京都大学新制・論文博士博士(医学)乙第13429号論医博第2233号新制||医||1053(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 長船 健二, 教授 妹尾 浩, 教授 川口 義弥学位規則第4条第2項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Fujiwara, Yuta

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Carbonic anhydrase 8 (CAR8) negativelyregulates GLP-1 secretion fromenteroendocrine cells in response to long-chain fatty acids( Abstract_要旨 )Fujiwara, YutaFujiwara, Yuta. Carbonic anhydrase 8 (CAR8) negatively regulates GLP-1 secretion from enteroendocrine cells inresponse to long-chain fatty acids. 京都大学, 2021, 博士(医学)2021-07-26https://doi.org/10.14989/doctor.r13429許諾条件により本文は2022-02-03に公開京都大学 博士（ 医 学 ） 氏 名 藤 原 雄 太 論文題目 Carbonic anhydrase 8 (CAR8) negatively regulates GLP-1 secretion from enteroendocrine cells in response to long-chain fatty acids（炭酸脱水酵素8(CAR8)は腸管内分泌細胞からの長鎖脂肪酸応答性GLP-1分泌を負に制御する) （論文内容の要旨） 【背景】Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) は下部小腸・大腸に多く分布するプレプログルカゴン発現(PPG)細胞から栄養素摂取に応答して分泌される消化管ホルモンであり、インスリン分泌促進作用を含め血糖降下に働く多くの生理的作用を有している。各種栄養素に対する PPG 細胞からの GLP-1 分泌制御機構に関しては不明な点が多い。PPG 細胞のシングルセル RNA シーケンスに関する既報で、PPG 細胞に発現する遺伝子の一つとして、小脳プルキンエ細胞や後根神経節ニューロンにおいて、イノシトール三リン酸 (IP3)と小胞体膜上の IP3受容体との結合阻害を介して細胞内 Ca2+濃度の制御に関与することが知られる炭酸脱水酵素 8 (carbonic anhydrase 8; CAR8)が挙げられている。細胞内 Ca2+動態は GLP-1 分泌においても重要と考えられるため、GLP-1 分泌制御機構への Car8 の関与について検討した。  【方法】①PPG 細胞での CAR8 の発現を確認するため、PPG 細胞が蛍光緑色タンパク(GFP)で標識された glucagon (Gcg)-GFP knock-in（Gcggfp/+）マウスの小腸から単離した PPG 細胞で RT-PCR を行うとともに、Gcggfp/+マウス腸管の免疫組織学的検討を行った。②腸管内分泌細胞株 STC-1 細胞を用いて、Car8 siRNA を用いた発現抑制下および発現ベクター導入による過剰発現下で、各種刺激に対する GLP-1 分泌を測定した。③ホスホリパーゼ C(PLC)阻害薬やプロテインキナーゼ A(PKA)阻害薬存在下で、Car8 発現抑制による脂肪酸刺激GLP-1 分泌の変化を評価した。④Car8 発現抑制下で脂肪酸刺激時 STC-1 細胞内 Ca2+濃度を測定した。⑤Car8 機能欠失型変異を有する Car8wdlマウスで、経口糖負荷および経口コーン油負荷時血中 GLP-1濃度を測定した。また、CAR8欠損が GLP-1 産生能や消化管運動に対して影響を及ぼす可能性を検討するため、Car8wdlマウスにおける腸管 GLP-1 含量および腸管蠕動を評価した。 【結果】PPG 細胞における Car8 mRNA 発現は非 PPG 細胞に比較して有意に高値であり、免疫染色でも Gcggfp/+マウス下部小腸では GFP と CAR8 が共染することを確認した。リノール酸やα-リノレン酸 (ALA) といった長鎖脂肪酸刺激による STC-1 細胞からの GLP-1 分泌は、Car8 発現抑制により増強され過剰発現により低下したが、短鎖脂肪酸、胆汁酸およびオレオイルエタノールアミドによる GLP-1 分泌は Car8 発現抑制による影響を受けなかった。Car8 発現抑制による長鎖脂肪酸刺激 GLP-1 分泌増強作用は、PKA 阻害薬によって影響を受けず PLC 阻害薬存在下では減弱した。また Car8 発現抑制により ALA 刺激時 STC-1 細胞内 Ca2+濃度の上昇が有意に増強した。さらに Car8wdlマウスの血中 GLP-1 濃度は、経口糖負荷時には野生型マウスと同等であったが、経口コーン油負荷時には野生型マウスに比べて有意に高値であった。Car8wdlマウスの腸管 GLP-1 含量および腸管蠕動は野生型マウスと差を認めなかった。 【結語】CAR8 は PLC/IP3/Ca2+経路を介して、PPG 細胞からの長鎖脂肪酸応答性 GLP-1 分泌の制御に関与することが示唆された。 （論文審査の結果の要旨）  Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) は、グルコースや脂肪といった栄養素摂取に応答して、腸管内分泌細胞（PPG 細胞：プレプログルカゴン発現細胞）から分泌され、インスリン分泌を促進するインクレチンであり、GLP-1分泌機序の解明は、内因性GLP-1分泌の増強を介した新規糖尿病治療薬の開発につながる可能性がある。本研究では、腸管から単離したPPG細胞において発現の高い炭酸脱水酵素 8 (carbonic anhydrase 8 : CAR8) の、GLP-1分泌における役割を検討した。 腸管内分泌細胞株 STC-1 細胞を用いた検討では、Car8 発現抑制によって長鎖脂肪酸刺激時の GLP-1 分泌が増強され、この増強効果はホスホリパーゼ C (PLC) 阻害薬の存在下で消失した。さらにCar8発現抑制下では、α-リノレン酸による細胞内Ca2+濃度上昇の増加を認め、CAR8がPLC/IP3/Ca2+経路を介してGLP-1分泌を調節することが示唆された。またCAR8を欠損するCar8wdlマウスは、野生型マウスと比較して、コーン油の経口投与に対するGLP-1分泌の有意な増加を示した。これらの結果からCAR8は長鎖脂肪酸応答性のGLP-1分泌を負に制御することが示され、CAR8阻害による食後GLP-1分泌増強の可能性を示唆している。 以上の研究は腸管内分泌細胞におけるGLP-1分泌制御機構の解明に貢献し代謝学及び糖尿病学の発展に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、令和３年６月１４日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

炭酸脱水酵素8(CAR8)は腸管内分泌細胞からの長鎖脂肪酸応答性GLP-1分泌を負に制御する

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/265168/2/yigar02233.pdf

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