京都大学新制・課程博士博士(工学)甲第23217号工博第4861号新制||工||1759(附属図書館)京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻(主査)教授 作花 哲夫, 教授 安部 武志, 教授 佐藤 啓文学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDGA

Hashimoto, Kota

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Inverse analysis of the structures of the liquid moleculesand colloidal particles near the solid-liquid interfaces: therelation between the number density distribution and theexperimental force curve( Digest_要約 )Hashimoto, KotaHashimoto, Kota. Inverse analysis of the structures of the liquid molecules and colloidal particles near the solid-liquidinterfaces: the relation between the number density distribution and the experimental force curve. 京都大学, 2021, 博士(工学)2021-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k23217学位規則第9条第2項により要約公開   京都大学 博士（工学） 氏名 橋 本 康 汰 論文題目 Inverse analysis of the structures of the liquid molecules and colloidal particles near the solid-liquid interfaces: the relation between the number density distribution and the experimental force curve （固液界面における液体分子とコロイド粒子の構造の逆解析: 数密度分布と実験のフォースカーブの関係） （論文内容の要旨）  本論文は、原子間力顕微鏡 (AFM)や表面間力測定装置 (SFA)で測られるフォースカーブから、固液界面で液体分子やコロイド粒子が構成する層状構造の情報を得る手法について論じた結果をまとめたものであって、序論、５章の本論、および結論（第６章）からなっている。  序論では、層状構造についての理論的な背景、計算手法、実験的測定手法、既存のフォースカーブから数密度分布を計算する手法等について解説している。   第１章では、フォースカーブから数密度分布を計算する新たな手法を提案している。基板―粒子間二体ポテンシャルと探針―粒子間二体ポテンシャルが同じであるという仮定の元に、積分方程式理論の一つであるOrnstein-Zernike方程式からフォースカーブと数密度分布の関係を導出している。この関係式を数値的に解く手法を提案し、フォースカーブから数密度分布が剛体プローブを仮定する従来の手法 (HPA)と比べて正確に計算できることを示している。基板―粒子間二体ポテンシャルと探針―粒子間 二 体 ポ テ ン シ ャ ル が 同 じ で あ る と い う 仮 定 は SFA や コ ロ イ ド プ ロ ー ブAFM(CP-AFM)において基板と探針の材質が同じであるときに満たされる。SFAにおいて液体分子由来のなめらかなフォースカーブは得られていないため、この手法はコロイド粒子由来のフォースカーブから、コロイド粒子の数密度分布を得るのに用いることができる。HPAと比べて、新しい手法はフォースカーブの他に粒子の動径分布関数が必要である。粒子の動径分布関数とフォースカーブから計算した数密度分布から、基板―粒子間二体ポテンシャルが計算できることも示している。   第２章では、第１章で提案した手法を用いて、 SFAフォースカーブを数密度分布に変換している。Parker  et al.  (Phys. Rev. Lett. ,  68, 1955 (1992))はヘプタン中に少量の水と界面活性剤 sodium bis(2-ethylhexyl)sulfosuccinate  (AOT)を含む系でフォースカーブを測定している。基板はマイカであるが、AOTの単分子膜に覆われている。また、AOTは逆ミセルを形成しており、基板上のAOT逆ミセルの層状構造を反映したフォースカーブが報告されている。本研究では、このフォースカーブから第一章の手法を用いてAOT単分子膜基板上のAOT逆ミセルの数密度分布を求めている。また、得られた数密度分布と平板間圧力の形状が似ていることを指摘している。従来の手法であるHPAに基づくと数密度分布と平板間圧力の形状が一致することを明らかにし、平板間圧力に比例する量であるフォースカーブの微分の逆符号が数密度分布の推定に使える可能性を提案している。さらに、AOT単分子膜基板―AOT逆ミセル二体ポテンシャルも計算している。  京都大学 博士（工学） 氏名 橋 本 康 汰 第３章では、第１章で提案した手法を用いて、AFMフォースカーブを数密度分布に変換している。PiechとWalz (J. Colloid Interface Sci.  253, 117 (2002))は水中にポリスチレン粒子あるいはシリカ粒子を含む系で複数のフォースカーブを測定している。基板と探針はともにシリカである。これらのフォースカーブを第１章の手法で数密度分布に変換している。また、シリカ基板―ポリスチレン粒子二体ポテンシャルやシリカ基板―シリカ粒子二体ポテンシャルを求めている。得られた数密度分布や二体ポテンシャルをシリカ基板のゼータ電位から求めた結果と比較し、両方の手法から求めた結果が近いことから、正確に数密度分布や二体ポテンシャルが求められていると結論づけている。PiechとWalzは 2種類の粒子を混合した系におけるフォースカーブも測定している。本研究では、この系におけるフォースカーブを、第一章の手法で計算した二体ポテンシャルから計算し、実験結果と比較することで、数密度分布や二体ポテンシャルの正確さの検証をしている。第２章と同様に、数密度分布と平板間圧力の形状が一致するため、平板間圧力に比例する値であるフォースカーブの微分の逆符号が数密度分布の推定に使える可能性を提案している。  第４章では、コロイド粒子の多分散性が数密度分布やフォースカーブに与える影響について検討している。剛体壁上の多分散の剛体球の数密度分布とフォースカーブをOrnstein-Zernike方程式を用いて計算している。また朝倉―大澤理論を用いて、多分散性の剛体球の圧力の式を導出している。この圧力の式が単分散剛体球に対する多分散剛体球の圧力の比を正確に表現できることを示している。フォースカーブの波長は多分散性が増加するにつれて長くなることが従来から知られている。この波長と、多分散性を表現する変数との間に、単純な一次式の関係が成立することを発見している。Ornstein-Zernike方程式から計算した数密度分布と、フォースカーブからHPAを用いて計算した数密度分布の比較を行っている。多分散性が増加しても、HPAで計算した数密度分布の正確さはあまり変わらないことを明らかにしている。  第５章では、液体分子中のAFMのフォースカーブを積分方程式理論の一つであるRISM方程式を用いて計算している。探針と基板の親溶媒性、液体分子の形状、および探針の大きさを変えたときのフォースカーブの変化を調べている。探針の親溶媒性の方が基板の親溶媒性よりもフォースカーブや数密度分布への影響が大きくなる可能性を示している。また、どのような種類の探針が数密度分布の変化をより反映するフォースカーブを生成するかについても検討を行い、疎溶媒探針が親溶媒探針と比べてより数密度分布を反映したフォースカーブを生成することを明らかにしている。その一方、親溶媒探針の方が振幅が大きいため、実験において高いS/N比でフォースカーブが得られる可能性を見出している。また、フォースカーブよりもフォースカーブの微分の逆符号が数密度分布を反映することを示している。これはHPAに基づくと平板間圧力と数密度分布が比例していることと対応している。  第６章は結論であり、本論文で得られた成果について要約している。    

固液界面における液体分子とコロイド粒子の構造の逆解析:数密度分布と実験のフォースカーブの関係

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