 学位規則第４条第１項 研究科，専攻の名称 東北大学大学院工学研究科（博士課程）技術社会システム専攻 A学 位 論 文 題 目         EA 紫外光吸収を利用した小型・高精度ガス濃度計に関する研究 指 導 教 員 東北大学教授 須川 成利 A論 文 審 査 委 員         EA 主査 東北大学教授 須川 成利 東北大学教授 長平 彰夫              東北大学教授 中村 健二 東北大学教授 寺本 章伸              東北大学准教授 黒田 理人 A論 文 内 容 要 旨         E 半導体，パワーデバイス，LED，ディスプレイ等,次世代の電子デバイス製造プロセスにおいては，電子デバイスの高性能化や高機能化のため，継続的に新規材料・エッチングガスの導入，プロセス技術開発が進められている．特に近年は，デバイス微細化のため使用されているALD(Atomic Layer Deposition)やALE(Atomic Layer Etching)プロセスにいては，ガスの吸着特性を利用し，成膜あるいはエッチングしている．しかしこれらのプレオセスにおいて、ガス濃度と吸着量は密接に相関性があるにもかかわらず供給ガスの濃度制御は行われていない．また，ガスの流量制御技術は研究から実用化が盛んにされているが，濃度制御技術は，一部を除き実プロセスのリアルタイム濃度制御技術には導入されていない．現在，小型のガス濃度計として超音波方式や近赤外あるいは中赤外光領域の吸光度測定により実用化されているが，対象ガス種や精度，応答性，大きさ等の制約により使用用途は限定されてきた．本論文は，こうした背景を鑑み，一種類のガス濃度計で，多種多様な測定ガス濃度測定が可能で，更に小型で高精度のガス濃度計を実現することを目的とし，紫外吸収方式のガス濃度計技術の考案，作製，実ガスにおける評価結果，適応範囲をまとめた． 第 1 章では序論として，本研究を始めるに至った背景，先行研究について述べた後に，検出回路として高感度化のためにチャージアンプ回路を使用し，分散型分光器を使用する必要の無い 2 波長の LED 光を時間的に分けて照射するタイム・シェアリング法を導入，可燃性・支燃性ガスに対応したクリーンスペックのガスセル作製が必須であるという本研究の目的を示した． 第2章では，小型・高精度ガス濃度計を実現するため検出回路としてチャージアンプ回路を使用，測定用LED2波長を時間的に分けて照射し，吸光度の違いを濃度換算するタイム・シェアリング法を導入した回路を作製し，信号ノイズ比は，12.2ppm(1σ),応答性は，400msec 以下と非常に高速応答性を実現した．図 1 に検出回路の比較図を示す．一般的に使用されている光照射時の光電流を，抵抗で電圧変換するトランスインピーダンスアンプにおいては，低ノイズ化のため容量Cを大きくすると，周波数帯域が小さくなり高速に測定できない．また出力－ 613 －電圧もチャージアンプと比較すると小さく，ノイズ低減のためには，積算回数を増やす必要があるが，S/Nが大きい状態で積算回数を増やすことになる．チャージアンプ検出回路においては，光電流をコンデンサーで積算し，その電流平均化効果により，Cを大きくすることができる検出回路である．積分時間は必要であるが，測定回数を多くとるよりも優位性がある．また，光照射時の吸光度差を濃度換算するために，大型ランプ光源を使用せず，深紫外 LED を使用した．測定対象ガスに対して吸収がある波長(λ255nm)と吸収がないリファレンス波長(λ360nm)の光を交互に照射するタイム・シェアリング法を使用している(図 2)．この方式の利点は，小型のインライン濃度計を実現するために，分光用プリズムや回折格子を用いることなく，吸光度差を測定できることである，これらの検出回路系や測定手法を使用していたとしても，先行研究と比較し非常に高速な応答性が可能となった．更に，測定対象ガスとして，可燃性・支燃性ガスの計測、また電子デバイス製造時のクリーンスペックを実現したSUS316L製のガスセルを作製した．深紫外光の透過測定用の窓材として，化学的に安定なサファイア tintTimeGas Concentration ΔVVouttintReset Switch ΔV= (i360nm - i255nm)・tintCLED2 (255nm)LED1 (360nm)ΔVSW1SW2Low concentration caseHigh concentration caseResetC SW2SW1C2C1VoutPDADCOutput(DN)LED255nmLED360nm測定対象ガスLED255nmLED360nmPD+チャージアンプ回路差動回路出力（PCに取り込み）(b)(a)iPCV=iP・RR: ～数MΩhνPD-+VoutC:～数pFip:～10nAV:～数10mViPC:数100pFt:積分時間:～数10msecV=iP・tChνPD-+VoutV:～10Vip:～10nA－ 614 －を使用し，ステンレスとサファイアとを圧力のみで圧接している．パーティクル発生要因やコンタミ要因となるろう材やオーリング，接着剤を使用せずとも非常に気密性が優れ，170℃と室温のヒートサイクルでもリークしない接合となっている．これらの検出回路、光学系、ガスセル・制御回路系をユニットとしてまとめた構成図、外観図を図3に示す．接続は，メタルガスケットシール方式の継手を実現しており，その面間は124mmと非常に小型なユニットを作製できた．インライン濃度計として問題無いサイズでガス系内やチャンバー直近のガス導入ポートに据え付け可能である．また，深紫外 LED の環境温度に対する光量変動が，ガス濃度測定に及ぼす影響を排除するために光量補正を検討した．光を分配しリファレンス光量測定用のPDにて光量測定と，濃度計出力との補正をソフトウェア上で処理し，リアルタイムのLED光量補正を実現した． 第3章では，電子デバイス製造プロセスにおける代表的金属有機物・塩化物系ガスを10種類の評価結果をまとめた．測定対象ガスとそれぞれの最小検出感度を表3に示す．トリメチルアルミニウム(TMAl)以外の9種類においては，最小検出感度は，ppb から ppm オーダーで，供給濃度±1.0%の濃度検出は問題無いことを明らかにした．TMAlは，最小検出感度100ppm以下を目標とし，検出感度向上のためLEDの短波長化と温度特性より吸光度変化が生じる物性について明らかにした．新たに 140℃まで加熱可能な濃度計ユニット構造を見出し，TMAl加熱による二量体から単量体への遷移を生じさせ感度向上が可能なことを明らかにした． 第 4 章では，長期信頼性に対する評価として，深紫外光照射時の光分解と，窓材に使用しているサファイアへのガス吸着特性を定量的に明らかにした．光分解については，評価手法として光照射時の赤外スペクトル測定図 3 (a)濃度計ユニット構成概略図，(b)外観写真     Optical fiberGas cell unit (SUS316L)Gas flow path/Optical pathGas IN Gas OUTSapphirePhotodiode and Charge Amplifier CircuitPCBCPUElectrical cableDisplayPCCollimatorLEDλ360nmλ255nmPowersupplyL124mm Gas OutGas In(b)(a)－ 615 －により分解が生じているかの判断を行った．評価対象ガスについては，濃度測定に使用している光量程度(数100pW)では，明らかは光化学反応に伴う分解物がサファイア窓に堆積していることは発生していなかった．また，ガス吸着については，評価対象ガスにおいては，サファイア表面への物理吸着が主であるが，ガスセル内の測定対象ガス数と吸着分子数を比較した．簡単なモデル計算を行い，検出精度に影響を及ぼす事を示し，原理的に排除できないので初期光量補正により対応できることを明らかにした． 第 5 章では，濃度計ユニットとしての用途適応例を示した．電子デバイス製造プロセスにおける有機金属・金属塩化物ガスの濃度制御，過酸化水素ガス供給プロセス，アミン系有機金属ガスの不純物モニターに小型・高精度の濃度計ユニットを適応し，プロセスコントロールについて示した．チャンバー内ガスモニターについては，高感度・高速応答といった特性より，減圧チャンバー内のリアルタイム濃度計測について示した．最後の有機溶媒モニターは，ガス濃度以外の液体の濃度モニターとして TOC 濃度計に変わりうることを示し，廃液処理時の有機溶媒モニターとして適応できることを示した． 第6章は，結論である． 本論文を通して，チャージアンプ検出回路とタイム・シェアリング手法を適応した小型かつ高精度のガス濃度計の回路，要素技術を明らかにし，ユニットとして完成させ，電子デバイス製造プロセスに使用する代表的なガスに対して高精度・高精度の濃度計測が可能であることを示した． 測定対象ガス 測定可能濃度（5σ）トリメチルガリウム(TMGa) 5.68ppm～トリメチルインジウム(TMIn) 1.04ppm～トリメチルアルミニウム(TMAl) 1135ppm～【室温タイプ濃度計】62.7ppm～【加温タイプ濃度計140℃】ジメチルジンク(DMZn) 153ppm～ジエチルジンク(DEZn) 0.923ppm～ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg) 5.09ppm～四塩化チタン（TiCl4） 0.272ppm～TEMAZ：Zr(NEtMe)4 0.095ppm～ZAC：ZrCp(NMe2)3 0.141ppm～TEMAH：Hf(NEtMe)4 0.080ppm～表 1 測定対象ガス最小検出感度一覧(光路長:50mm，ガスセル圧力:760Torr) － 616 －－ 617 －

紫外光吸収を利用した小型・高精度ガス濃度計に関する研究

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紫外光吸収を利用した小型・高精度ガス濃度計に関する研究

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