YAMAMOTO Ryosuke

東京都立大学博士（理学）thesi

ヤマモト, リョウスケ

30777

山本, 遼介

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YAMAMOTO, Ryosuke

Tokyo Metropolitan University Institutional Repository Miyako-Dori / 首都大学東京機関リポジトリ

  氏 名  山本 遼介 所     属  都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 地理環境科学域 学 位 の 種 類   博士（理学） 学 位 記 番 号   都市環境博 第 326 号 学位授与の日付  令和 4 年 3 月 25 日 課程・論文の別  学位規則第４条第１項該当 学位論文題名   A geographical information study on observation and analysis methods suitable for capturing urban and watershed vegetation: Possibilities of 360-degree images, ultra high resolution images by UAVs and object-based image analysis （都市および流域の植生把握に適した観測および解析手法に関する 地理情報学的研究 －UAV による超高解像度画像や 360 度画像 およびオブジェクトベース解析手法の可能性－） 論文審査委員   主査 教 授 松山 洋    委員 教 授 若林 芳樹    委員 教 授 川東 正幸   【論文の内容の要旨】 （ 学位論文要旨 ）  本研究は、都市・流域計画におけるリモートセンシングの活用と、環境負荷の低減の観点から、UAV による超高解像度画像や 360 度画像およびオブジェクトベース解析などの新しいデータと解析手法を用いた植生の把握における空間解像度と植生の判別精度を明らかにすることを目的とした。 植生の把握は重要な課題であり、日本においては、植生の水循環機能を考慮した都市計画および流域計画の策定のため、地域スケールの植生把握が必要とされている。一方で、植生のリモートセンシング技術に関しては、UAV の発展やセンサーの性能向上などにより、データの解像度が非常に高くなり、データ量が爆発的に増加している。高解像度画像は、対象物の断片的な抽出（微小領域）による精度低下の問題や、大量のデータの解析・保存に多量の資源消費を要し、環境負荷を増大させている。ゆえに、過剰に高い解像度や大量のデータを取得するのではなく、目的に応じた適切なデータの取得および解析が重要である。また、航空写真や UAV による上空からの計測では、高密度な市街地における植生の把握は難しい。本研究は以上のような問題点を第 1 章で指摘した上で、高解像度画像の解析に有効とされるオブジェクトベース手法の検証（第 2 章）、車載型の地理情報取得システム（MMS）を活用した植生把握の検討（第 3 章）、空間解像度と植生判別精度の関係の分析（第 4 章）を行った。  第 2 章では、自治体の植生調査などで利用される高解像度の航空写真を用いて、ピクセルベース手法とオブジェクトベース手法を比較した。東京都世田谷区を対象地とし、1 ㎡規模の植生把握のための土地被覆分類を行った。その結果、オブジェクトベース分類の全体精度は、ピクセルベース分類よりも約 6〜20 ポイント（％）高かった。また、空間的自 注意   ・和文：２０００字程度 英文：８００語、１２ポイントで記載 ・題名が英文の場合は英題（和題）とすること 己相関指標の Join 統計量を計算した結果、オブジェクトベース分類はより強い集積傾向を示し、微小領域の発生が少ないことが定量的に示された。さらに、分類結果から算出した緑被率は、オブジェクトベース手法の方が自治体による調査に近い値が得られた。以上の結果から、高解像度の航空写真を用いて 1 ㎡規模の植生把握を行う場合に、オブジェクトベース手法は有効であることが明らかになった。  第 3 章では、MMS による 360 度画像、3 次元復元技術、およびオブジェクトベース解析を活用した街路樹の把握手法を検討した。東京都杉並区を対象地とし、MMS（IP-S2 Lite、株式会社トプコン）により道路上を走行しデータを取得した。その後、画像から 3 次元位置情報を計算し、107 本の街路樹を対象として、樹高および胸高直径を測定した。また、オブジェクトベース解析により 360 度画像の緑視率（画像内に占める緑地の割合）を計算した。樹高・胸高直径を実踏調査と比較した結果、平方根平均 2 乗誤差は、樹高が 1.07m、胸高直径が 0.033m であった。樹高は、樹冠が天空を覆っている場合には過小評価の傾向が見られることが分かった。360 度画像から算出した緑視率は、樹高、胸高直径、航空写真による正規化植生指数および緑被率との間に正の相関が見られた。すなわち、本研究で提案した指標は緑の量を表す指標として利用でき、およその樹高・胸高直径を推定できる可能性が示唆された。 第 4 章では、画像の空間解像度による樹木の判別精度の変化を分析した。熊本県阿蘇のスギ林および山梨県八ヶ岳のカラマツ林を対象に、UAV によって撮影したステレオペア画像から、解像度 0.9～100cm/pixel の DSM およびオルソモザイク画像を生成し、樹冠の抽出、教師付き分類、画像の空間的自己相関の 3 つの観点から結果を比較した。樹冠の抽出では、5～10cm/pixel の結果が検証データに最も近かった。これは、枝や葉など樹冠内の微小な凹凸の影響が除かれる解像度に対応していた。教師付き分類では、10～80cm/pixel の結果が、元の解像度の結果より分類精度が高かった。これは、樹木間の影がピュアピクセルとなる解像度に対応していると考えられた。3 次元復元処理に要する処理時間は、10cm/pixel で元の解像度の 1/20～1/300 未満に減少した。画像から空間的自己相関指標のバリオグラムを求めた結果、ナゲット、レンジ、シルという典型的な指標が見られた。ナゲットは観測値の微小な変動、レンジは樹冠サイズ、シルは樹冠とギャップの明度差を代表する指標となり得ることが示唆された。シルは樹冠とギャップによる明度差の最大値であり、それぞれがピュアピクセルとなる解像度が樹冠の判別に重要であることが示唆された。以上の結果から、樹木の把握には 5～10cm/pixel、森林のおよその構造の把握には 10～50cm/pixel 程度の解像度であれば、十分な判別精度で植生が把握できる可能性が示された。 以上の研究成果は、都市・流域計画において、オブジェクトベース解析による小規模な植生の把握、MMS や 360 度画像による密集市街地の植生把握、UAV の効率的な運用や航空写真の活用によるコストや環境負荷の低減など、植生の効率的な把握に役立つと期待される。社会実装に向けて、様々な種類の植生やデータおよび解析手法に対して、本研究の手法の適用と検証が求められる。 

A geographical information study on observation and analysis methods suitable for capturing urban and watershed vegetation : Possibilities of 360-degree images, ultra high resolution images by UAVs and object-based image analysis

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都市および流域の植生把握に適した観測および解析手法に関する地理情報学的研究 : UAVによる超高解像度画像や360度画像およびオブジェクトベース解析手法の可能性

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