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カタルーニャ分離主義による危機 : スペイン立憲民主政への挑戦(二〇一二─二〇一六年)
Authors
Josep Maria Castellà Andreu
Publication date
28 April 2017
Publisher
法学新報編集委員会
Abstract
二〇一二年九月、バルセロナで起きた大デモンストレーションは、その後のカタルーニャにおける分離独立運動の先駆けとなるものであった。その直接的原因となったのは、二〇〇六年に制定された同州の新自治憲章の一部に対して、憲法裁判所が違憲判決を下したことであった。二〇一〇年のこの判決に加えて、時のM・ラホイ国民党政府がカタルーニャの要求する税制特別措置に関する交渉を拒否するに及んで、カタルーニャの分離独立運動に拍車がかかった。 具体的には、先の大デモンストレーション以後、カタルーニャ州議会はいくつかの重要な決議を可決させ、独立への動きを強めたのである。それはまず「決定権」という新しい法的概念に体現され、カタルーニャ州民の主権を表わすものであるとされた。スペイン政府はこれに対抗して、憲法裁判所に違憲審査の訴えを起こしたが、カタルーニャでは二〇一五年一一月に、共和国としての独立を達成すべく実際の行動に移ることが宣言され、最後に二〇一六年一〇月、カタルーニャ州議会は独立の是非を問う住民投票の実施を決議した。これらの決議は憲法裁判所によって全て違憲とされたが、カタルーニャ州政府と中央政府との間の紛争は止まず、解決への糸口を見いだせないのが現状である
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