京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第23566号医博第4780号新制||医||1054(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 武藤 学, 教授 佐藤 俊哉, 教授 羽賀 博典学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Morino, Koshiro

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Proposed Definition for Oligometastatic Recurrence inBiliary Tract Cancer Based on Results of LocoregionalTreatment: A Propensity-Score-Stratified Analysis(Abstract_要旨 )Morino, KoshiroMorino, Koshiro. Proposed Definition for Oligometastatic Recurrence in Biliary Tract Cancer Based on Results ofLocoregional Treatment: A Propensity-Score-Stratified Analysis. 京都大学, 2021, 博士(医学)2021-11-24https://doi.org/10.14989/doctor.k23566京都大学 博士（ 医 学） 氏 名 森 野 甲 子 郎 論文題目 Proposed Definition for Oligometastatic Recurrence in Biliary Tract Cancer Based on Results of Locoregional Treatment: A Propensity-Score-Stratified Analysis （局所治療効果に基づく胆道癌オリゴ転移再発の提唱：傾向スコアを用いた層別解析） （論文内容の要旨） 【背景】 近年、様々な癌種においてOligometastasis(オリゴ転移)、Oligometastatic recurrence(オリゴ転移再発)という定義が注目されている。これらは、遠隔転移・転移再発を有しながらも、転移数が少数のため手術や放射線治療などの局所治療により長期生存が期待できる病態を指す。胆道癌においては、遠隔転移・転移再発を来した症例は全身化学療法が唯一の標準的治療とされているが、再発症例でありながら局所治療によって長期生存を得たという報告も散見されている。しかしながら、現時点では胆道癌のオリゴ転移・再発の定義は明確ではない。本研究は、京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科での再発胆道癌症例を後方視的に解析し、局所治療による survival benefitが期待できる患者群を同定することで、胆道癌オリゴ転移再発の提唱を試みることを目的とした。 【方法】 1996年から2015年までの期間で、京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科にて胆道癌手術を受けた 439 例のうち、再発を来した 232 例を解析対象とした。主要評価項目は再発後生存期間(survival after recurrence; SAR)とした。治療バイアスを最小限とすべく、主解析方法は背景因子が調整された傾向スコア層別解析を用いた。 ① Cox 比例ハザードモデルによる多変量解析を用いて、背景因子の中から予後因子を抽出した。② 多変量ロジスティック回帰分析を用いて、局所治療の有無に影響しうる因子および傾向スコア(Propensity Score : PS) を作成した。③ 得られた傾向スコアによる、層別生存解析を行った。 【結果】 再発胆道癌症例232例のうち、局所治療が施行されたのは60例(25.9%)で、行われなかったのは 172 例であった。SAR 中央値はそれぞれ 34.8 ヶ月と 10.1 ヶ月(ハザード比:0.23 [95%信頼区間:0.15-0.32]、P<0.001)であった。予後因子解析では、多変量解析にて『CA19-9が50U/ml以下』、『腫瘍径が3cm以下』、『再発までの期間が1年以上』、『転移腫瘍個数3個以内の単臓器転移』の4項目が独立予後因子(各P<0.001)となった。ロジスティック回帰分析により、この4項目のうち、『CA19-9が50U/ml以下』(P<0.001)、『再発までの期間が 1年以上』(P=0.018)、『転移腫瘍個数 3個以内の単臓器転移』(P<0.001)の 3項目が局所治療の有無に関連する有意な因子として抽出された。この三項目を用いた傾向スコアを以下の数式のように作成した。 PS = 1/(1+exp[1.427-0.913*X1 - 0.786*X2 - 0.416*X3]) (X1;転移腫瘍個数 3個以内の単臓器転移、X2;CA19-9 50U/ml以下、X3;再発までの期間が1年以上) PSを0.1毎に層別化し、局所治療の有無でSARを比較したところ、A) PS : 0.6-0.7 (X1+, X2+, X3+)とB) PS : 0.2-0.3 (X1+, X2-, X3+とX1-,X2+,X3+) の3グループにおいて、局所治療を施行された症例が、施行されなかった症例と比べて有意に SARが良好であった (各P<0.001)。  ただしX1-,X2+,X3+のグループは局所治療を受けたのは1例のみで且つ予後不良であったことから今回の定義から除外した。これらX1+, X2+, X3+とX1+, X2-, X3+の2グループを統合した、X1『転移腫瘍個数 3個以内の単臓器転移』およびX3『再発までの期間が 1年以上』の2条件を満たす症例では、局所治療は、有意に生存期間の延長との関連性が認められた (SAR 中央値: 48.6 対 14.2 ヶ月、ハザード比:0.10 [95%信頼区間:0.04-0.20]、P<0.001)。 【結論】 再発胆道癌において、転移腫瘍個数3個以内の単臓器転移、再発までの期間が1年以上を満たす症例は局所治療による生存期間の延長効果が期待できる可能性が示唆された。本研究では、それらの条件を胆道癌におけるオリゴ転移再発と提唱する。  （論文審査の結果の要旨） 予後不良とされる胆道癌の成績向上のため、再発症例に対する治療方針の決定は現在重要な課題である。再発を有しながらも手術や放射線治療などの局所治療が奏功する病態をオリゴ転移再発といい近年注目されているが、胆道癌におけるオリゴ転移再発はどのような患者集団であるのかは未解明である。申請者は、再発胆道癌に対する局所治療により生存延長が期待できる患者群を同定することにより、胆道癌オリゴ転移再発の特徴づけを試みた。 京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科で外科切除を施行された胆道癌症例のうち再発をきたした 232 例を対象とした。予後因子解析において同定された『CA19-9 が50U/ml以下』、『腫瘍径が 3cm以下』、『再発までの期間が 1年以上』、『転移腫瘍個数 3個以内の単臓器転移』の 4つの独立因子から、傾向スコアを作成した。層別解析により、『再発までの期間が 1年以上』、『転移腫瘍個数 3個以内の単臓器転移』の両項目を満たす患者層においては、局所治療による有意な予後延長効果が認められた。 以上の研究は胆道癌に対する局所治療の選択基準を提供し、再発胆道癌の臨床現場における治療指針に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、令和３年１０月 ８日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

局所治療効果に基づく胆道癌オリゴ転移再発の提唱：傾向スコアを用いた層別解析

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