京都大学新制・課程博士博士(経済学)甲第23448号経博第646号新制||経||299(附属図書館)京都大学大学院経済学研究科経済学専攻(主査)教授 諸富 徹, 教授 岡 敏弘, 准教授 長谷川 誠, 特定准教授 Rudolph Sven学位規則第4条第1項該当Doctor of EconomicsKyoto UniversityDFA

Dellatte, Joseph Patrice Marc

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Essay on the Political-economy of LinkingHeterogeneous Emissions TradingSchemes:The case of Northeast Asia.(Abstract_要旨 )Dellatte, Joseph Patrice MarcDellatte, Joseph Patrice Marc. Essay on the Political-economy of Linking Heterogeneous Emissions TradingSchemes:The case of Northeast Asia.. 京都大学, 2021, 博士(経済学)2021-09-24https://doi.org/10.14989/doctor.k23448（ 続紙 １ ） 京都大学 博士（  経済学  ） 氏名 Dellatte Joseph Patrice Marc 論文題目 Essay on the Political-economy of Linking Heterogeneous EmissionsTrading Schemes: The case of Northeast Asia.（異種の排出権取引スキームをリンクすることの政治経済分析：北東アジアの場合。）（論文内容の要旨） Linking Emissions Trading Schemes (ETS) of countries with heterogeneous climate policies is one of the most difficult issues in carbon pricing instruments. Despite being economically desirable and indispensable to establish a global cooperative climate policy, heterogeneous linkage happens to be politically arduous to establish. But what exactly makes it more challenging for these jurisdictions to agree on ETS linkage? Focusing on Northeast Asia, this doctoral dissertation takes a multidisciplinary political-economic perspective to study the crucial currently unresolved implementation challenges facing ETS linking.  This dissertation develops into five chapters. Chapter 1 introduces the greater purpose of ETS linkage in the international climate policy spectrum, particularly in Northeast Asia, underlining some critical missing political-economic assessments in the literature. Chapter 2 interrogates the sustainability of the new Chinese National ETS and its readiness to Linking. Chapter 3 compares ETS design and regulations in China, Japan, and South Korea, studying process and management issues for linking in the region. Chapter 4 analyzes political-economic barriers to link ETS in a heterogeneous context using Northeast Asia as a case study and applying an evidence-based approach to investigate stakeholders’ influences dynamics. Finally, chapter 5 considers the potential impact and influence of the COVID-19 global shock on the barrier mechanism to sustainability in ETS implementation, particularly auction allocation. In sum, this doctoral dissertation yields the high political sensitivity and difficulties entailed in establishing sustainable ETS linking between jurisdictions with diverging policy designs and environmental ambitions. This thesis explicitly underlines the sustainability concerns in established design, the risks of linking without harmonization, and the barrier mechanism impeding sustainability and harmonization in the case of Northeast Asia. It also provides policy proposals and emphasizes policy strategies to overcome resulting issues.    （続紙 ２ ）                             （論文審査の結果の要旨）   本論文は、排出量取引研究の分野においてこれまで十分に研究が行われていない排出量取引制度の接続問題、しかも東アジア地域におけるそれを取り扱った貴重な成果である。これまでに EU ETS とスイスの排出量取引制度、アメリカの州レベルの排出量取引制度とカナダの州レベルの排出量取引制度など、異なる排出量取引制度間で接続を行い、排出枠の取引を制度間で可能にしている事例は複数存在しており、それらをめぐる研究も行われている。しかし東アジアでは日本、韓国、中国それぞれに排出量取引制度があるにもかかわらず、接続は全く行われていない。とくに、排出削減の限界費用が異なる状況下では、接続に十分な経済的メリットがあるにもかかわらず、東アジアにおける接続の不在という状態は「なぜか？」という問いを掻き立てる。本論文はこうした問題意識を背景に、東アジアにおける排出量取引制度接続の困難さの背景要因を、政治経済学的視点から初めて体系的に分析した点で貴重な貢献を行ったといえる。  本論文の主たる学術的貢献は以下の 3 点に求められる。第 1 に、日中韓 3 か国の排出量取引制度を比較分析することで、これらの接続への主たる制度的障壁がどこにあるかを特定することができた。つまり、これら排出量取引制度の制度設計(とりわけキャップ設定、排出枠の配分方式、オフセット基準など)はきわめて多様で、制度的相違が上記の他国における接続事例と比べると大きい。したがってこれらを無理に接続しようとすると、その環境政策上の厳格さを喪失する恐れがある。  第 2 に、2019 年 12 月に開催された第 25 回気候変動枠組条約締約国会議(COP 25)の場で行われた日中韓 3 か国それぞれの国際交渉チームメンバーへの「半構造化面接」を通じて、接続に対する政治的障壁を明らかにすることができた。つまり、接続の経済的便益にもかかわらずその実現が困難なのは、接続によって国内環境政策のコントロール権限を失うことへの恐れ、そして環境政策の面に限ってであるが、国家の統治権を 3 か国で共有することへの懐疑が、特に日本側で強いことが明らかにされた。  第 3 に、本論文は東アジア 3 か国における排出量取引制度の接続困難性を明らかにすることを通じて逆に、接続に成功するための要件を明らかにした。つまり、接続のためには排出量取引制度の制度設計上の調和が必要であること、それに加えて、政治的・制度的な共通基盤が必要だということである。排出量取引制度を接続するということは、産業の温室効果ガス排出に対するコントロール権を共有することになり、それは間接的に産業による生産に対するコントロール権を共有することにつながる。これは国家主権と経済安全保障の問題とも関係するため、経済的便益だけでなく政治的要因が重要な考慮要因となる。  口頭試問では「法と経済学」、「ガバナンス構造」、「排出量取引制度の持続可能性基準」といった概念の理解が問われたほか、東アジア 3 か国における排出量取引接続の実現可能性、そして日本が東アジアの隣国とだけでなく、世界の他の国と  接続する可能性の有無、さらには、排出枠の有償配分による収入を用いて、排出量取引制度の導入がもたらすかもしれない所得分配上の問題を解決する可能性について、質疑応答が行われた。  本論文は経済学が通常採用する方法論とは異なり、「政治経済学」アプローチにより比較制度分析やインタビューといった手法を用いているが、それによって論文の主張が十分客観的な形で論証できたといえるのか、また、そのことによって本論文が学術的にオリジナルな貢献ができたと認定できるのかという点をめぐっても、審査委員の間で議論が交わされた。  この点では最終的に、本論文が採用したアプローチは、社会科学では標準的に用いられる方法論であること、その基準に照らしてみた場合、本論文はこれまでの本分野における学術的成果を超える新しい知見を生み出すことができていると認められるとの結論に至った。  よって、本論文は博士（経済学）の学位論文として価値あるものと認める。また、令和 3 年 8 月 10 日、論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果、合格と認めた。   

異種の排出権取引スキームをリンクすることの政治経済分析：北東アジアの場合。

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異種の排出権取引スキームをリンクすることの政治経済分析：北東アジアの場合。

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