京都大学新制・課程博士博士(人間健康科学)甲第23426号人健博第93号新制||人健||6(附属図書館)京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻(主査)教授 山田 重人, 教授 林 悠, 教授 森本 尚樹学位規則第4条第1項該当Doctor of Human Health SciencesKyoto UniversityDFA

Wang, Tianshu

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Low-intensity pulsed ultrasound prompts both functionaland histologic improvements while upregulating the brain-derived neurotrophic factor expression after sciatic crushinjury in rats( Abstract_要旨 )Wang, TianshuWang, Tianshu. Low-intensity pulsed ultrasound prompts both functional and histologic improvements whileupregulating the brain-derived neurotrophic factor expression after sciatic crush injury in rats. 京都大学, 2021, 博士(人間健康科学)2021-07-26https://doi.org/10.14989/doctor.k23426許諾条件により本文は2022-06-01に公開京都大学 博士（人間健康科学） 氏 名 王 天舒 論文題目 Low-intensity pulsed ultrasound prompts both functional and histologic improvements while upregulating the brain-derived neurotrophic factor expression after sciatic crush injury in rats （低出力パルス超音波は、脳由来神経栄養因子の発現を促進し、ラットの坐骨神経圧挫損傷後の組織的及び機能的な改善を促す） （論文内容の要旨） 【背景】  末梢神経は、圧挫損傷などの神経損傷の際には損傷部の中枢側より再生軸索が伸長することにより再生が進展されるが、軸索伸長が遅いことから軸索伸長を促進する技術が求められている。低出力パルス超音波（LIPUS： low-intensity pulsed ultrasound）は難治性骨折の治癒促進の物理治療器機として用いられており、組織再生効果を有することが知られている。予備検討により、140mW/cm2の強度の LIPUSが軸索再生を促す事が明らかになったが、そのメカニズムについては明らかになっていない。そこで本研究においてはラット坐骨神経圧挫損傷モデルにおいて LIPUSの組織的、機能的な神経再生の機序を明らかにする事を目的とした。 【方法】 12 週齢の雄性 Lewis ラット 18 匹を sham 群（0 mW/cm2; N = 9）と LIPUS 処置群（140 mW/cm2; N= 9）の 2 つのグループに分けた。また機能評価の際には同週齢の比較対象として 3 匹の健常ラットを無処置群として飼育した。坐骨神経に圧挫損傷を施し、損傷後 14 日目まで毎日 LIPUS 照射を行い、それ以降は安楽死するまで週5 日照射を行った。損傷後 20 日に三次元動作解析システムを用いた運動機能評価を実施し、トレッドミル歩行における toe-off 時の足関節角度とつま先角度を評価した。損傷後 30 日には組織再生評価として、ラットを安楽死させた後に坐骨神経を採取し、有髄神経線維密度、有髄神経線維の直径、軸索直径、および髄鞘の厚さを評価した。また、72 匹のラットを用いて免疫蛍光染色及びリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応（real time Polymerase chain reaction：PCR）を行った。評価時期は損傷後3 日、7 日、14 日、30 日とし、ラットを各評価時期でそれぞれ sham 群（N=9）とLIPUS 処置群（N＝9）の 2 つのグループに分けた。再生軸索と脳由来神経栄養因子（brain-derived neurotrophic factor：BDNF）のタンパク質に対する免疫蛍光染色には各群 3 匹を、PCR には各群 6 匹を用いた。また PCR を行った際、基準サンプルとして 4本のラット反体側の坐骨神経を無処置群とした。統計解析は sham群と LIPUS処置群の比較のため、スチューデントの t 検定を用いた。また Dunnett の検定を無処置群、sham 群、LIPUS 処置群の多重検定として用いた。 【結果】 運動機能評価において、LIPUS 処置群は sham 群と比較して toe-off 時のつま先角度が有意に改善した（IPUS 処置群 31.9 ± 6.3°, sham 群 16.6 ± 2.3°, p < 0.01）。また組織評価においては有髄神経線維密度（LIPUS 処置群 10,530 ± 1001/mm2, sham 群 8,586 ± 849/mm2, p < 0.01）、有髄神経線維の直径（LIPUS 処置群 5.6 ± 0.3µm, sham 群 3.9 ± 0.2µm, p < 0.01）、軸索直径（LIPUS 処置群 4.1 ± 0.3µm, sham群 2.6 ± 0.1µm, p < 0.01）、髄鞘の厚さ（LIPUS 処置群 0.7 ± 0.04µm, sham 群 0.6 ± 0.03µm, p < 0.01）および免疫蛍光染色により 14 日目の再生軸索長（LIPUS 処置群5.6 ± 0.5mm, sham 群 4.4 ± 0.2mm, p < 0.05）と LIPUS 処置群において有意 に軸索の再生が認められた。 LIPUS 処置群の BDNF の遺伝子発現は手術後 14 日目（p < 0.01）と 30 日目（p < 0.05）に有意に発現上昇していたが、sham 群では手術後 14 日目（p < 0.05）にのみ発現上昇していた。圧挫損傷部位の BDNF タンパク質の産生は、sham 群で手術後 7日目にピークに達し、その後急速に低下したが、LIPUS 処置群では 3 日目でピークに達し、30 日目まで高い産生を維持していた。 【考察】 LIPUS が有するマイクロメカニカル刺激は、細胞膜上の機械受容体と伸展活性化イオンチャネルを活性化し、BDNF 産生などの細胞内応答、シュワン細胞の増殖、および神経突起伸長を引きおこす事が知られている。また BDNF は軸索の発芽と髄鞘形成を促進する事が知られている。マイクロメカニカルストレスと BDNF は協働的に役割を果たすことで組織的改善、機能的な改善を促進したと考えられる。 【結論】 LIPUSはラット坐骨神経圧挫損傷モデルにおいてBDNFの発現上昇を促すことにより、損傷神経の組織的改善、機能的な改善を促進した。  （論文審査の結果の要旨） 末梢神経損傷の際には軸索の伸長により再生が促されるが､その伸長速度が遅いことにより支配筋の萎縮などの問題が引きおこされることから軸索伸長を促す技術の開発が求められる。予備検討により低出力パルス超音波（LIPUS：low-intensity pulsed ultrasound）の照射が軸索伸長を促すことが明らかになっている。そこで本研究においては組織的、機能的な神経再生の機序を明らかにする事を目的とした。 18 匹のラットを sham 群（0 mW/cm2; N = 9）と LIPUS 処置群（140 mW/cm2; N= 9）に分け、坐骨神経に圧挫損傷を施し、損傷後 14 日目まで毎日 LIPUS 照射を行い、それ以降は安楽死するまで週 5 日照射を行った。 運動機能評価において、LIPUS 処置群は sham 群と比較して toe-off 時のつま先角度が有意に改善した。また組織評価においては有髄神経線維密度、有髄神経線維の直径、軸索直径、髄鞘の厚さが LIPUS 処置群において有意に改善していた。BDNF の遺伝子発現及びタンパク質の産生は LIPUS 処置群で上昇しており、LIPUS が有するマイクロメカニカル刺激が、細胞膜上の機械受容体と伸展活性化イオンチャネルを活性化し、BDNF 産生などの細胞内応答、シュワン細胞の増殖、および神経突起伸長を引きおこし、良好な神経再生を促進したと考えられる。 「以上の研究は末梢神経再生促進におけるの物理療法の効果解明に貢献し､リハビリテーション医学の発展に寄与するところが多い。したがって、本論文は博士（人間健康科学）の学位論文として価値あるものと認める。なお、本学位授与申請者は、2021 年 5 月 10 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。」 （なお、本論文は、京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し、公表に際しては、（2022 年 6 月 1 日までの間）当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める。） 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

低出力パルス超音波は、脳由来神経栄養因子の発現を促進し、ラットの坐骨神経圧挫損傷後の組織的及び機能的な改善を促す

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低出力パルス超音波は、脳由来神経栄養因子の発現を促進し、ラットの坐骨神経圧挫損傷後の組織的及び機能的な改善を促す

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