京都大学新制・論文博士博士(農学)乙第13409号論農博第2892号新制||農||1085(附属図書館)学位論文||R3||N5319(主査)教授 吉村 剛, 教授 藤井 義久, 教授 杉山 淳司学位規則第4条第2項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

Sugio, Koji

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京都大学新制・論文博士博士(農学)乙第13409号論農博第2892号新制||農||1085(附属図書館)学位論文||R3||N5319(農学部図書室)(主査)教授 吉村 剛, 教授 藤井 義久, 教授 杉山 淳司学位規則第4条第2項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Damage on living trees and ecologicalcharacteristics of the Ryukyu drywoodtermite, Neotermes sugioi Yashiro inOkinawa Island( Abstract_要旨 )Sugio, KojiSugio, Koji. Damage on living trees and ecological characteristics of the Ryukyu drywood termite, Neotermes sugioiYashiro in Okinawa Island. 京都大学, 2021, 博士(農学)2021-03-23https://doi.org/10.14989/doctor.r13409許諾条件により本文は2022-01-01に公開; "Distributional range of a dry-wood termite, Neotermes koshunensis (Shiraki)(Isoptera, Kalotermitidae), and its relationship with soil type on Okinawa-Jima Island" Sugio K, Miyaguni Y ("Japanesejournal of environmental entomology and zoology” July 2017, 28: 169-172) doi: 10.11257/jjeez.28.169. The finalpublication is available at Japanese journal of environmental entomology and zoology viahttps://doi.org/10.11257/jjeez.28.169. “Characteristics of dispersal flight and disperser production in an Asian dry-woodtermite, Neotermes koshunensis (Isoptera, Kalotermitidae)” Sugio K, Miyaguni Y, Tayasu I (“Insectes Sociaux” April 2018,65: 323–330) doi: 10.1007/s00040-018-0616-9. The final publication is available at Springer viahttps://doi.org/10.1007/s00040-018-0616-9. “Damage and ecological characteristics of termite Neotermes koshunensison Taiwan cherry tre ... - 1 -（ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（  農 学  ） 氏名 杉尾 幸司 論文題目 Damage on living trees and ecological characteristics of the Ryukyu  drywood termite, Neotermes sugioi Yashiro in Okinawa Island （琉球諸島に生息する乾材シロアリ、スギオシロアリによる樹木被害と生態学的特徴） （論文内容の要旨）  シロアリは、木造建築物等の主要な害虫として知られているが、世界的に見ると農作物や樹木などの生きた植物にも被害を与えている。樹木を加害するシロアリは、地中から樹木の基部を攻撃する地中性のシロアリと、枝から侵入し下部に向かって営巣部を広げる乾材シロアリに区分できるが、乾材シロアリの研究事例は少ない。そのため、琉球諸島に生息する乾材シロアリであるスギオシロアリ（Neotermes sugioi）による樹木被害の状況と、その生態的特徴について検討を行った。 第1章では、関連する先行研究のレビューを行いシロアリによる樹木被害についての研究背景を述べるとともに、沖縄県に分布するスギオシロアリの基礎的な生態情報について紹介し、本研究の目的と研究の概要について述べた。 第２章では、本種の営巣木内のコロニー構造とカーストの分布について明らかにした。本種のコロニーサイズは、概ね1,000～4,000個体で、大部分のコロニーの営巣部の長さは100cm以下であり、コロニーサイズと営巣木の太さ（根側周囲長）には相関があることが明らかになった。また、コロニーにおける生殖虫の組み合わせは、一次女王と一次王（67.7%）、一次女王と二次王（13.1％）が多く、生殖虫ペアの相対的な存在位置は、主に巣の中央部、または巣の根元側にあり、ほとんどの生殖虫ペアは同じブロックエリアに存在していた。沖縄では毎年数回の台風被害が発生しており、コロニー分断の主な要因となっているため、生殖虫ペアの保護を想定した場合、このような結果は、適応的であると示唆される。また、外観からの判別が難しい初期コロニーの営巣状況を調べるため、ギンネム（Leucaena leucocephala）の網羅的な枝サンプリングを実施し、その結果、外観からはコロニーが営巣しているようには見えない枝256本のうち、29本（11.3％）で初期コロニーを確認した。 第３章では、本種による樹木被害の具体的な事例として、カンヒザクラ（Cerasus campanulata）を対象にした被害状況調査について報告した。被害状調査の結果、36地点中21地点（58.3％）、1,076本中76本（7.1％）でシロアリの食害が確認された。その内、家屋害虫であるイエシロアリ（Coptotermes formosanus）による被害は、6地点（16.7％）、10本（0.9％）にとどまり、その他は全て、本種による被害であった。また被害木の隣に被害木がある確率と非被害木の隣に被害木がある確率を検証したところ、被害木の隣が被害木である事例が有意に高く、本種は近距離に分散して被害を広げていく可能性が高いことが示唆された。 第４章では、沖縄島における本種の分布範囲と土壌特性との関係についての調査を行った。沖縄本島における本種の分布域を詳細に調査し、調査した257地点中115地点で本種の営巣を確認した。その結果，26°25′00″Nが本種の北限であることが示唆 - 2 -された。また、沖縄本島の南端でも本種が分布していない地域が確認されたため、本種の分布と土壌分布の特徴を比較した。その結果、本種は、ジャーガル土壌の地域では多く発見されるが、沖縄島南端の島尻マージ土壌の地域での発見事例が少ないことが明らかになり、沖縄島での本種の分布は、土壌分布と関連している可能性が示唆された。 第５章では、本種の有翅虫の分散飛行について詳細な調査を行い、分散戦略の特徴について考察した。ライトトラップ調査の結果、本種は6月をピークに長い飛行期間（4月下旬から11月上旬）を持つことが明らかになった。飛行の活発性と環境要因との関係を分析した結果、温度は、コロニー内の有翅虫の密度と環境要因を考慮したモデルにおいても有意に正の効果を示したため、有翅虫の放出を促進する環境要因として最も影響している可能性が示唆された。その一方で、長期的には、コロニー内において有翅虫の生産が促進される時期に、その結果として、有翅虫の飛翔が活発化している可能性が明らかになり、有翅虫の放出を促進する要因としてコロニー内の有翅虫の生産数が最も影響している可能性が示唆された。また、実験コロニー間での調査結果の比較から、長期的には、本種の飛行行動にはコロニー間での同期性が見られることが明らかになった。しかし、月ごとに区分すると、同期性はほとんど検出されず、1日の出現ピークもコロニー間で一致しなかった。そのため、本種はパルス状の飛翔を特徴とする地中性シロアリに比べて同期性が低いことが示唆された。また、飛翔行動と気象要因との関係については、高飛翔期、低飛翔期ともに、飛翔の活発化には、気温22℃以上，湿度70％以上の環境条件が必要であることが明らかになった。その他、有翅虫の性比については、飛行期間の初期（6 月上旬）には雌に偏っていたが、期間全体を通しては雄に偏っていた。一般的には、隣接するコロニー間で同期的・非同期的な有翅虫放出を調整することで、近親交配のリスクを低減できると考えられる。そのため、本種の特徴的な有翅虫の出現は、間接的に近親交配の可能性を最小限に抑える効果があることが示唆された。 最終章の第６章では、本研究で得られた主要な成果を要約するとともに、本種の防除方法について言及した。樹木に営巣している本種のコロニーは、定期的に点検することで比較的容易に発見が可能であり、そのための高度な技術は必要としない。また、検出が困難な小さな巣の除去は、枯れ枝の定期的な剪定によって可能である。このように、本研究の結果から、定期的な樹木管理によって本種の営巣部の除去が可能となり、樹木景観の維持に貢献できる事が示された。本研究で得られた知見は、樹木の管理と乾材シロアリの防除方法開発の発展に寄与できると考えられる。     注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し、合わせ て、３,０００字を標準とすること。 論文内容の要旨を英語で記入する場合は、４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること。   - 3 -（続紙 ２ ）                             （論文審査の結果の要旨）  シロアリは木材害虫として最も重要な昆虫であるとともに、熱帯・亜熱帯地域では樹木害虫としての側面も無視できない。しかしながら、シロアリによる樹木の被害、特に枝から侵入し基部に向かって被害を拡大する乾材シロアリによる被害については、ほとんど研究事例はない。本論文は、琉球諸島に生息する乾材シロアリ、スギオシロアリ（Neotermes sugioi）による樹木被害の状況と、その生態的特徴について詳細な検討を行ったものであり、特に評価すべき点として以下の4点を挙げることができる。  １．沖縄本島における本種の分布について詳細な調査を行い、その北限を明確にするとともに、分布と土壌との関係を示唆する重要な知見を得た。  ２．沖縄における景観木として重要なカンヒザクラに対する本種被害が7%以上に達することを明らかにした。さらに、ギンネムの網羅的な枝サンプリングを実施した結果、外観からは営巣の兆候をうかがうことが出来ない枝256本のうち、29本（11.3％）で初期コロニーを確認した。これらの結果は、本種の樹木害虫としての重要性を明確に示したものである。  ３．本種のコロニーサイズが概ね1,000～4,000個体であること、さらに営巣部の長さが100 cm以下であることを示し、コロニーサイズと営巣木の太さには相関があることを明らかにした。また、主として一次女王と一次王（67.7%）からなる生殖虫ペアが巣の中央部から巣の根元側の同じブロックエリアに存在していた。このことは枝の除去による物理的防除の可能性を示唆するものである。  ４．本種が6月をピークに長い飛行期間（4月下旬から11月上旬）を持ち、パルス状の飛翔を特徴とする地中性シロアリに比べてコロニー間の同期性が低いことを明らかにした。有翅虫の性比は飛行期間の初期には雌に偏っていたが、期間全体を通しては雄に偏っており、コロニー間の低い同期性とあわさって、間接的に近親交配の可能性を最小限に抑える効果があることが示唆された。大変興味深い結果である。   以上のように、本論文は琉球諸島に生息するスギオシロアリによる樹木被害の実態を明らかにするとともに、そのコロニー構造や有翅虫の分散飛行に関する新たな知見を示したものであり、樹木管理学、社会性昆虫学、木材保存学の発展に寄与するところが大きい。 よって、本論文は博士（農学）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、令和3年1月21日、論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果、博士（農学）の学位を授与される学力が十分あるものと認めた。  注）論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文は、本学学術情報リポジトリに掲載し、公表とする。 ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。  要旨公開可能日：   年   月   日以降（学位授与日から３ヶ月以内） 

琉球諸島に生息する乾材シロアリ、スギオシロアリによる樹木被害と生態学的特徴

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/263359/2/ynogr02892.pdf

琉球諸島に生息する乾材シロアリ、スギオシロアリによる樹木被害と生態学的特徴

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