京都大学新制・課程博士博士(工学)甲第23201号工博第4845号新制||工||1757(附属図書館)京都大学大学院工学研究科電気工学専攻(主査)教授 引原 隆士, 教授 松尾 哲司, 特定教授 中村 武恒学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDFA

Hashimoto, Kazuki

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Analysis and Design of Air-Core TransformerBased on Internal Magnetic Flux DensityDistribution for High-Frequency PowerConverter( Abstract_要旨 )Hashimoto, KazukiHashimoto, Kazuki. Analysis and Design of Air-Core Transformer Based on Internal Magnetic Flux Density Distributionfor High-Frequency Power Converter. 京都大学, 2021, 博士(工学)2021-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k23201許諾条件により本文は2022-03-23に公開京都大学 博士（工学） 氏名 橋本 和樹 論文題目 Analysis and Design of Air-Core Transformer Based on Internal Magnetic Flux Density Distribution for High-Frequency Power Converter   (高周波電力変換回路のための内部磁束密度分布に基づく空芯トランスの解析と設計)  （論文内容の要旨）  本論文は，電力変換回路の小型・集積化に向けた高周波電力変換回路用空芯トランスの解析を行い，その設計指針を提案したものである．特に，空芯トランスの高周波特性に関して，空芯部の磁束密度分布の測定手法を開発し，得られた測定結果と合わせて行った解析結果に基づきその等価回路モデルを導くと共に，高周波電力変換回路に実装を行ったものである．本論文は 7 章からなっている．   第 1 章は序論であり，研究の背景，意義，関連研究の状況および論文の構成を述べている．特に，空芯トランスの高周波特性の解析が高周波電力変換回路の実現において重要であることを指摘している．  第２章では，本論文で対象とする空芯トランスの構造と周波数特性について述べている．空芯トランスの構造はトロイダルで，1 次側巻き線の間に 2 次側巻き線がとじ込まれるように巻かれている．周波数特性はインピーダンスアナライザによって測定されるが，周波数特性と構造の関係を調べるために，巻き線の被覆率と 1 次側と 2 次側巻き線の端子間の相対角度をそれぞれ変更できる複数の空芯トランスを製作した．それぞれの空芯トランスの周波数特性を比較することで，空芯トランスの高周波特性の解析には，トランスの寄生容量と空芯部の磁束密度分布に基づく検討が必要であることを指摘した．  第３章では，第２章で得られた周波数特性について，再現可能な空芯トランスの高周波等価回路を提案している．等価回路はトランスの自己インダクタンスと相互インダクタンスに加え，第２章の結果より寄生容量の考慮として相互キャパシタンスを組み込んでいる．また，結合伝送線路とのアナロジーから分布定数回路として等価回路を構築することで，端子間の相対角度も考慮できる等価回路となっている．提案する等価回路は，集中定数回路で表現された等価回路の結果との比較に基づき，妥当性を示すと共に，相互容量を分布的に考慮することが重要であることを示した．また，この等価回路は，巻き線の被覆率および端子間の相対角度に対する周波数応答の変化をも，良好に再現できることを確認した．  第４章では，空芯トランスの内部磁束密度分布を測定する手法の開発を行っている．内部磁束密度分布は，空芯トランスに合わせて独自に製作した探りコイルを用いて測定することができる．１ MHz の正弦波励磁下における内部磁束密度分布を測定し，空芯トランスにおける磁束密度分布の非一様性が課題となることを示した．また，その妥当性をビオサバールの法則を用いた数値計算との比較から示した．また，高調波成分を含む電流 (三角波電流 )による励磁下の内部磁束密度の測定から，測定器の入力インピーダンスが測定波形に与える影響について議論している．これら一連の検討を通して，提案する手法により，高周波電力変換回路用空芯トランスの内部磁束密度分布が測定できることを示した．  第５章では，第４章の測定で確認された内部磁束密度の高周波振動について検討し京都大学 博士（工学） 氏名 橋本 和樹 ている．まず，空芯トランスと同じ条件で励磁された空芯インダクタの内部磁束密度と比較することで，発生した高周波振動が空芯トランス特有の現象であることを確認している．次に，高周波振動発生時の内部磁束密度の振幅の大小関係が低周波時とは異なることを示している．高周波振動は，空芯トランスの第２共振周波数と実験回路の寄生インダクタンスによって生じていることを実験的に確認している．これらより，空芯トランスの第２共振点の把握が，高周波電力変換回路の設計において重要であることを指摘した．  第６章では，空芯トランスを実装した高周波フライバックコンバータの動作解析と設計を行っている．空芯トランスをフライバックコンバータに実装するために，アクティブクランプ回路を付与している．５MHz の駆動周波数における電力変換効率が約６０％程度と低いことから，その原因を内部磁束密度による探りコイルの誘導起電力に基づき検討し，第５章の結果と関係づけて明らかにした．さらに，電力変換効率を向上させる２次側回路を提案し，その有効性を実験的に確認している．最後に，空芯トランス内に回転磁束が生じることを示し，高周波フライバックコンバータに実装した際に，その内部磁束密度はベクトル量として解析することの重要性と有効性を指摘した．  第７章は結論であり，本論文で得られた成果について要約するとともに，空芯トランスの高周波特性の設計指針を提示している．さらに，本研究の将来展望を述べている．   氏 名 橋 本 和 樹 （論文審査の結果の要旨）   本論文は，電力変換回路の小型・集積化に向けて，空芯トランスの解析および高周波電力変換回路への実装を行ったものであり，これら一連の検討を通して空芯トランスの高周波特性の設計指針を示すものである．本論文により得られた主な結果は以下に要約される． 1. トロイダル構造の空芯トランスの周波数特性を測定し，巻き線の被覆率と端子間の相対角度の変更に対する周波数特性の変化を明らかにした．これにより，空芯トランスの高周波特性の解析は，寄生容量と内部磁束密度分布に基づく考察が必要であることを示した． 2. 上述の検討に基づき，空芯トランスの高周波等価回路を，結合伝送線路とのアナロジーに基づき提案した．提案した等価回路により，空芯トランスの高周波特性は分布定数回路で表現することが適切であることを明らかにした． 3. 空芯トランスの内部磁束密度分布の測定手法を確立した．これは，これまでトランスの内部磁束密度分布の詳細な実験データが少ないことから，考慮されてこなかった特性への影響を検討することを可能とする．その結果，１MHz の正弦波励磁下における内部磁束密度分布を実験的に明らかにした．また実験においては，励磁波形の高調波成分の測定には測定器の入力インピーダンスを考慮する必要性を示した． 4. 空芯トランスの第２共振周波数に起因する内部磁束密度の高周波振動は，低周波時と振る舞いが異なることを実験的に明らかにした．具体的には，空芯トランスの第２共振周波数で振動する磁束密度は，低周波時の磁束密度の振幅と大小関係が逆転することを明らかにした． 5. 空芯トランスを実装した高周波フライバックコンバータは，空芯トランスと２次側に接続される回路によって決まる第２共振周波数に起因する高周波振動により，電力変換効率が低下することを明らかにした．この問題を回避する回路を提案し，その有効性を実証した．また，高周波フライバックコンバータの空芯トランスの内部に回転磁束が生じることを，実験的に示した． 6. 一連の成果を統合し，空芯トランスの高周波特性の設計指針を提案した． 上記のように本論文は，高周波電力変換回路における空芯トランスの解析手法と内部磁束密度の計測法の開発を行い，空芯トランスの高周波特性の解析，電力変換回路への実装を行い，空芯トランスの設計指針を示したものである．課題の設定、検討方法の提案および得られた成果は極めて独創的であって，学術上，実際上寄与するところが少なくない．よって，本論文は博士（工学）の学位論文として価値あるものと認める．また，令和３年１月２９日，論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果，申請者が博士後期課程学位取得基準を満たしていることを確認し，合格と認めた．  

高周波電力変換回路のための内部磁束密度分布に基づく空芯トランスの解析と設計

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/263662/2/ykogk04845.pdf

高周波電力変換回路のための内部磁束密度分布に基づく空芯トランスの解析と設計

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