京都大学新制・論文博士博士(医学)乙第13450号論医博第2243号新制||医||1054(附属図書館)(主査)教授 稲垣 暢也, 教授 妹尾 浩, 教授 小濱 和貴学位規則第4条第2項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Tomotaki, Seiichi

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Effects of passage through the digestive tracton incretin secretion: Before and after birth(Abstract_要旨 )Tomotaki, SeiichiTomotaki, Seiichi. Effects of passage through the digestive tract on incretin secretion:Before and after birth. 京都大学, 2021, 博士(医学)2021-11-24https://doi.org/10.14989/doctor.r13450京都大学 博士（ 医 学 ） 氏 名 友 滝 清 一 論文題目 Effects of passage through the digestive tract on incretin secretion; Before and after birth （消化管への物質の通過がインクレチン分泌に及ぼす影響の出生前後の変化） （論文内容の要旨） 【背景】 インクレチンとは、消化管から血中に分泌され、血糖値を低下させるホルモンの総称であり、グルカゴン様ペプチド-1（glucagon-like peptide-1：GLP-1）とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド（glucose-dependent insulinotropic polypeptide：GIP）がある。主に食餌中の糖や脂質に反応して消化管内分泌細胞から分泌される。 胎児は、自らインクレチンを分泌していることが報告されている。しかし、消化管から栄養を摂取していない胎児における、インクレチンの分泌調節機構およびその機能はわかっていない。胎児期のインクレチン分泌および出生前後でのインクレチン分泌調節機構の違いについて検証することを目的として、早産児・正期産児の臍帯血および出生後のインクレチン濃度を測定した。また、羊水が消化管を通過しない十二指腸閉鎖症例の臍帯血中インクレチン濃度を正常児と比較することによって、胎児期のインクレチン分泌における羊水嚥下の意義について検証した。 【方法と対象】 2017年 7月から 2019年 7月に京都大学医学部附属病院で出生した新生児（正期産児・早産児・十二指腸閉鎖症例）を対象とした。本研究は京都大学医学部附属病院医の倫理委員会の承認を得て、保護者から書面での同意を得て行った。 対象症例の臍帯静脈血、および生後の空腹時の、血清 total GLP-1, total GIP濃度を測定し、比較した。測定にはBio-Plex MAGPIX Multiplex Reader (Bio-Rad社)を用いた。 【結果】 対象症例は正期産児47例、早産児46例、十二指腸閉鎖症例5例であった。臍帯血中GLP-1濃度は、早産児の方が正期産児より有意に高く、GIP 濃度は早産児でも正期産児と同等であった。十二指腸閉鎖症例でも、臍帯血GLP-1・GIP 濃度は正常児と比べて同等であった。出生後の空腹時血中GLP-1・GIP 濃度は、経腸栄養の量が増加するに従って上昇し、GLP-1・GIP いずれも、経腸栄養の量と正の相関を示した。十二指腸閉鎖症例でも同様であり、術後経腸栄養が確立する頃には、正常児と同等のGLP-1・GIP 濃度を示した。 【考察】 十二指腸閉鎖症例でも正常児と遜色ないインクレチンが分泌されていたことから、羊水が消化管を通過することは、胎児期のインクレチン分泌においては重要ではないことが示唆された。一方で、出生後は経腸栄養増量に伴ってインクレチン濃度が上昇することから、成人と同様、消化管を食餌（ミルク）が通過していくことが生後のインクレチン分泌においては重要であることが示唆された。 胎児期のインクレチン分泌を刺激している因子や、胎児期のインクレチンの役割について、さらなる研究が必要と考えられる。  （論文審査の結果の要旨） インクレチンは主に食餌中の糖や脂質に反応して消化管内分泌細胞から血中に分泌され、血糖値を低下させるホルモンの総称である。胎児においても、インクレチンが分泌されていることがわかっているが、胎児期のインクレチン分泌を刺激する因子は不明である。胎児は羊水を嚥下しており、羊水嚥下が胎児期の腸管の発達に寄与しているとの報告はあるが、羊水嚥下とインクレチン分泌との関連を検討した報告はない。 本研究においては、早産児・正期産児に加えて、羊水が消化管を通過しない十二指腸閉鎖症例を対象として、臍帯血中および生後の血中インクレチン濃度を比較することにより、十二指腸閉鎖症例でも正常児と遜色ないインクレチンが分泌されていることを示した。このことから、羊水が消化管を通過することは、胎児期のインクレチン分泌においては重要ではないことが示唆された。一方で、出生後は経腸栄養増量に伴ってインクレチン濃度が上昇することから、成人と同様、消化管を食餌が通過していくことが生後のインクレチン分泌においては重要であると考えられる。以上の結果から、本研究によって、インクレチンの分泌刺激因子は出生前後で異なることが示された。 以上の研究は、胎児期のインクレチンの分泌機序とその機能について、新たな考察を加える臨床研究として評価されるものである。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、令和３年８月２６日実施の論文内容とそれに関連した研究分野並びに学識確認のための試問を受け、合格と認められたものである。   要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

消化管への物質の通過がインクレチン分泌に及ぼす影響の出生前後の変化

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