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V-ATPase阻害剤による新規制癌機構と治療戦略
Authors
Ohkuma Shoji
大熊 勝治
Publication date
21 April 2016
Publisher
Abstract
金沢大学理工研究域本研究では、V-ATPaseの選択的阻害剤であるバフィロマイシンと比較しつつ、H^+/Cl^-シンポーターであるプロジギオシン類のプロトン輸送阻害機構と細胞増殖阻害・細胞死誘導機構、癌抑制機構を明らかにし、ひいては理想的制癌剤の開発を目指した。その結果、(1)プロジギオシン類(タンビャミン類を含む)は、そのH^+/C1^-シンポート活性により各種プロトンポンプを脱共役するが、その活性発現には最低2個のピロール環の存在が必須であることが明らかになった。しかし、プロジギオシンより強力な新たなH^+/Cl^-シンポーターは見い出されなかった。(2)H^+/Cl^-シンポーターはリソソームのpHを上昇させ、細胞質のpHを低下させた。(3)しかし、細胞質pHの低下が細胞増殖抑制・細胞死の原因である可能性は、その作用が弱塩基で阻害されないことから否定的である。(4)バフィロマイシン同様、ブロジギオシン類も神経突起伸展(NOG)・アポトーシスを誘導するが、NOG誘導とアポトーシス誘導の情報伝達経路は両反応で異なっていることが判明した。即ち、両反応とも新たなRNA及び蛋白質合成を必要とし、K-252aやA-キナーゼ非依存性、MAPキナーゼ依存性であるが、セリン-スレオニンホスファターゼ、チロシンキナーゼ、チロシンホスファターゼに非依存性である点で、アポトーシス誘導はNOG誘導と異なっている。(5)細胞死は、カスパーゼ3/9の支配下にあり、ミトコンドリアからのシトクロームc放出を伴うことが明らかとなった。(6)バフィロマイシン結合蛋白質同定用のアフィニティープローブは作成の基本条件が確立され、ジアジリン誘導体の作成をするばかりとなった。(7)プロジギオシン類やそれ以外のH^+/Cl^-シンポーター類もヌードマウスに移植した膵癌細胞の増殖を抑制しアポトーシスを誘導した。(8)高度好熱菌V-ATPaseの再構成に成功し、ATP加水分解・プロトン輸送とATP合成との関係を明らかにした。研究課題/領域番号:11140226, 研究期間(年度):1999出典:「V-ATPase阻害剤による新規制癌機構と治療戦略」研究成果報告書 課題番号11140226(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-11140226/)を加工して作
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