京都大学新制・課程博士博士(医学)甲第23421号医博第4766号新制||医||1053(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 小濱 和貴, 教授 妹尾 浩, 教授 川口 義弥学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Tajima, Tetsuya

English

Kyoto University Research Information Repository

RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Post-transplant lymphoproliferativedisorders after liver transplantation: Aretrospective cohort study including 1,954transplants( Abstract_要旨 )Tajima, TetsuyaTajima, Tetsuya. Post-transplant lymphoproliferative disorders after liver transplantation: A retrospective cohort studyincluding 1,954 transplants. 京都大学, 2021, 博士(医学)2021-07-26https://doi.org/10.14989/doctor.k23421京都大学 博士（ 医学 ） 氏 名 田嶋 哲也 論文題目 Post-transplant lymphoproliferative disorders after liver transplantation: A retrospective cohort study including 1,954 transplants（肝移植後リンパ増殖性疾患（PTLD）の発症頻度、臨床病理学的特徴と予後規定因子） （論文内容の要旨） 【背景と目的】移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)は、臓器移植後に発生する最多悪性腫瘍の一つである。移植後患者のみに発生する稀少性に加え、悪性度が病理組織学的に多岐に渡るため、肝移植後 PTLD の発症頻度、臨床病理学的特徴や予後規定因子等は依然不明である。肝移植後 PTLD の臨床病理学的特徴を検証して予後因子を明らかにし、更に小児、成人別に特徴を比較・検証することを目的とした。 【対象と方法】京都大学医学部附属病院の肝移植累積 1,954 例/1,849 人(1990年 6 月〜2020 年 3 月、生体/脳死：1,874/80 例、小児[＜18 歳]/成人: 886/963人)を後方視的に解析した。70 人(3.8%)に 79 病変(4.3%)を認め、同一患者の異時性発生 9 病変、剖検時の 3 偶発病変を除く 67 人(全て生体肝移植後)を解析対象とした。年齢、性別、原疾患、腫瘍径、節外病変の有無、EBV 感染状態、Performance Status (PS)、Ann Arbor 分類、国際予後指数(IPI)、病理診断などを解析項目とした。 【結果】肝移植後 PTLD の発症は、小児 45 人(5.1%)、成人 22 人(2.3%)と小児で多く(P <0.001)、発症までの期間は、全コホートで中央値 23 ヶ月(四分位範囲: 5–53)、小児 14 ヶ月(4–32)、成人 57 ヶ月(25–111)と小児で有意に早かった(P =0.002)。前期(1990〜2005 年)、後期(2006〜2020 年)別の検討では、タクロリムスの血中濃度が有意に高値(P <0.001)であった小児前期において後期よりも PTLD 発症が多い傾向にあった(P =0.06)。成人では前期と後期で有意な差異は認めなかった。PTLD 発症例は非発症例に比し有意に予後不良で (P <0.001)、3/5/10 年生存率は全体で 74/66/58%、小児 : 81/79/71%、成人 : 61/38/28%と成人で有意に不良であった(P =0.005)。PTLD 関連死に対する単/多変量解析では, 診断時年齢 18 歳以上(HR: 11.2, 95%信頼区間: 2.63–47.4, P =0.001)、診断時 PS ≥2 (6.77, 1.56–29.3, P =0.01)、monomorphic 型(6.78, 1.40–32.9, P =0.02)が独立予後不良因子として同定され、これら 3 因子を組合せた LT-PTLD Score により患者生存(P =0.003)、無増悪生存(P <0.001)は有意に階層化された。小児と成人別の解析では , 小児 : 診断時 PS ≥ 2 (9.64, 1.07–86.8, P = 0.04)、monomorphic 型(13.7, 1.51–124.2, P = 0.02)が予後規定因子であり、成人: 診断時 PS ≥ 2 (3.69, 0.89–15.4, P = 0.07)、monomorphic型(4.71, 0.87–25.5, P = 0.07)も同様の傾向であった。 【結論】PTLD は肝移植患者の 3.8%に発症し、有意に予後を悪化させた。診断時年齢 18 歳以上、PS ≥ 2、monomorphic 型が独立予後因子であり、これら3 因子から構成される LT-PTLD Score により予後予測が可能であり、化学療法を含めた治療選択に有用と考えられる。  （論文審査の結果の要旨） 移植後リンパ増殖性疾患（PTLD）は、臓器移植後に発生する最多の悪性腫瘍の一つであり、その病態と予後因子の解明は重要な課題である。本学位申請者は、京都大学医学部附属病院で施行された 30 年、1,954 例に及ぶ肝移植例を後方視的に解析し、67 例（小児 [<18 歳]：45 例、成人：22 例）の PTLD 患者を対象に、その臨床病理学的特徴と予後因子の検討を行った。 PTLD 併発は肝移植後レシピエントの予後を有意に悪化させた。発症までの期間は小児で有意に早く、小児の 6 割超が移植後 2 年以内に発症していた。前期（1990〜2005 年）では、小児でタクロリムス血中濃度が有意に高く PTLD発症の誘因となったことが示唆されたが、成人では有意な差異は認めなかった。予後因子の解析では、診断時年齢 18 歳以上、診断時 performance status ≥ 2、monomorphic PTLD が予後規定因子となり、小児、成人別でも同様の傾向であった。それら 3 因子から構成される LT-PTLD Score により予後の階層化が可能であり、ハイリスクな肝移植後 PTLD 患者への迅速かつ適切な治療介入を行う上で有効な指標になると考えられた。  以上の研究は肝移植後 PTLD の病態と予後因子の解明に貢献し、今後の小児・成人肝移植の成績向上に寄与するところが多い。  したがって、本論文は博士（ 医学 ）の学位論文として価値あるものと認める。  なお、本学位授与申請者は、令和 3 年 6 月 11 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。  要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

肝移植後リンパ増殖性疾患（PTLD）の発症頻度、臨床病理学的特徴と予後規定因子

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/265193/2/yigak04766.pdf

肝移植後リンパ増殖性疾患（PTLD）の発症頻度、臨床病理学的特徴と予後規定因子

Abstract

Similar works

Full text

Available Versions

Kyoto University Research Information Repository