Jeongbae Oh

呉 正培

11P特集Special Issuedepartmental bulletin pape

呉, 正培

オ, ジョンベ

ゴ, セイバイ

Oh, Jeongbae

Shokei Gakuin University

コロナ禍の教育活動で気づいたこと(特集　新型コロナウイルス禍を生きる)著者 呉 正培雑誌名 尚絅学院大学紀要号 83ページ 19-21発行年 2022-07-28URL http://doi.org/10.24511/00000571（19）コロナ禍の教育活動で気づいたこと准教授　呉　　　正　培　新型コロナウイルス感染症が発生して２年以上が経過した。新型コロナウイルスの感染拡大は、我々の日常を大きく変えた。ここでは、コロナ禍の2020－2021年度に担当した３つの授業を振り返り、コロナ禍で教育活動をどのように展開し、その中でどのような気づきが生まれたのかを述べる。（１）授業１：「多文化社会演習Ａ・Ｂ」　現代社会学科の「国際交流実習」（通年科目）の科目名が変更され、2021年度から人文社会学類の前期と後期のセメスター科目として開講された授業である。学生はそれぞれ中国か韓国のどちらかを実習先として選び、実習先の社会や文化に関する調査学習を中心に学んでいく。授業の醍醐味である現地実習では、コロナ前の2019年度までは、実習先を直接訪問し、約10日間現地に滞在し、現地学生との交流活動、現地の文化体験、調査テーマに関する現地調査などを行っていた。しかし、コロナ禍で開講された2021年度は、現地入りができなくなったため、ZOOMを用いたオンライン現地実習に変更した。オンライン現地実習としては、中国と韓国の協定校の学生との交流活動（調査テーマに関するインタビュー調査を含む）と韓国の歴史と文化に関する特別講義を行った。　コロナ禍で現地実習を「訪問」から「オンライン」に変更したことで、学生の受講意欲は大きく低下し、受講生は６名にとどまった。また、受講生の授業全体の振り返りによると、現地入りできず、直接会えないという状況が、中国、韓国の学生との交流会やインタビュー調査を企画・準備する際にも、モチベーションが上がらない要因になっていた。　しかし、オンライン現地実習であったことでできたことや得られた気づきもあった。訪問実習の場合、中国か韓国のどちらか選んだ実習先の人としか交流することができない。一方、オンライン実習では、受講生が中国と韓国の両方の学生と交流することが可能となり、調査学習の現地調査も、両国の学生を対象にインタビュー調査を実施することができた。つまり、国際交流の幅と調査学習の対象を中国と韓国の両方に広げることができたのである。交流の幅と調査の対象が２ヶ国に拡大したことにより、結果的に日中韓の三者比較が可能となり、自国（日本）の社会や文化を相対化する機会が増えた。従来の訪問実習の場合、日本と韓国、日本と中国の両者比較が意識されることが多く、両者の違いに対して日本の価値観や社会規範をもとに優劣の判断がなされやすい傾向があった。オンライン実習の場合、日中韓の共通点や相違点を意識する機会が多く、日本だけが異なるケースに遭遇することも少なからずあったため、自国（自分）を客観的に捉えるきっかけをより多く提供することができた。（２）授業２：「専門演習Ⅲ（2020 年度）」「総合実践・演習Ⅰ・Ⅱ（2021 年度）」　ゼミ活動が本格的に始まる授業であり、グループディスカッションを中心に、前期は異文化理解の主要トピック、後期は研究の進め方やまとめ方について理解を深める内容である。ゼミの学年間交流会を企画・実施する実践的な活動も含まれている。コロナ前の2019年度までは、（20）１つの教室でグループに分かれ、話題に対する意見交換を行っていた。学年間交流会は学内のバーベキューサイトや調理室を活用し、参加者が共に料理を作ったり、ゲームをしたりして親睦を深めていた。しかし、コロナ禍の2020 ～ 2021年度は、授業の形態を非対面授業（リアルタイム）に転換せざるを得なくなり、学年間交流会もオンラインで実施することにした。　ゼミ生間の密な交流を楽しみにしていたゼミ生にとって、非対面授業への転換は非常に大きな失望感を与えたようである。授業の振り返りや個別面談の際にも対面授業を求める声が多く、学年間交流会もぎりぎりまで対面での実施可能性を探る様子がうかがえた。2020年度の学年間交流会の場合、はじめてのオンライン開催ということもあり、「何ができるか」「どう進めるか」など企画の段階から戸惑いもあり、当日のゲーム進行でも、通信状況によるタイミングのずれが発生するなど予想外の問題にも直面した。　しかし、非対面授業と交流会のオンライン開催から得られた成果や気づきもあった。非対面授業はZOOMを使ってリアルタイムで展開した。授業の中心となるグループディスカッションには、ZOOMの「ブレイクアウトルーム」機能を用いた。この機能は、グループ分けが自由にできる点、各グループの独立した空間が確保できる点、ホスト（教員）の各グループへの出入りができる点など、グループワークに有用な要素が多い。「ブレイクアウトルーム」機能を用いてグループワークを展開したところ、対面授業よりも静穏で独立した空間を提供することができ、ゼミ生の集中力が高まり、やり取りが活性化する効果が見られた。オンラインでの学年間交流会の活動では、非対面という制限された状況で他者とコミュニケーションをとる際にどのような誤解やすれ違いが生じうるのか、それを改善するためにどのような工夫が必要なのかを体験的に学ぶ良い機会となった。2021年度の交流会では、前年度の試行錯誤を踏まえ、参加者の反応（リアクション）を積極的に促しており、クイズやゲームの仕方にも様々な工夫を施していた。（３）授業３：「卒業研究」　前期はゼミ生が卒業研究の進捗状況を報告し、他のゼミ生と教員からのコメントを反映しながら研究を進め、後期は教員の個別指導を受けながら卒業論文を執筆していく授業である。コロナ禍の2020 ～ 2021年度は、授業の形態を非対面授業（リアルタイム）に転換し、後期の個別指導も対面から非対面（ZOOM）に変更した。　ゼミ生同士の最後の授業でもあり、ゼミ生からは対面授業を望む声も少なくなかった。また、非対面授業になったことで、他のゼミ生と会って話す機会も少なくなり、卒業研究に取り組むうえでも進め方やまとめ方を互いに確認したり、大変さを共感したりすることができず、孤立感や孤独感を覚えることもあったようである。　しかし、コロナ禍の影響で非対面授業に変更したことでかえって良かったこともあった。まず、出席率が著しく増加した。４年次、特に前期は就職活動を並行している学生が多く、就職説明会や面接の都合で対面授業に欠席する学生が少なからずおり、欠席者の人数が出席者を上回ることもしばしばあった。非対面授業（ZOOMによるリアルタイム）になった２年間は、登校の必要がなく、就職活動の合間にどこでも参加することができたため、欠席者は明らかに減少した。また、後期の個別指導の場合、ZOOMを使って実施したが、ZOOMの録音機能を用いて指導中のやり取りを録音し、その音声データを指導後にゼミ生に送ることで、教員からのコメントを後から確認できるように工夫した。それまでの対面指導においては、ゼミ生が教（21）員とのやり取りに夢中になり、指導内容を記録に残すことができず、コメントが十分に反映されないことがあったが、その点をZOOMの録音機能を活用することで補うことができた。　以上、コロナ禍の状況でそれまでの教育活動をどのように変更し、その中でどのような気づきがあったのかを振り返った。コロナ禍は、非対面授業への変更を余儀なくし、教育活動の幅を狭め、結果的に学生の学習意欲を低下させるなど否定的な影響を及ぼした。しかし、一方で、コロナ禍で展開した新たな取り組みや工夫は、それまで意識せずに見逃していた重要なことや他の可能性に気づくきっかけとなった。これらの気づきを今後の教育活動において大いに生かしていく所存である。私のコロナ禍教授　佐　藤　淳　一　2020年が明けて間もなくから、新型のコロナウイルスが世界中を脅かすこととなった。飛沫による感染が主で、近距離での会話や大声での会話、歌うことや楽器の演奏も感染を拡大させる行為として自粛が叫ばれた。　音楽は、東日本大震災後にも評価をされていたように、目に見える形としてではないが人々の心に潤いを与え、安らぎを与えるものとしてその効果を認められてきた。その音楽が世界中で禁止となり、音楽を生業とする演奏家にとっては致命的なものとなった。私もその演奏家としての活動を行ってきたが、この年の２月下旬からはすべての活動が見事に停止してしまった。　音楽家として、それも歌ってはならない声楽家として、コロナ禍において自分の周りにどのような状況が起こっていたのか、またどのように過ごしてきたのか、私の音楽活動を時系列に振り返りながら、このコロナ禍での生き方を考えていきたい。①　2020.	2.	22（土）　仙台オペラ協会「春のインテルメッツォ」公演　コロナ禍が騒がれ始め、出演者の話し合いではコンサートの中止も検討された。結果、チラシは各方面に配布済みでありチケットも販売されていたために、公演開催を決定した。演奏会当日は500名弱の観客があった。次週に行われたある合唱団のコンサートでは、観客数は100名に満たない程度であった。我々のコンサートが、観客が足を運ぼうとする最後のコンサートであったと思う。②　２月末より、関係する複数の合唱団とオペラの練習は順次中止となった。３月下旬に予定していた２つのコンサートも中止となった。③　2020.	4.	26（日）に予定していた仙台放送合唱団の定期演奏会は６月、９月と２回延期の決定をする。結局は９月にも行える状況とはならずに環境が整うまで延期となった。前に進もうとしても何度も戻され、我々の意欲は殺がれて行った。

コロナ禍の教育活動で気づいたこと(特集　新型コロナウイルス禍を生きる)

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コロナカノキョウイクカツドウデキズイタコト (トクシュウシンガタコロナウイルスカオイキル)

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