外来化学療法を受けているがん患者の就労状況の違いによるストレスとコーピング

Abstract

社会医療法人愛仁会高槻病院京都府立医科大学大学院保健看護学研究科京都府立医科大学附属病院看護部Takatsuki General HospitalGraduate School of Nursing for Health Care Science, Kyoto Prefectural University of MedicineDepartment of Nursing, Kyoto Prefectural University of Medicine Hospital本研究の目的は外来化学療法中のがん患者が抱くストレスとそのコーピングの就労状況による違いを明らかにすることである。研究方法はがんと診断されて3か月経過した外来化学療法を受けている20~64歳のがん患者116名を対象に質問紙調査を行った。有効回答が得られた110名(有効回答率:94%)を分析対象とした。がん患者の平均年齢±SDは54.8±7.6歳であり、男性42.7%、既婚者が80.0%、同居家族がいる患者は87.3%であった。現在就労中は49.1%であり、休職中は19.1%、未就労は31.8%であった。がん患者のストレスを示す気がかり評定尺度(CCRS)の合計得点の平均値では、就労中30.39±7.30、休職中34.76±8.12、未就労34.94±10.31 で有意差(p<0.05)が認められた。多重比較では、未就労は就労中と比べて有意に高かった。CCRSの下位尺度では、日常生活の再構成の項目で休職中が就労中に比べて有意に(p < 0.05)高かった。下位尺度の自己存在では未就労が就労中に比べて有意に(p<0.01)高かった。就労状況別のコーピングを示すがんに対する心理適応評価尺度(MAC)の下位尺度の絶望的な態度の項目では未就労が就労中に比べて有意に(p < 0.01)高かった。以上のことから、休職中のがん患者はストレスが高く、日常生活の再構成の難しさを感じており、未就労患者は自己存在を脅かされ、絶望的な態度に陥る可能性があることが明らかとなった。これら就労状況による違いを踏まえて、休職中の患者へは日常生活の再構築を手助けし、未就労者には一人で抱え込まないような支援の必要性が示唆された

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