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ゲンダイ ニホン ブンガク ニ オケル ジユウ シュギ ナカガミ ケンジ ノ アキユキ サンブサク カラ ノ イチ コウサツ

Abstract

中上健次(1946-1992)は、現代日本文学を代表する作家の一人である。中上健次は、和歌山県新宮市の被差別部落で生まれ、自作でその場所を「路地」と名付け、被差別部落の複雑な地縁と血縁の在り方を描いたことで知られる。秋幸三部作は、「路地」に生きる一人の青年、秋幸を主人公にした連作で中上文学を代表するものとして国内外で高く評価されている。本稿は、中上健次の秋幸三部作、すなわち、『岬』(1976)、『枯木灘』(1977)、『地の果て至上の時』(1983)を読み解きながら、自己の行為を選べる自由、すなわち、自由意識(あるいは形而上学的な意味での自律概念)が現代日本文学においてどのように表出しているかという問題について考察するものである。特に、個人の自律的な意志決定がどのように規定されるのかという問いに対して、秋幸三部作における主人公秋幸の行為と意思決定が果たして自律的なものかどうか分析していく

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