Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data

Abstract

金沢大学医薬保健研究域医学系ヒトの主要組織適合遺伝子複合体 (HLA)は免疫応答の入り口として自己と非自己の認識を担うとともに、ヒトにおける機能的遺伝子としては最も高度な多型を示す。この多型は自己免疫性疾患や感染症、さらには薬剤副作用と関連する遺伝要因として研究が進んでいる。さらに、その高度な多型性は個人識別、人類集団の起源や形成過程を探る遺伝マーカーとしても有益である。本研究ではHLA遺伝子の多型に注目し、ヤポネシア人成立までの感染症との戦いの歴史といった免疫学的な視点からもヤポネシア人の歴史を探ることを提案したい。古代人のHLA遺伝子型を決定手法の確立これまでに研究代表者が開発してきた NGSを用いたHLA遺伝子の解析手法を、バクテリアゲノムを多く含み、断片化が進んだ古代人DNAを対象にしたものに最適化するために、プローブデザインを再設計ならびにハイブリダイゼーションの条件を再検証した。DNAライブラリとプローブの比率を変更し、ハイブリの時間を2時間に短縮しても、一般的なヒトゲノムDNAのシークエンスキャプチャーであればオンターゲット率は85%に濃縮できるプロトコールとして最適化した。一方、含まれるヒトゲノムが微量の場合はそのオンターゲット率が15%程度の濃縮にとどまる結果となったが、HLAタイピングが可能なリード数を得ることができる条件であることを確認した。計画研究A02で解析が進められた縄文DNA、尻労安部サンプルを対象として上述のHLA遺伝子解析手法によるHLAタイピングを試みた。結果は良好で、縄文DNAサンプルであってもHLA型をクリニカルグレードとなる第4区域で決定することが可能であった。尻労安部のHLAアレル頻度はいずれの遺伝子においても日本列島人集団において10位以内となる高頻度のタイプであった。現代人のHLA遺伝子解析金沢大学で進めている、志賀町など能登地域を対象にしたゲノムコホートの住民DNAサンプルを対象に37のHLA遺伝子ならびに非HLA遺伝子についてシークエンスを実施した。1,187検体について第3区域(6桁)までのタイピングが完了している。また、日本人集団以外の解析として、東北アジアの5民族集団、北部漢民族、満民族、中国在住朝鮮民族(中国、ハルピン)、ブリヤート民族(ロシア、イルクーツク)およびモンゴル民族(モンゴル、ウランバートル)、さらに、アマゾン先住民族の一つであるワオラニ族のHLAタイピングを実施した。研究課題/領域番号:19H05344, 研究期間(年度):2019-04-01 – 2021-03-31出典:研究課題「HLA遺伝子の多様性にもとづくヤポネシア人進化の解明」課題番号19H05344(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PUBLICLY-19H05344/)を加工して作

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