京都大学新制・課程博士博士(工学)甲第23160号工博第4804号新制||工||1751(附属図書館)京都大学大学院工学研究科分子工学専攻(主査)教授 関 修平, 教授 今堀 博, 教授 梶 弘典学位規則第4条第1項該当Doctor of Philosophy (Engineering)Kyoto UniversityDFA

Zhang, Wanying

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Comprehensive Study on Fluorescent ESIPTLiquid Crystal Materials and the Potential forOptoelectronic Applications( Abstract_要旨 )Zhang, WanyingZhang, Wanying. Comprehensive Study on Fluorescent ESIPT Liquid Crystal Materials and the Potential forOptoelectronic Applications. 京都大学, 2021, 博士(工学)2021-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.k23160許諾条件により要旨は2021-04-01に公開; 1.“Highly fluorescent liquid crystals from excited state intramolecular protontransfermolecules”, Wanying Zhang, Tsuneaki Sakurai, Mika Aotani, Go Watanabe, Hiroyuki Yoshida, Vikas S. Padalkar,Yusuke Tsutsui, Daisuke Sakamaki, Masanori Ozaki and Shu Seki, (Advanced Optical Materials, December 2018, Volume7, Issue 2, pp 1801349) doi: 10.1002/adom.201801349. 2.“Highly miscible hybrid liquid crystal systems containingfluorescent excited state intramolecular proton transfer molecules”, Wanying Zhang, Satoshi Suzuki, Seong Cho, GoWatanabe, Hiroyuki Yoshida, Tsuneaki Sakurai, Mika Aotani, Yusuke Tsutsui, Masanori Ozaki and Shu Seki, (Langmuir,October 2019, Volume 35, Issue 43, pp 14031-14041) doi: 10.1021/acs.langmuir.9b02272.3.“Extended conjugation ofESIPT type dopants in nematic liquid crystalline phase for enhancing fluorescence efficiency and anisotropy ...京都大学 博士（  工  学） 氏名 張 婉瑩(ZHANG WANYING) 論文題目 Comprehensive study on fluorescent ESIPT liquid crystal materials and the potential for optoelectronic applications（蛍光性 ESIPT 液晶材料の光電子機能性に関する研究） （論文内容の要旨）  本論文では，励起状態分子内プロトン移動（ Excited State Intramolecular Proton Transfer: ESIPT）と凝集誘起発光増強（Agrregation Induced Emission Enhancement: AIEE）の特性を併せ持つ 2-(2-hydroxyphenyl)benzothiazole  （HBT）誘導体とネマチック液晶ホスト混合物での液晶挙動，光学特性，さらにはオプトエレクトロニクスデバイスとしての可能性を包括的に評価した．本論文はその結果をまとめたもので，全四章から構成されている．  第一章では，ESIPT 特性と AIEE 特性を具有する HBT 誘導体として，フェニルまたはヘキシル修飾 HBT 誘導体（C6Ph-HBT と Ph-HBT）を設計し，合成した． C6Ph-HBTは，0.39 という高い蛍光量子収率（Φ FL）と液晶特性を示し，典型的なネマチック相では異方性発光を確認した．最適分子構造下での HBT 誘導体は，室温でホスト液晶と非常に混和性が高くなることを明らかとした．C6Ph-HBT をゲスト色素分子とし，ホスト液晶に 4-Cyano-4'-pentylbiphenyl（ 5CB）を選択すると，最大 6wt％の混合下で分子分散状態を維持し，Φ FL〜 0.27 の強い ESIPT 発光を示すことを明らかとした．5CB との混合物は可視領域で透明かつ室温で異方性蛍光を保持しており，さらに電場応答性を示すことから分子配向の制御も容易であることを指摘した．  第二章では，量子化学計算と蛍光寿命測定から C4-C≡C-HBT の高い蛍光発光特性に対する共役の影響を議論している．  励起状態において，ESIPT 過程後のケト型からねじれたケト型へのエネルギー障壁はアルキン修飾 HBT において顕著に上昇し，この結果励起エネルギーの無輻射過程を抑制していることを指摘した． C4-C≡ C-HBT はthermotropic 挙動を示さないが，分子混合系としては極めて高い最大 14 wt％の混合条件においても 5CB 中によく分散し，ここでは 0.32 という大きなΦ FL を示した．また，偏光蛍光強度は外部電場および UV 照射で制御可能であって，混合物においてこの蛍光強度制御によるパターン現出が可能であることを示した．   第三章では，第二章の結果に基づき，フェニレン -エチニレンユニットによる拡張共役が蛍光および液晶挙動に及ぼす影響について， 2 つの新規 HBT 誘導体である C5P-C≡C-HBT および C8P-C≡C-HBT を設計・合成し検討を進めた．これらの 2 つの化合物は， 120℃を超える温度でネマチック液晶相を示し，結晶状態で約 0.30 の程度のΦ FLを与えた．非プロトン性溶媒中でも約 0.20 に至る比較的高い蛍光量子収率が得られたが，これは量子化学計算によってエノールとケト互変異性化における大きなエネルギー障壁に由来することを指摘した．同時に 5CB と C5P-C≡C-HBT の混合物は，外部電界によって制御可能な偏光吸収および発光を示すことも明らかとした．  第四章では，室温ネマチック相での AIEE 活性と ESIPT 性を両立させた分子の設計に成功している．C5Ph-HBT と 5CB の混合状態での濃度消光 /自己吸収を抑制し，さらに液晶相で AIEE と ESIPT の協奏を実現させることで，励起エネルギー緩和過程における 4 準位システムを達成した．また，蛍光における自然放射増幅（ Amplified Spontaneous Emission: ASE）を観測し，励起におけるエネルギー閾値が 20 mJ cm−2 であった．ネマチック相の電場応答を利用し，C5Ph-HBT からの ASE による増幅光を外部電場よって変調可能であることを同時に示した．  ESIPT-AIEE 蛍光性と ASE スイッチングを室温で同時に達成できる材料として高い新規性が認められる．  京都大学 博士（  工  学） 氏名 張 婉瑩(ZHANG WANYING) （論文審査の結果の要旨）  本論文では，励起状態分子内プロトン移動（ESIPT）と凝集誘起発光増強（AIEE）の特性を同時に示す HBT 誘導体の設計を端緒とし，この光学特性の変調と制御を目的として，室温ネマチック液晶分子をホストとした 2 元混合物における液晶挙動の定量的評価から，光学特性の精密評価と刺激応答特性について系統的に議論したものであり，本研究により得られた主要な結果をもとにした審査結果は次のとおりである．   １．可視光域における高い透明性を維持しつつ凝縮相における効率的な蛍光発光を協奏させる分子システムとして設計したフェニルまたはヘキシル修飾 HBT 誘導体（C6Ph-HBTと Ph-HBT）は，期待する光学特性を十分に発現した．特に  C6Ph-HBT は，十分に高い蛍光量子収率（Φ FL）と液晶特性を具有しつつ，典型的なネマチック相を発現し，ESIPT分子の液晶相が十分に分子設計指針を満足すること明らかとした．同時に混合液相相の形成において， 5CB と高い混和性を示しつつ蛍光量子効率を維持するための分子設計指針について，本論文の審査過程で改めて確認された．    ２．C4-C≡C-HBT の高い蛍光発光特性に対する共役の影響の議論において，量子化学計算が妥当な機能予測結果と推定機構を与えることを，実測との対比において確認した．特に光励起下水素移動を伴う ESIPT 過程の後段階において，ケト型初期構造からねじれたケト型へのエネルギー障壁が，HBT ユニットに対する電子共役拡張により増大し，結果的に無輻射過程を抑制するという知見は，今後の ESIPT 分子における蛍光増強のための分子設計に大きく資することを確認した．   ３．２の知見に基づき，拡張共役が蛍光および液晶挙動に及ぼす影響を鑑みて設計した新規 HBT 誘導体が示した 120℃を超える温度でネマチック液晶相と，結晶状態・非プロトン性溶媒中における高いΦ FL は，その機構解明においてエノール‐ケト互変異性化の際の大きなエネルギー障壁によるとの推定，またこの仮説の量子化学計算による支持は，上述２．の分子設計指針に加え，これと協奏し得る新たな展開を示唆するものと認められた．   ４．一連の研究において開発された ESIPT 誘導体は，その多くが室温ネマチック液晶分子と良い混和性を示し，ホスト―ゲスト型混合液晶における高い混和性と分子分散性・AIEE 性を自由に制御するための分子設計を与えただけでなく，一例として外部電界による蛍光強度・偏光特性を制御可能であることを示したことは，今後の材料展開において重要な知見であると認められる．特に審査においては，光学不斉 ESIPT 分子の設計とキラル・ネマチック相ホストとの組み合わせによる，今後の研究発展に関わる重要な指摘がなされた．    氏 名 張 婉瑩(ZHANG WANYING)  本論文は，蛍光性 ESIPT 分子が今後の外部刺激応答性を示す自発光型材料として有望であることをしめすものであり，学術上，実際上寄与するところが少なくない．よって，本論文は博士（工学）の学位論文として価値あるものと認める．また，令和３年１月２１日，論文内容とそれに関連した事項について試問を行って，申請者が博士後期課程学位取得基準を満たしていることを確認し，合格と認めた．  なお，本論文は，京都大学学位規程第１４条第２項に該当するものと判断し，公表  に際しては当該論文の全文に代えてその内容を要約したものとすることを認める．                              要旨公開可能日：  ２０２１年  ４月  １日以降 

蛍光性ESIPT液晶材料の光電子機能性に関する研究

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/263621/2/ykogk04804.pdf

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