Shoko Nishihara

西原 祥子

西原, 祥子

Nishihara, Shoko

Soka University Repository / 創価大学機関リポジトリ

1　糖鎖は、DNA、タンパク質に次ぐ第３の生命鎖とされており、発生、感染や免疫、神経等の様 な々生命現象に関与している。翻訳されたタンパク質の多くが、様 な々糖鎖の付加を受け、実際に私達の身体で働く形となる。糖鎖はタンパク質の働きに多様性を付与して、いろいろな生体反応の場でタンパク質を働き易くしている。一方、細胞膜にある脂質の一部も、様々な糖鎖の付加を受けている。この様に、糖鎖は、タンパク質や脂質に付加され、種々の細胞の表面や間質など広く身体に分布して、多様な生命反応に深く関わっている。しかし、構造や生合成過程が複雑なため、ゲノム研究と比較して解析が困難で、多くの重要な生命現象における糖鎖の働きが十分に明らかにされていない現状がある。　現在、様 な々実験データの蓄積によるビッグデータが注目されており、それを活用するデータサイエンス、統計学や数理科学が重要となってきている。このようなデータサイエンス、統計学、数理科学を糖鎖科学に導入することにより、飛躍的な成果が期待される。我々は、糖鎖生物学(糖鎖が関わる生物学)と糖鎖情報学（糖鎖に関わる情報学）を融合し、生命科学からの本質的な問いに答えようと、2019年4月に、糖鎖生物学と糖鎖情報学、そして生命科学を融合した「糖鎖生命システム融合センター」を設立した。さらに、2021年1月に、データサイエンスや数理科学、統計学、生命科学などの新たなメンバーの拡充を行い、「糖鎖生命システム融合研究所」へと改組し、2021年10月に文部科学省から共同利用・共同研究拠点として認定された。名古屋大学・岐阜大学 糖鎖生命コア研究所、自然科学研究機構 生命創成探究センターとともに、「糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点」を形成している。　この度、本研究所所報の初刊を刊行するに至った。今日、「糖鎖の重要性」は、日本のみならず多くの国で認識されている。糖鎖はあらゆる生命現象に関わっており、それ故、その応用は、がんや遺伝性疾患、生活習慣病などの疾病はもちろん、生物学・農学・医学のあらゆる領域に及ぶ。今後も、糖鎖が関わる生命現象の本質の理解を目指して、我々が作り出す新規融合領域とその研究を一層推進していきたいと考えている。創価大学糖鎖生命システム融合研究所所長　西原 祥子巻　　頭　　言「創価大学 糖鎖生命システム融合研究所 所報 初刊」の刊行にあたって

巻頭言

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