京都大学新制・課程博士博士(工学)甲第23389号工博第4881号新制||工||1763(附属図書館)京都大学大学院工学研究科分子工学専攻(主査)教授 田中 庸裕, 教授 今堀 博, 教授 佐藤 徹学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDFA

Wang, Shuying

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Development of Photocatalysts and DualCocatalysts for Selective Carbon DioxideConversion Using Water as the Reductant(Abstract_要旨 )Wang, ShuyingWang, Shuying. Development of Photocatalysts and Dual Cocatalysts for Selective Carbon Dioxide Conversion UsingWater as the Reductant. 京都大学, 2021, 博士(工学)2021-05-24https://doi.org/10.14989/doctor.k23389許諾条件により要旨は2021-06-01に公開 - 26 - 京都大学 博士（工学） 氏名 王   書 英 論文題目 Development of Photocatalysts and Dual Cocatalysts for Selective Carbon Dioxide Conversion Using Water as the Reductant（水を還元剤として用いた選択的二酸化炭素変換のための光触媒及び二元系助触媒の開発） （論文内容の要旨） 本博士学位論文は，選択的に二酸化炭素（CO2）を一酸化炭素（CO）へと変換する不均一系光触媒および助触媒の合成・特性評価・光触媒活性評価に関する一連の研究をまとめており，1 編 5 章から構成される．本研究の主目的は CO2 の光還元に活性を示す光触媒および助触媒を見出すことである．CO2 の光還元において H2O を電子源として利用するためには，競争的に進行する H2O の光還元による水素生成を抑制する必要がある．本研究では，選択的に CO2 の光還元のみ進行可能な光触媒材料の探索および助触媒材料の開発を中心に行っており，その概要は以下の通りである．   第 1 章では Al をドープした SrTiO3（Al-SrTiO3）を用いた H2O を電子源とする CO2の光還元を行った．Al-SrTiO3 はこれまでに見出された光触媒群とは異なり，300 nm 以上の波長の光照射下でも駆動する光触媒である．フラックス法で合成した Al-SrTiO3 に助触媒として Ag を修飾させると，H2O を電子源とする CO2 の光還元に活性を示した．焼成温度および焼成時間を検討した結果，1423 K で 15 時間焼成したサンプルが最も高い活性（CO の生成速度： 5.5 μmol h− 1）および CO への選択性（98.8%）を示すことを見いだした．この反応においては量論量の O2 の生成も確認できたため，H2O が電子源として機能していると結論した．さらに，助触媒の Ag の修飾方法についても検討を行い，化学還元法によって Ag を修飾すると，含侵法や光電析法に比べて安定に生成物が生成することを明らかにした．Al のドーピングおよび Ag 助触媒の修飾によって SrTiO3の電荷分離能が向上したために活性が大幅に向上したと考えられる．   第 2 章では，Al をドープした SrTiO3（Al-SrTiO3）を用いた H2O を電子源とする CO2の光還元において，ドーパントである Al の量について検討を行った． 4 mol%の Al をドープした SrTiO3 が最も高い活性（CO の生成速度： 7.2 μmol h− 1）および CO への選択性（98.0%）を示すことを見いだした． 13CO2 を用いた同位体実験の結果から， 13COのみが生成されたため，気相より導入した CO2 が CO へ還元されたと結論した．SEM像の観察結果より，本研究で合成した SrTiO3 は立方体状の粒子であった．一方，Al をドープすると {100}面に加えて {110}面が露出して，ナノステップ状の構造が観察された．XPS でのスパッタリングの結果より，Al 種はバルク内部より表面に偏析している京都大学 博士（工学） 氏名 王   書 英 ことが明らかとなった．   第 3 章では，CO2 還元加えて，H の助触媒として機能している Ag 助触媒に H2O 酸化の助触媒としてよく知られている Co 種を Al-SrTiO3 に修飾させ，H2O を電子源とするCO2 の光還元の検討を行った．Ag と Co を共修飾した Al-SrTiO3 は Ag のみを修飾したAl-SrTiO3 に比べて 10 倍以上の CO 生成速度を示した（ 52.7 μmol h− 1）．さらに選択率はほぼ 100%であった．このときの量子収率は 365 nm の波長において 0.03%であった．各種の特性評価の結果から，Ag 金属ナノ粒子が {100}面に，CoOOH が {110}面に選択的に析出されるため，CO2 還元サイトと H2O 酸化サイトを分離することができ，結果として活性が向上したと結論した．   第 4 章では，二元系助触媒に着目して，Ag ともう一種類の金属（Fe，Co，Ni，Pt）を Al-SrTiO3 に修飾させ，H2O を電子源とする CO2 の光還元の検討を行った．その結果，第 3 章で見出した Ag-Co に加えて，Ag-Fe 二元系助触媒を見出した．Ag と Fe の修飾量の最適化を行い， Ti に対して 2.0 mol%の Ag，0.85 mol%の Fe を Al-SrTiO3 に加えたときに最も高い活性を示した．このときの H2O を電子源とする CO2 の光還元におけるCO 生成速度は 38.2 μmol h− 1 であり，CO への選択率は 99.3%であった．X 線光電子スペクトルおよび X 線吸収スペクトルの測定結果から，FeOOH 助触媒も CoOOH 助触媒と同様に Al-SrTiO3 の {110}面に特異的に析出していることを明らかにした．   第 5 章では，H2O を電子源とする CO2 の光還元において，ZnTa2O6 に Zn を修飾した光触媒が高い CO 生成速度及び CO への選択性を示すことを明らかにした．ZnTa2O6 はH2O を電子源とする CO2 の光還元に活性を示す光触媒として知られていたが，CO への選択性が 50％以下であり，CO2 の還元より H2O の還元が優先的に進行する．ZnTa2O6に 10 mol%の Zn 種を含侵担持すると CO への選択性が 90.0%に向上した．Zn 種は表面上にアモルファス形状の ZnO として薄い層を形成しているか，ZnTa2O6 へ侵入型固溶しているかのいずれかもしくは両方であると考えている．このような Zn 種は ZnTa2O6の表面上に存在すると考えられる H2 の生成サイトを選択的に減少させると考えており，結果として CO への選択性が向上したと結論した．    氏 名 王   書 英 （論文審査の結果の要旨）  本博士学位論文は，選択的に二酸化炭素（CO2）を一酸化炭素（CO）へと変換する不均一系光触媒および助触媒の合成・特性評価・光触媒活性評価に関する一連の研究成果であり，主な成果は以下の通りである．   1. Ag ドープ SrTiO3 光触媒を用いた H2O を電子源とする CO2 光還元   フラックス法を用いて Al をドープした SrTiO3 光触媒（Al-SrTiO3）に Ag を修飾すると H2O を電子源とする CO2 の光還元が進行することを見出した．Al をドープすると {100}面に加えて {110}面が露出して，ナノステップ状の構造が形成されることを明らかにした．助触媒である Ag 金属ナノ粒子は選択的に{100}面に修飾されていた．すなわち，還元と酸化のそれぞれに寄与する活性点を分離することができ，結果として高い活性を示すと結論した．   2. 二元系助触媒による活性向上   H2O を電子源とする CO2 の光還元において極めて効果的に機能する Ag-Co およびAg-Fe 二元系助触媒を見出した．これらの二元系助触媒を Al-SrTiO3 に修飾するとAg のみを修飾した Al-SrTiO3 に比べて飛躍的に CO の生成速度が向上した．各種の特性評価の結果より，Co および Fe はそれぞれオキシ水酸化コバルト（CoOOH）およびオキシ水酸化鉄（FeOOH）として，Al-SrTiO3 の{110}面に選択的に修飾されることを明らかにした．その結果，CO2 還元サイトとして機能する Ag 金属ナノ粒子と H2O 酸化サイトとして機能する CoOOH および FeOOH をそれぞれ {100}面と{110}面に分離することができ，結果として活性が向上したと結論した．   3. Zn 修飾による CO への選択性の向上   H2O を電子源とした CO2 の光還元と競争的に進行する H2O の光分解による水素生成を抑制する手段として，ZnTa2O6 光触媒に Zn(NO3)2 を含浸担持し，高温で焼成した後，Ag を修飾した光触媒が高い CO への生成速度および CO への選択率を示すことを見出した．いくつかの対照実験を行い，この反応には，光触媒・光照射・二酸化炭素・助触媒（Ag）・添加剤（NaHCO3）が必須であることを見出した．特性評価の結果，ZnTa2O6 上の Zn 種として 2 つの構造を提案した．   本論文は，新規の CO2 の光還元システムの構築に成功し，また光触媒活性の大幅な向上を達成した．単に活性の高い光触媒系を見出すだけではなく，反応メカニズムの解明にも大きく貢献しており，得られた研究結果は学術上，実際上寄与するところが少なくない．よって，本論文は博士（工学）の学位論文として価値あるものと認める．また，令和 3 年 4 月 19 日，論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果，申請者が博士後期課程学位取得基準を満たしていることを確認し，合格と認めた. 要旨公開可能日： 令和 3年 6月 1日以降 

水を還元剤として用いた選択的二酸化炭素変換のための光触媒及び二元系助触媒の開発

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/264670/2/ykogk04881.pdf

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